熊本丸刈り訴訟
熊本丸刈り訴訟(くまもとまるがりそしょう)とは、町立中学校の男子生徒と親権者である両親が「男子は丸刈りにすること、長髪禁止」という内容の校則が基本的人権の侵害であり憲法違反だとして、中学校に対して校則の無効、町に対して損害賠償を求めた訴訟。 事件の概要1981年4月に熊本県玉名郡玉東町にある玉東町立玉東中学校に入学した男子生徒が、同年4月9日に校長によって制定・公布された、「男子生徒の髪は一センチメートル以下、長髪禁止[1]」という校則を拒否した髪型で登校していた。それを理由にした教師からの体罰や直接指導は存在しなかったが、全校集会で校長から批判をされ、また同級生からの嫌がらせを受けるようになった。 熊本地裁の判決熊本地方裁判所は1985年11月13日の判決で、学校側の主張を認め、原告の中学校に対する請求を棄却、町に対する請求を却下した。以下が判旨である[1]。
しかし、本件の校則が憲法14条・31条・21条違反には当たらないとしたうえで、丸刈り校則の合理性に関しては疑いの余地があるとした。 判決の影響この判決により、教育関係者の中では丸刈り校則は合憲かつ合法という理解が広まった。この理解は、1996年2月22日の小野中学校丸刈り校則訴訟で最高裁判所が原告の丸刈り校則無効の訴えを退けつつも、丸刈り校則は生徒の守るべき一般的な心得を示すにとどまり、個々の生徒に対する具体的な権利義務を形成するなどの法的効果を生ずるものではない[2]、と丸刈り校則の法的拘束力を否定してもなお全国の自治体で浸透し続けた。実際に本件訴訟の後、1996年に伊仙中学校で、2002年に米野岳中学校で丸刈り校則を拒否した生徒が不利益を受けた事件が起きた[3]。 この判決を受け原告男子生徒一家は、日本の教育制度に不透明な未来を案じた為、数日後当方原告の男子生徒の家族全員が海外に転居した。 脚注
参考文献
関連項目 |
Portal di Ensiklopedia Dunia