牙神幻十郎
牙神 幻十郎(きばがみ げんじゅうろう)は、SNKの対戦型格闘ゲーム『サムライスピリッツ』シリーズに登場する架空の人物。 概要『真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変』(以下『真サム』と表記)より登場。金で人斬りを請け負っている剣客であり、かつての同門・覇王丸を付け狙う。以後、ほとんどのシリーズに登場している。 必殺技や演出には花札をモチーフにしたものが多い。勝利ポーズには銀のキセルを吹かすもの、杯を取り出し投げ捨てるもの、傘を差すものなどがあり、傘を差す勝利ポーズや『真サムライスピリッツ』のエンディングで姿を現す蛙は、花札における柳の20点札(柳に小野道風)に描かれている蛙をモチーフとしたものである[1]。 もともとは覇王丸と同じく花諷院和狆に師事していたが、暗黒に近すぎたその魂を師の和狆に看破されたことで破門され、追放された。それ以後は覇王丸を憎悪するようになる。覇王丸は幻十郎が自分に殺意を抱いているのを知っていながら幻十郎共々互いに宿敵として見ている。覇王丸と出会う度に覇王丸の命を狙うが覇王丸からは親しく接しられ、その行為が逆に幻十郎の覇王丸に対する殺意を余計に増幅させる事になっているのだが覇王丸は全く気にしていない。なお、破門されてから幻十郎が斬殺した人間の数は200人を超える。 自身の幼い頃の体験の影響もあり、世の中のあらゆるものに厭世と虚無を感じている。生きることを楽しみながらも否定し、あらゆることを刹那的に楽しんだ末に「くだらぬ世の中だ」と斬り捨てる。いざ斬り合うとなれば、敵愾心と殺意を剥き出しにして刀を振るう。慈悲心というものが欠落しており、仕事の報酬を受け取ってから依頼主を殺害することもあり、冷酷そのものである。彼の心を占めているのは、枯華院にて一緒に修行していた覇王丸の存在であった。『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』(以下『斬紅郎無双剣』と表記)でも、「鬼」と呼ばれし壬無月斬紅郎には大した興味は見せておらず、仕事の標的・金子を得る手立てとしてか見ていない。エンディングメッセージでも覇王丸の名を呼んでおり、「殺す」と呟いている。どれほどの金や女を手にしようとも、幾多の人間を斬殺しようとも、幻十郎の心が満たされることはない。 特技にある「千人斬り(男女問わず)」とは、すなわち「両刀」であることを表している。『サムライスピリッツ アスラ斬魔伝』(以下『アスラ斬魔伝』と表記)での羅刹側のプロフィールでは「男女を問わない好色家」と明言されている[2]。また『Days of Memories 〜大江戸恋愛絵巻〜』のバッドエンディングでは、「幻十郎が主人公(男性)と事に及んだ」ことになるものがある。 『アスラ斬魔伝』のOVAでは、冒頭でアスラにあっという間に倒される。さらに、ゲーム『アスラ斬魔伝』のエンディングでは、覇王丸との斬り合い中に、背中の傷を1人の子供に刺される。その際に子供が叫んだ言葉から、その子供は父親を幻十郎によって殺されたようである。幻十郎は自身を刺した子供をはり倒したものの、殺しはせず、覇王丸に肩を貸されその場を去りながら静かに目を閉じる場面で幕を閉じる。 短期集中連載としてネオジオフリークに掲載された『剣客風説草紙』では『アスラ斬魔伝』のエンディング後が描かれており、最期に肩を貸していた覇王丸を突き飛ばし、彼の額に梅鶯毒を突き付けながら「敵に情けを掛けるその甘さが昔から」と覇王丸の甘さを責める言葉を言い掛けたものの、最後まで言い切ることなく力尽きるという末路を迎えている[3]。 幻十郎の声を務めたコング桑田の演技はほぼ共通して低声の野太い声だが、『真サム』のみ高い声で覇王丸との違いを強調していた。 キャラクターデザイン六尺(181.8cm)という長身に鍛え上げられた体を持ち、長く伸ばした髪を後頭部で括り、上物の着物を着こなし、釣り上がった鋭い目付きと威容を備えている。背中には、母親によって付けられた(後述)大きな刀傷がある。斬り合い中は着物を脱いで袴に引っ掛けるようにし、上半身裸になることが多い。デフォルトカラーでは髪と着物はいずれも深紅。 着物の背には赤短の札[注 1]が描かれている。 武器
