環境影響評価法
環境影響評価法(かんきょうえいきょうひょうかほう、平成9年6月13日法律第81号)は、日本における環境影響評価(環境アセスメント)の手続きに関する法律である。別名、環境アセスメント法。 1997年(平成9年)6月13日に公布。 概要大規模公共事業など環境に大きな影響を及ぼすおそれのある事業について、その事業(公共事業のみならず民間事業者によるものも含む。)を実施する事業者自らが環境への影響を予測評価し、その結果に基づいて事業を回避し、または事業の内容をより環境に配慮したものとしていく環境アセスメントについての手続きを定めた法律である。 1981年に環境影響評価法案として国会に提出されたが、1983年に廃案となる。1984年に「環境影響評価の実施について」が閣議決定された。 1993年に制定された環境基本法において環境アセスメントの実施が位置づけられ、1997年6月に環境影響評価法が成立した。 2011年(平成23年)の改正により、事業実施段階前の戦略的環境アセスメント(SEA;Strategic Environment Assessment)として、「配慮書」手続きが導入された。 アセス法ともいい、道路、河川工事、鉄道、埋立て、発電所等の後述する13種類の事業が対象とされる。 構成
総則目的土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、環境影響評価について国等の責務を明らかにするとともに、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め、その手続等によって行われた環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること等により、その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。(第1条) 定義「環境影響評価」とは、事業の実施が環境に及ぼす影響について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測、評価を行い、その事業の環境保全の措置を検討し、環境影響を総合的に評価することをいう。(第2条第1項) 「第一種事業」、「第二種事業」の内容および規模を規定している。「対象事業」は、第一種事業と第二種事業のうち第4条に定めるスクリーニングの手続きにより環境アセスメントを実施することとなった事業である。(→#対象事業)(第2条第2~4項) 国等の責務国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境影響評価の重要性を深く認識して、環境影響評価の手続が適切かつ円滑に行われ、事業実施による環境負荷をできる限り回避・低減すること等の環境保全の配慮が適正に行う。(第3条) 配慮書第3条の2では、第一種事業の実施者は事業に係る計画の立案の段階において、環境の保全のために配慮すべき事項(「計画段階配慮事項」)について、検討を行わなければならないと規定している。 第二種事業の場合には、配慮書の手続きを任意で行うことができる。(第3条の9) スクリーニング第4条では、第二種事業について、本法律に基づく環境アセスメントを行うかどうかを判定する手続き(スクリーニング)について規定している。 第二種事業を実施しようとする者は、その事業の許認可を行う行政機関(許認可権者)に事業の実施区域や概要の届出を行い、許認可権者は、都道府県知事に意見を聴いて、届出から60日以内に環境アセスメントを行うかどうか判定を行い、実施者に通知する。 方法書第5条から第10条までは、「方法書」についての手続きを規定している。方法書は、対象事業に係る環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法等当該事業の環境アセスメントの方法を記すものである。 事業者は方法書を作成し、以下を行う義務を有する。
関係都道府県知事は、関係市町村の意見を聴いて、90日以内[1]に事業者に対し、方法書について環境保全の見地からの意見を書面により述べることができる。(第10条) 環境影響評価の実施等事業者が、方法書についての都道府県知事等の意見が述べられたときには、これを勘案して環境影響評価の項目並びに調査、予測および評価の手法を選定すること(第11条第1項)、その項目および手法に基づき環境影響評価を行うこと(第12条)を規定している。 なお、対象事業の特性に応じた環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法等について、意見を求め定めていく、第5条から第11条に掛けての手続きのことを「スコーピング」というが、このスコーピングの指針について、主務大臣が環境大臣と協議して定めること(第11条第3項)、環境大臣は、主務大臣が定めるべき指針に関する基本的事項を定めて公表すること(第13条)を定めている。 準備書第14条から第20条までは、「準備書」についての手続きを規定している。準備書は、事業者が対象事業に係る環境影響評価を行った後、その環境影響評価結果等について記載したものである。 事業者は準備書を作成し、以下を行う義務を有する。
関係都道府県知事は、関係市町村の意見を聴いて、120日以内[2]に事業者に対し、意見書について環境保全の見地からの意見を書面により述べることができる。(第20条) 評価書事業者は、準備書についての関係都道府県知事等の意見に対して準備書に検討を加え、修正が必要であると認めるときは修正の区分に応じて措置を講じたうえで、評価書を作成し、作成した評価書を許認可等権者に送付しなければならない。(第21条、第22条第1項) 許認可等権者は、環境大臣に評価書の写しを送付して意見を求めることが出来る。これに対して、環境大臣は意見を書面により述べることが出来る。許認可等権者は、環境大臣の意見を勘案し、事業者へ意見を書面で述べることが出来る。(第22条第2項、第23条、第24条) 対象事業
脚注関連項目外部リンク
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