日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団(にほんろうどうしゃきょうどうくみあい(ワーカーズコープ)れんごうかいせんたーじぎょうだん)は、日本における労働者協同組合の全国組織の一つ。 概要1971年に中高年者を主とした失業対策の一環として兵庫県西宮市に「高齢者事業団」が誕生し、それをきっかけに全国の失業者の仕事づくりを目指すための事業団が続々と誕生。1979年に当団体の前身組織である「中高年雇用福祉事業団全国協議会」が作られた。 そして、1983年にイタリアで、現地の労働者協同組合の実情を調査・取材。1986年に「労働者協同組合」組織の確立を果たす。これをきっかけに主に物流を中心とした提携事業が進むようになる。 1991年、労協の協同総合研究所が発足すると、国際協同組合同盟(ICA)が主催する「労働者協同組合委員会」(CICOPA)の世界的な会議参加をきっかけに国際的な協同組合としての活動が活発に。そして1992年ICA東京大会で日本で11組織目となるICA参加が決定。それと同時に「労協」としての「新7つの原則」を確立。1995年には阪神・淡路大震災の復興作業で、NPOや市民ボランティア活動との連携を図るようになり、「地域の活性化と仕事おこし」をテーマにした市民事業と高齢者協同組合作りが本格的にスタート。1998年に「労働者協同組合法」制定へ向けた運動推進本部が立ち上がる。 2000年に介護保険制度が導入されると、「ワーカーズコープ」形式の地域福祉事業所作りを進めるための訪問介護員(介護ヘルパー)資格取得講座が盛んに開催されるようになり、この講座の修了生を中心にした事業所も作られるようになった。 2002年、「協同労働の協同組合」の新原則が労協全国総会・第23回大会で定められ、高齢者協同組合の連合会が発足。2003年には厚生労働省の「雇用創出企画会議・第1次報告書」で労協が雇用創出の柱の一つに定められた。さらに2007年からは、「協同組合法」の法制化実現へ向けた請願署名が本格化した。2008年に「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟」が発足し、超党派で議員立法へ向けた運動が進められるようになった。2009年、再生可能エネルギー事業に参入。2011年、東日本大震災を機に、宮城県仙台市に東北復興本部を開設し、被災地支援を行った。その際の取組みが2018年、一般社団法人日本社会連帯機構、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会の配給で映画化された。(映画「Workers 被災地に起つ」)2015年、全国で子ども食堂の取組みが広がり、各地で地域への支援を行う。2020年12月4日、国会で労働者協同組合法が可決・成立した。同法は2022年10月1日に施行された。この法律の成立をうけ、特定非営利活動法人ワーカーズコープは2022年11月21日、2023年4月1日に商号を労働者協同組合とする旨を決定、名称を労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団に変更し[1]、2024年に企業組合労協センター事業団も商号を労働者協同組合へ変更した。 事業出資労働者協同組合では、出資・運営・労働を三位一体で組合員が担い合い運営を行っている[2]。組合員が出し合った出資金が事業の元手となっており、銀行等金融機関からの借金をせずに経営をしている。2020年12月に国会で可決された労働者協同組合法では組合員の出資が義務付けられた。「協同労働の協同組合」の出資は、営利企業とは異なり、投資ではなく、組合の必要な資本を共同して形成するためとされている。そのため、制度として元本保証はない。 社会連帯経営協同・連帯しながら地域を再生・発展させるための経営目標として、組合員だけにとどまらない地域課題に取り組み関わっていく上で「協同労働の協同組合の原則」を掲げている。 協同労働の協同組合次の3つの協同に重点を置き、利用者や地域との連帯に取り組んでいる。これを通じ、1)新しい福祉社会の創造・持続可能な人中心の社会、まちづくり、2)労働の人間化-よい仕事と協同労働を通じた創造的な仕事の創出を目指している。
事業領域地域で持続可能な循環型地域づくりに取り組む。
商品食に係る事業を展開している事業所では、弁当、豆腐やみそ等の加工食品をはじめ菓子や果物を販売している。また、農福連携の一環で就労継続支援B型事業所の活動に農作業を取り入れ運営する事業所では、遊休農地を活用し野菜を栽培する取組みを行っており、そこで収穫された野菜を他の事業所で弁当に加工し販売したり、地域で販売する活動を行っている。埼玉県深谷市にある深谷とうふ工房では、遊休農地を活用し在来大豆を用いて製造された豆腐、みそがふるさと納税の返礼品に採用されている。 清掃に関わる事業を展開している事業所では、福祉施設や医療機関の清掃に用いる次亜塩素酸水希釈液(商品名呼称が度々変更されている:「ハセッパー水」「アクア水」現在は「クリーンキラーエース」)や強アルカリ電解水(商品名:わしらの洗浄水)を用いた事業を展開し、事業所で製造販売を行っている。 協同労働の協同組合の原則協同の労働・経営・運動のための指針として次を掲げている。「協同労働の協同組合の原則」は2015年6月27日日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会第36回定期全国総会で採択された。宣言と原則の7項目から構成されている。[4]