武士道烈伝ロールプレイングゲーム『真説サムライスピリッツ武士道烈伝』では主人公にしか選ぶことができず、他のキャラクターを仲間にすることができないため、「邪天降臨之章」では最後まで一人旅、「妖花慟哭之章」では強制的に仲間になる疾風の鈴音と二人旅になる。「邪天降臨之章」の京都での超奥義取得の経緯も、他のキャラクターが試練を乗り越えつつ塔の最上階へ昇り神官たちに認められるという流れであるのに対し、幻十郎の場合は神官たちを退け塔の地下に封じられた力を奪い取るという独自の演出となっている。 「邪天降臨之章」のオープニングでは、突如現れた天草四郎時貞が自分を差し置いて覇王丸を勧誘したことに激昂し戦いを挑むもあっさりと敗北し、己の力量不足を痛感すると同時に天草や覇王丸への怒りを募らせる。 「妖花慟哭之章」では、幻十郎を主人公に選ぶと疾風の鈴音と意外な関係にあったことになる。 客演作品での幻十郎覇王丸のいる所には必ず現れるといった感もあるが、『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』(以下『SVC CHAOS』と表記)では覇王丸のいない中で登場した。これは覇王丸のみが登場した『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』(SNK側が製作)や『CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』(CAPCOM側が制作)との差別化であり、幻十郎が覇王丸とともに登場しなかったのは後にも先にもこの一作限りである。 『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(以下『KOF』と表記)の登場キャラクターである八神庵とは、主人公を付け狙っていることや赤い髪などいくつかの共通点が見られる。さらに『KOF』の草薙京からは、「アンタ見ているとむかつく奴を思い出す」と云う趣旨の事を言われる。なお、庵は『KOF XIII』で幻十郎の台詞を使った事がある。 『SVC CHAOS』と『ネオジオバトルコロシアム』(以下『NBC』と表記)では八神庵と草薙京の他に、『餓狼伝説』のテリー・ボガードと不知火舞とキム・カッファンとギース・ハワード、『メタルスラッグ』のマーズピープル、『龍虎の拳』のリョウ・サカザキ(『NBC』では二代目Mr.カラテ)、『アテナ』のアテナ姫とも共演している(キムとマーズピープルとアテナ姫以外はCAPCOMとのクロスオーバー皆勤である)。ちなみに「幻十郎と『餓狼伝説スペシャル』の頃のギースの風貌が似ている」という反応があったが、SNKは「両者との間に特別な関係は無い」と述べている[1]。 生い立ち幻十郎は、いつでも人を斬れるように抜き身のまま刀を持ち歩く、世のあらゆるものに対して殺意と怨恨を剥き出しにして斬り捨てることがあるなど、歪んだ人格の持ち主である。これは幼少時の体験によるところが大きい。 幼少期幻十郎の父親の素性は不明。すでに彼のもとにはいなかった。母親は精神が不安定であり、幼少時の幻十郎に対しても「お前の父親は城の殿様だ」と優しく接することがあるかと思えば、「罪人の子、人殺しの子」と酷く罵ることもあったため、幻十郎は父親の素性を知らず、また知ろうとする気も失せた。母は見知らぬ男を自宅に連れ込んでは性行為に及んでいたが、これは体を売って生計を立てるためでもあった。行為の前に幻十郎にわずかな金を渡して家から出し、終わるまで帰ってこないよう命令していた。 ある時、一人の浪人が幻十郎の母親の内縁の夫となったが、この浪人は幻十郎に辛く当たった。母親も幻十郎を庇うことはなく、この時に幻十郎は浪人への殺意を抱いた。 母の殺害ある日、帰宅したところで母親と浪人の性行為の現場に出くわした幻十郎は、性交中で忘我にあった母親の「助けておくれ。母さんはこの男に殺されちまうよ」の言葉が引き金となり、部屋の隅に置いてあった浪人の太刀を使って浪人の二の腕を斬り落とした。幻十郎は太刀を放り出してその場を去ろうとするが、我に返った母親に背中から斬り付けられ、さらには「さっさと殺してしまえばよかった、お前のせいであたしは不幸だった」と言い放たれた。これによって怒りが爆発した幻十郎は母親とまだ息のあった浪人をその場で全身が刀傷に塗れるまでに斬り続けて嬲り殺した。 この時の背中の傷は消えることなく幻十郎の背に残り、この時の体験が幻十郎の精神に歪みを残している。 なお、幻十郎の背中の傷は左肩から右脇腹についている。これは普通の剣士との斬り合いでは付かない傷であり、剣の素人の母親に斬られたことを傷痕からも伺うことができる。 技の解説投げ技
必殺技
武器飛ばし技など
キャスト関連人物
脚注注釈
出典
参考文献
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