朝鮮の声放送
朝鮮の声放送(チョソンのこえほうそう、朝: 조선의 소리 , 英: Voice of Korea)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の首都、平壌から放送されている海外向けのラジオ放送(国際放送)。 概要1947年3月16日、「ラジオ平壌」(英語:Radio Pyongyang)の名称で、北朝鮮で初の海外向け放送となる中国語放送を開始。1950年7月10日に日本語放送を開始。1951年1月1日、海外向け放送の組織として「平壌放送」(英語:Radio Pyongyang)を設立。1972年11月10日、「朝鮮中央放送」(ちょうせんちゅうおうほうそう・チョソンちゅうおうほうそう)に改称。1997年8月4日に海外向け放送(各言語)の名称が「平壌放送」(英語:Radio Pyongyang、日本語:ピョンヤンほうそう)に改称された。2001年2月16日に朝鮮語以外の言語を使用した海外向け放送は名称が「朝鮮の声放送」(英語:Voice of Korea、日本語:チョソンのこえほうそう)に改称された。 2022年現在は、日本語・標準中国語・英語・フランス語・ドイツ語・ロシア語・スペイン語・アラビア語の8つの言語を用いて、ラジオ(短波、中波(AMラジオ))とインターネットで海外に向け放送されている。 放送開始時は「金日成将軍の歌」の冒頭メロディーのインターバル・シグナル(IS)と「朝鮮(チョソン)の声放送です」の局名告知のアナウンスが2回繰り返された後に、北朝鮮の国歌(愛国歌)が演奏される。また国歌の演奏に続いて「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌」の吹奏楽演奏(各曲2番まで演奏)を放送する。各言語、ほぼ共通の形式である。 かつては国歌の演奏は放送開始時と放送終了時にも行われていたが、現在は放送開始時のみ。また「平壌放送」と呼称していた時期は国歌の演奏を止めていたこともある。 日本語放送![]() 歴史
放送時間・周波数2015年8月15日から標準時を30分遅れのUTC+8:30に指定したが、2018年5月5日より平壌時間は韓国標準時(UTC+9)と統一されたため、再び日本標準時(JST)と同じになった。 2021年3月28日平壌時間12時、周波数更新時点。
送信所
現在の放送スタイル現在の番組内容は、「金日成将軍の歌」の冒頭メロディーのインターバル・シグナル(IS)と「朝鮮(チョソン)の声放送です。」の局名告知が男性アナウンサー(ユン・チャンウ)と女性アナウンサー(オ・ヨンスク)により2回繰り返された後に、北朝鮮の国歌(愛国歌)が演奏されて、「リスナーの皆さん、只今から朝鮮民主主義人民共和国(チョソンみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく)の首都、平壌(ピョンヤン)からお送りする日本語放送を始めます。」と女性アナウンサーが述べた後に、「不滅の革命讃歌」と形容詞が付いた『金日成将軍の歌』と『金正日将軍の歌』の合唱が放送される。 初めに、ニュースが放送される。その後は、朝鮮労働党の政策解説番組や金日成、金正日、金正恩らの個人崇拝の政治宣伝番組(プロパガンダ)などが放送される。番組と番組の合間には北朝鮮の歌謡曲などの音楽が流される。最後に、放送時間と周波数のアナウンスが行われる。かつては、一日2サイクルの編成で、ニュースや各番組は別々に構成されていたが、現在は一部番組が異なる場合でも、ニュースは共通化されており、また2011年10月以降は、番組数が削減されて音楽中心の内容構成となっている。 毎週木曜日の第2次プログラムでは、リスナーからの曲リクエストに応える「お望み音楽」のコーナーが設けられており、週末にはリスナーからの手紙について返答する「朝鮮の声放送へようこそ」のコーナーも設けられている。 過去には、日本のワイドショーなどに出演する朝鮮半島問題の評論家である辺真一(ピョン・ジンイル)の手紙も「へんしんいち」さんからとして「お便りの時間」で読み上げられたことがある。