窮鼠はチーズの夢を見る
『窮鼠はチーズの夢を見る』(きゅうそはチーズのゆめをみる)は、水城せとなによる日本の漫画作品。小学館の女性向けコミック誌『Judy』の増刊号『NIGHTY Judy』(単行本:2006年2月-2009年5月)に掲載された。 サラリーマンの大伴恭一と、その大学時代の後輩今ヶ瀬渉を中心とした一連の漫画の単行本のタイトルであり、便宜的にシリーズの総称としても用いられている。 2008年2月27日に、中村悠一主演でドラマCD化された。 大倉忠義主演で実写映画化され、2020年9月11日に公開された[1]。 概要妻もいる異性愛者サラリーマン・大伴恭一と、彼を想う大学時代の後輩でゲイ・今ヶ瀬渉の触れ合いを濃密に描いた漫画作品。2004年、第1作目「 キッシング・グーラミー 」が 『NIGHTY Judy』6月号増刊 に読み切りとして発表される。 以後、不定期掲載(シリーズ終盤より携帯コミック誌「モバフラ」に移行)。『NIGHTY Judy』はエロスをテーマとしているため、比較的リアルな性描写がある。BL(ボーイズラブ)レーベルからの出版ではないものの、「このBLがやばい!2010年」で1位を獲得し話題となった。 全2巻の単行本で完結していたが、『月刊フラワーズ』2020年3月号に番外編読み切りが掲載され、読み切りも含めた1冊の単行本にまとめた新装版が2020年4月に発売。扉絵などもカラーで収録される。新装版では性描写や現代では差別的となる台詞の改変が行われる[2](読切掲載号にて、修正版の第1話も掲載された)。また、電子書籍版では従来の単行本相当の商品でも自動的に新装版と同じ改変に更新されている。改変の具体的な内容としては、肛門のシワや陰茎のシルエットの描写がトリミングされ見えないようになる、「この陰険ホモ!」という台詞が「この蛇!悪魔!」に置き換わるといったものである。全体的に「ホモ」というセリフが「ゲイ」に置き換わるなどしているが、全ての「ホモ」という表現が消えているわけではなく一部はそのままになっている。 あらすじサラリーマンの大伴恭一は7年ぶりに再会した大学時代の後輩・今ヶ瀬渉に強請られていた。理由は自分の不倫。こだわりがなく流されやすい恭一は、女性に言い寄られると断りきれずに安易に不倫を繰り返していた。今ヶ瀬は興信所に勤めており、偶然にも恭一の妻の知佳子に依頼された浮気調査を請け負っていたのだった。7年前から恭一のことを想っていたという今ヶ瀬に、不倫の事実を妻に報告しない代償として「貴方のカラダが欲しい」と恭一は要求されてしまう。挿入無しの体の関係を恭一は受け入れ、不倫調査は誤魔化してもらえたものの、既に恭一との関係に冷めきっていた知佳子は別れたいと申し出、夫妻は離婚した。 独り身となった恭一の部屋に今ヶ瀬は入り浸り、流されやすい恭一は脅しの材料がなくなった後もずるずると体を重ねた。いつしか今ヶ瀬は恭一にとって特別な存在となり、言い寄ってくる女性を断ってでも今ヶ瀬を選ぶようになり、やがて恭一が「受け」になる形で二人は完全に結ばれた。 離婚してから2年が経ち、恭一は今ヶ瀬と関係を続けながらも、異性愛者として女性に目を奪われることが当たり前だった。会社の部下の女性・たまきに想いを寄せられ、偶然彼女が抱える家庭の事情を知り、深入りしていく。一方で、今ヶ瀬とは「攻め」の形でも性行為をするようになり「受動的に相手の好きにさせただけ」という言い訳ができなくなったと思うようになっていた。たまきとの関係の進展を察した今ヶ瀬は別れを切り出し、恭一も引き止める言葉を思いつけず、二人は別れた。傷心の恭一は、慰められるままにたまきを抱き、二人は付き合うようになった。 今ヶ瀬との別れから半年、恭一とたまきは同棲し、近いうちにたまきの親に挨拶し結婚する段取りであった。二人とも喫煙者ではないにも関わらず、喫煙者の今ヶ瀬が残していった灰皿は捨てられずそのまま部屋に残された。恭一は今ヶ瀬への恋情をくすぶらせながらも、彼との日々は「同性愛者のまねごと」をしていただけと思い、たまきとの生活に安らぎを感じていた。しかし、知人男性からのストーキングに悩まされていたたまきが今ヶ瀬に調査依頼をしたことで、恭一と今ヶ瀬は再会し、恭一の心は揺らいでしまう。 登場人物
初出一覧
所収
映画
監督は行定勲、主演は大倉忠義[4]。当初は2020年6月5日に公開予定だった[4][5]が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同年9月11日に公開延期となった[6][7]。 キャストスタッフ
評価キネマ旬報社が運営するKINENOTEの「キネ旬Review」では、映画評論家の北川れい子は「2人の役どころは、都会という水槽を泳ぎ回っている観賞魚並ってワケで、女たちは水槽の中のお飾り」と観察映画を観ている気分だったと評し、ライターの佐野亨は「行定監督と俳優陣の相性の勝利」と役者の演技を褒め、映画評論家の福間健二は「ウォン・カーウァイやロウ・イエの世界でも通用しそうな魅力がある」と成田凌を評価するも女性キャラクターの描き方に苦言を呈した[9]。 受賞
関連項目脚注
外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia