湿潤大陸性気候
湿潤大陸性気候(しつじゅんたいりくせいきこう、Humid continental climate)とは大陸性気候の一種である。 ケッペンの気候区分における気候区のひとつで冷帯に属する。元々ケッペンの気候区分には無かった気候区で、トレワーサが後になって修正した気候区分において考え出された気候区である。記号はDa(Dfa,Dwa,Dsaを含む)およびDb(Dfb,Dwb,Dsbを含む)。大陸性混合林気候と呼ぶこともある。 特徴
条件
上記は最低条件で、さらに以下の条件によって詳細に区分される。
これらは降水パターンによりさらに分類される。
なお、冷帯/亜寒帯を細分化したもう1つの気候帯である亜寒帯気候との定義上の違いは、本節冒頭に述べた3つのうち2番目の「最暖月平均気温が22℃以上または最暖月平均気温が10℃以上22℃未満かつ月平均気温が10℃以上の月が4か月以上」のみである。冷帯/亜寒帯は冬の気温によって決まっているのに対して、この細分化は冬の気温ではなく、夏の気温によってなされている。そのため、本気候帯に分類される地点であっても、冬の寒さは亜寒帯気候(特にDfc)に分類される地点に匹敵する、もしくはそれより厳しいこともあり得る(Ddの条件である最寒月の平均気温-38℃未満であっても月平均気温が10℃以上の月が4か月以上あればDb(さらに最暖月の平均気温22℃以上あればDa)となる)。実際の地点でも、例えばアメリカ合衆国本土で最も寒い都市として知られ、Icebox of the Nation(全米のアイスボックス)の異名をとる同国ミネソタ州インターナショナルフォールズは、5-9月の5ヶ月間にわたって月平均気温が10℃以上となるため本気候帯のDfbに分類されるが、最寒月である1月の平均気温は-15.3℃[1]で、亜寒帯気候に分類される同国アラスカ州アンカレッジ(最寒月平均気温-8.3℃[2])、フィンランド北部のロヴァニエミ(-11.8℃[3])、ロシア北西部のアルハンゲリスク(-13.2℃[4])といった地点(いずれもDfc)のそれを下回る。Daに分類される地点であっても、例えば中華人民共和国北東部の長春(Dwa)の最寒月平均気温は-15℃[5]であり、同様のことが言える。 分布分布地域
主な分布都市Dfa
Dfb
かつては下記の都市も該当したが、冬季の気温の上昇に伴い温帯の西岸海洋性気候(Cfb)に移行した。 Dwaかつては下記の都市も該当したが、冬季の気温の上昇に伴い温帯(Cwa)に移行した。 DwbDsaDsbかつては下記の都市が該当したが、気温の上昇に伴い温帯(Csb)に移行した。 雨温図
気候の特徴緯度が高い、標高が高い、寒流の影響を受ける、内陸のため海洋からの熱供給が少ないなどの理由で冷帯となった地域のうち比較的年平均気温が高く、植物の植生期間の長い地域がこの気候区に分類される。降水量が多い地域は温帯、降水量が少ない地域は乾燥帯に隣接している。 高緯度のため夏は太陽高度が低いが日照時間が長いため、平均気温が10℃を超える月が4か月以上ある。そのためかなり暖かく、好天なら昼は暑くなることも少なくない。特に、華北 - 中国東北部やシベリア沿海地方、北海道など、温暖湿潤気候や温帯冬季少雨気候への移行地帯となる低緯度地域などでは温帯並みの暑さになるところもある。しかし冬は日照時間が短く、気温が下がり、特に真冬にかけては最高気温が0度未満になるなど寒さの厳しい日が多くなる。また、北海道の日本海側やアメリカ・カナダの五大湖周辺部など、湖水効果の影響を受ける地域では冬の降水量(降雪量)が多い。 土壌と植生の特徴降水量が多い地域では針葉樹林と広葉樹林の混合林が広がる。降水量が少ない地域は短草草原となる。 比較的肥沃な褐色森林土が最も広く分布している。降水量が少ない地域には黒色土、高緯度地域ではポドゾルなども分布している。 産業の特徴・その他基本的に麦類(主に春小麦、ライ麦)・豆・芋などの穀物の生産が多い。酪農なども行われている。東アジアでは、北海道など比較的温和な地方に限り米の生産も行われている。 脚注
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