過去にはリスナーには様々な記念品が送られてきたという。また、受信報告書を送ればベリカード(受信確認証)を発行してもらうこともできる(宛先等は後述)。 過去には、「平壌放送愛聴会」などの聴取者団体が存在して放送局との交流を行っていた。近年ではアジア放送研究会の山下透(放送研究家)の地道な調査により、不明な点も明らかになりつつある。 固有名詞の発音1990年代前半頃から、朝鮮の固有名詞(人名・地名など)をアナウンスする際は、全て朝鮮語読みに統一している。このため局名・国名の「朝鮮」も「ちょうせん」ではなく「チョソン」と発音されている。但し、1970年代後半には、「平壌」(ピョンヤン)を「へいじょう」と読んでいた。これは固有名詞が、朝鮮語交じりでは分かりにくい、とのリスナーの声に応えたものであった[注 1]。韓国大統領官邸の青瓦台については、2018年現在も「せいがだい」と日本語読みしており、朝鮮語読みの「チョンワデ」は全く用いられない。 表現の特色
日本語放送スタッフ日本語放送のアナウンサー
過去の日本語放送のアナウンサー
アナウンサー以外のスタッフ
インターネット版朝鮮の声公式ホームページでは、リスナーからのメッセージに返答する「朝鮮の声放送へようこそ」のコーナーや映画、朝鮮語講座等が配信されている。 日本語・朝鮮語・英語・中国語・ ドイツ語・ロシア語・フランス語・アラビア語・スペイン語、の9つの言語で提供されている。 受信報告書受信報告書を送るとべリカード(受信確認証)が送られてくる。 万国郵便連合の万国郵便連合憲章による取り決めにより、下記のフランス語・英語・朝鮮語の宛先いずれも届く。「R.P.D. CORÉE」「D.P.R. KOREA」は、北朝鮮の国名(朝鮮民主主義人民共和国)の部分である。
受信報告書に対しては良心的な対応である。受信報告書を送る際、原則として国際返信切手券および返信用封筒の同封は必要ない。場合によっては、日本国内の税関にて開披検査が行われるケースがある(北朝鮮による日本人拉致問題以降の日本国政府による対北経済制裁のため、北朝鮮からの国際郵便物は、日本の税関によって没収され、返信の郵便物が届かないこともある)が、通常1 - 2か月で返信が届く。なお、2020年3月頃からは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け、日本郵便が北朝鮮への郵便物引き受けを停止しており、郵便物を発送しても国内段階で返送される状況となっている[5]。 なお、ベリカード(受信確認証)の他に労働新聞・朝鮮新報・平壌時報(The Pyongyang Times)などの北朝鮮の新聞や郵便切手(記念切手)や朝鮮労働党の歴史書や金日成・金正日などの政治宣伝(プロパガンダ)出版物や北朝鮮の観光案内のパンフレットや放送局からの御礼状や年末から新年には年賀状やカレンダーなどの記念品が送られてくることがあったという。 1970年代~1980年代に小学生・中学生・高校生の青少年層の間でBCLブームという海外の短波放送を受信する趣味が最盛期だった時期は、至れり尽くせりで、受信報告書(ただし、当時の金日成を賛美する内容)を送るとベリカード(受信確認証)や放送局からの御礼状や記念品が送られてくることがあったという。また、放送で流される北朝鮮の歌謡曲を賛美するとレコードなども送られてきた。当時、日本でもレコード全盛の時代であったが、朝鮮の声放送から送られてくるレコードは、日本のレコードの厚みの2倍程度あったという。 受信報告書は「朝鮮民主主義人民共和国 平壌市 朝鮮中央放送委員会 日本語部 宛」だけで届いていたが[注 2]、過去には「平壌放送愛聴会」などの聴取者団体が存在して放送局との交流が行われていた。アジア放送研究会の山下透(放送研究家)により次第に情報が判明し、放送局の正確な所在地および電話番号も判明した。 脚注注釈出典
関連項目
外部リンク |
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