私たちは、発見した。 雇われるのではなく、主体者として、 協同・連帯して働く 「協同労働」という世界。 一人ひとりが主人公となる事業体をつくり、 生活と地域の必要・困難を、働くことにつなげ、 みんなで出資し、民主的に経営し、責任を分かち合う。 そんな新しい働き方だ。 私たちは、知った。 話し合いを深めれば深めるほど、 切実に求められる仕事をおこせばおこすほど、 労働が自由で創造的な活動になればなるほど、 人間は人間らしく成長・発達できる、ということを。 私たちは、直面している。 人間、労働、地域、自然の限りなき破壊に。 だからこそ、つくり出したい。 貧困と差別、社会的排除を生まない世界を。 だれもがこころよく働くことができる完全就労社会を。 あたたかな心を通い合わせられる、 平和で豊かな、夢を希望の持てる新しい福祉社会を。 私たちは宣言する。 「失業・貧乏・戦争をなくす」という先人たちの誓いと、 「相互扶助」「自治と連帯」「公平と公正」という 国際的な協同組合運動の精神を引き継ぎ、 協同労働を基礎にした社会連帯の運動を大きく広げ、 市民自身が地域の主体者・当事者となる、 自立と協同の新しい時代を いま、ここに、共に、切り拓(ひら)くことを。
活動日本組合に加入すると、仕事だけではない地域の社会的な課題について主に4つの活動(1.市民による仕事おこし、まちづくり支援、2.尊厳ある労働の獲得、3.様々な社会問題への関与と会員の社会連帯活動の支援、4.国際連帯活動)への取組みを進めていくことができる。近年は子ども食堂の開催や、高齢者向け配食の取組みが活発に行われている。
海外・古くからCICOPA(ICA生産者協同組合委員会)をはじめイタリア、スペイン協同組合、CECOP(欧州労働者協同組合)、AARP(全米退職者協会)等と交流[9]があり、ILO(国際労働機関)総会にも参加実績がある。1997年5月、日韓労協交流強化の共同宣言が発せられた。その他、日本労働者協同組合連合会総会には、度々海外からの来賓が参加している。 ・日本のワーカーズコープ連合会と韓国地域自活センター協会は2014年に開催した「全国協同集会in福岡」で「包括的協同協定」を締結し、日韓の地域課題解決に向けた連携を行っている。[10]韓国の労働者協同組合は、労働者主体の協同組合として、さまざまな分野で活躍している。 ・2021年12月、ICA(国際協同組合同盟)の第33回大会において、CICOPA-AP(産業労働者・熟練工業者・サービス生産者協同組合国際機構 アジア・太平洋地域)が設立され、インド・インドネシア・中国・イラン・韓国・フィリピン・日本の7か国の組織が加盟した。同日の記念イベントを日本労協連とCICOPAが共催した。 組織センター事業団(人格なき社団:2024年9月現在)、労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団、労働者協同組合労協センター事業団の活動は、各事業本部で集約されている。 センター事業団
地域労協・事業団
社会福祉法人協議会
各種加盟組織
沿革 1971年 兵庫県西宮市で高齢者事業団誕生 ロゴ・キャラクターわーこちゃん - 東京中央事業本部の広報キャラクター。 関連する映画作品
不祥事2023年8月、直轄事業である労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業が、児童館や学童クラブなどの受託事業において、新宿区、荒川区、台東区、足立区の施設で、職員数を水増しするなど虚偽報告を行っていたことがわかった。運営委託費を過大受給していた疑いがあるとして第三者調査委員会が設置された[12][13]。新宿区は、児童館など10施設の管理と、学童クラブなど6事業の運営を指定管理者として委託していたが、「学童クラブの職員が不足している」との情報提供を受けて調査したところ、水増しが確認されたため、指定管理を取り消した。 同事業団は、公告にて事態を重く受け止め、お詫びを述べるとともに、適正な管理、ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底を図ることを約束[14]。同年12月27日、第三者委員会より報告書が提出され、公告として公式ウェブページに掲載された。[15]2024年4月、再発防止策進捗をウェブに掲載した。東京都内自治体との協議は継続中である。[16] 関連事項
関連団体
参考文献
脚注
外部リンク
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