煮色仕上げ![]() 1880年代(明治時代前期)日本の作品。金、赤銅、四分一、銅で装飾され、煮色仕上げで様々な色を呈している。ヴィクトリア&アルバート博物館所蔵。 煮色仕上げ(にいろしあげ)とは、銅合金の表面の化成処理方法の一つ。銅および様々な銅合金を薬液の中で煮込むことにより、表面に酸化皮膜を形成させ耐候性を付け、独特な発色の表面に仕上げることである。 日本の伝統工芸で象嵌や木目金などの色金を使った金属工芸品の仕上げに使われ、「煮込み」・「煮上げ[1]」・「煮色着色[2]」などとも呼ばれる。 英語では Patination、Chemically-induced copper patinas、Chemical patination[3]等と言われる。 概要![]() 紀元前3世紀- 紀元前1世紀間の古代ギリシアで作られた銅像で、1964年に発見され、海底から引き上げられた。自然発生の様々な錆で覆われている。J・ポール・ゲティ美術館所蔵。 地金のままで使用すると、環境中の様々な影響から金属表面の酸化状態は予知できない、中には表面にとどまらず内部に進行する腐食もあり、完成品としての機能・外観を損なう場合もある。これを防ぐことや工芸品としての美的価値を高める手段のひとつとして、銅合金では煮色仕上げを行い、望まれる酸化状態を作り上げ、発色させる。 煮色仕上げに使う薬液は「煮色液」と呼ばれ、水1升(1.8リットル)に胆礬(硫酸銅)と緑青(炭酸銅、酢酸銅など)をそれぞれ1.5匁(もんめ。5.63グラム)加えて煮溶かしたものである[5]。 日本の煮色仕上げ手順煮色液は銅合金の酸化に影響を与えない容器で作られる必要があり、多くは銅容器が使われる。 [6] 煮色液の処方例[6] (水1.8リットルに対する数値)
下準備:煮色仕上げする前には銅製品の表面を磨き、十分に脱脂する。 下準備の済んだ製品を煮色液につけ30分から3時間ほど撹拌しながら煮込む。時間は求める発色の度合いで異なり、また発色し難い色金はより時間を必要とする。綺麗な発色で仕上げる為には発色の見極め、煮込み中の磨きなど熟練を要する。煮色液は緑青色に混濁しており金属の表面の発色具合は目視できないため、液から出して確認する必要があるが、その際には表面を乾燥させないために冷水につける。 求める色合いが得られたら、煮色液を洗い落とし乾燥させたあと乾性油や蜜蝋を塗布し表面を保護する。これを「色留め」と呼ぶ。現在では透明な合成樹脂製塗料なども用いられている。 [2]。 煮色仕上げ後の色合い
脚注
関連項目 |
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