続・夕陽のガンマン
『続・夕陽のガンマン』(伊: Il buono, il brutto, il cattivo、英: The Good, the Bad and the Ugly、原題の意味は「善玉、悪玉、卑劣漢」)は1966年の叙事詩的マカロニ・ウェスタンである。ユナイテッド・アーティスツ提供。監督はセルジオ・レオーネ。クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラックがそれぞれ原題の善玉、悪玉、卑劣漢を演じている。脚本はフリオ・スカルペッリとルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ、レオーネによって書かれた。エンニオ・モリコーネが作ったこの映画の音楽は現在でも有名である。また、この映画は『荒野の用心棒』(1964年)と『夕陽のガンマン』(1965年)から続く「ドル箱三部作」(正確にはドル三部作)の第3作目であるとされている。物語は、南軍の金貨を求めて南北戦争のアメリカを冒険する3人のガンマンを中心に展開する。この映画は西ドイツとイタリア、スペイン、アメリカの4か国の共同で制作された。 かつて日本で初めて劇場公開されたときには、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』の題名だったが、ビデオが発売されたときに『続・夕陽のガンマン』に改められた。また、1967年公開のマカロニ・ウェスタンに『新・夕陽のガンマン/復讐の旅』(原題:Da uomo a uomo)という作品があるが、本作及び『夕陽のガンマン』とは一切関係ない作品である。なお『続・夕陽のガンマン』という邦題ではあるが作品の中に夕陽が出てくる場面は1度もない。 原題の Il buono, il brutto, il cattivo を直訳すると「善玉、卑劣漢、悪玉」であるが、英題(The Good, the Bad and the Ugly)では順番が変わって「善玉、悪玉、卑劣漢」となっている。 スティーヴン・ジェイ・シュナイダーの『死ぬまでに観たい映画1001本』に掲載されている。
ストーリー舞台は南北戦争の時代の荒野。 3人の賞金稼ぎが酒場に入った途端に銃撃戦となり、一人の男が店の窓を破って飛び出してきた。そして店内には3人の死体が横たわる。悪事を積み重ね2000ドルの賞金がかかったその男の名前はテュコ<卑劣漢> 不敵な笑みを浮かべた一人の殺し屋の男が荒野の一家を訪れた。その殺し屋はある兵士を追っており、その名前が知りたいという。名前を告げた一家の主は金は倍額出すから依頼を破棄して変わりにその雇い主を殺してくれと頼むが、雇い主からの依頼は反故にできないが、追加で依頼を受ける分には構わないという。殺し屋は一家の父子を射殺し雇い主に依頼を遂げたと告げ雇い主も葬る。その男の名前はエンジェル<悪玉> 賞金稼ぎの待ち伏せに遭い包囲されるテュコ、とその場に金髪で長身のガンマンが現れ、3人の賞金稼ぎを早撃ちで斃す。金髪の男は賞金首のお尋ね者であるテュコ本人を売って賞金を受け取り、縛り首で吊るされる寸前の縛り縄を長距離から狙撃で切断してテュコを逃走させては後で賞金を2人で山分けする商売を方方で繰り返していたが、テュコの賞金首の額が上限に達したため、商売に見切りをつけ荒野の真ん中でテュコを置き去りにして去る、その金髪の男の名前はブロンディ<善玉> 野垂れ死に寸前で町に到着したテュコは報復のためブロンディを付け狙い、嬲り殺しにしようとする。その道中、死にかけた兵士を乗せた馬車に遭遇、その兵士こそエンジェルが追っている兵士だったが既に致命傷を負い、息も絶え絶えの中ブロンディに大金の在り処を伝えて事切れた。 南北戦争の戦場を横目に3人の男達は、裏切り、痛めつけ、時には共闘し、出し抜こうと隠された20万ドル相当の硬貨の在り処を目指し、大金が眠る墓場に到着した3人は、20万ドルを総取りできる決闘で決着をつけようとする。 時間だけが過ぎゆく三つ巴の中、ブロンディの銃口が火を吹きエンジェルを倒し、テュコは予めブロンディによって弾丸を抜かれていた空のリボルバーを連射していた。あたかも三つ巴に見えた決闘だったが、テュコは陽動としてブロンディに踊らされていたに過ぎなかったのである。 テュコと組んで仕事をしていた時と同じく、20万ドルを山分けするブロンディだったがテュコに銃口を向けて縛り首にしたまま馬に乗り墓場を去るブロンディ、そのブロンディにありったけの謝罪と命乞いをするテュコ、木に吊られたテュコが縛り首の寸前、ブロンディのライフルの一射によって縛り縄が切られ地面に落ちたテュコは 硬貨が入った袋に頭をしたたかに打ち付け、ブロンディに対してありったけの汚い言葉と罵声を浴びせる。 キャスト主要キャスト
その他のキャスト
日本語吹替
2009年12月11日、セルジオ・レオーネ監督の生誕80周年を記念して『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』、『夕陽のギャングたち』を収録した6枚組のDVDセットが日本で発売された。「セルジオ・レオーネ 生誕80周年記念 夕陽コレクターズBOX -日本語吹替完声版- 」と題され、『夕陽のガンマン』、『続・夕陽のガンマン』はテレビ放送でカットされた部分の吹き替えが追加収録されている。イーストウッドの吹き替えは逝去した山田康雄の代わりに多田野曜平が担当し、それ以外の主要な役は納谷、大塚、小林らテレビ版のオリジナルキャストが再び声を当てている(「続・夕陽のガンマン アルティメットエディション」に収録されていた日本語吹き替えは再放送時の短尺版だが、「日本語吹替完声版」では初回放送の最長版がはじめてDVDに収録された)。 概要『ドル箱三部作』のうち前2作で北米での配給のみ担当していたユナイテッド・アーティスツが、唯一製作にも関わった作品である。本作は1500人の地方兵をエキストラに使い、60トンの爆薬を使用し、160万ドルで製作された(ただし、当時のハリウッド映画としてはむしろ低予算である[4])。映画のロケーション撮影はスペインで行われた。本作品はセルジオ・レオーネの他の監督作品である『荒野の用心棒』、『夕陽のガンマン』と共にゆるやかな三部作を構成している。また、この映画の「ブロンディ」は、イーライ・ウォラック演じるテュコが付けたあだ名である。 ファンの中には、本作品は前二作よりも過去の話だと解釈する者もいる。イーストウッド演じるブロンディが映画の中盤になって前二作のトレードマークの青いシャツ・ベスト・テンガロンハットをエンジェルから貰って着用し、終盤になって南軍の兵士が倒れている戦場からポンチョを手に入れ着るからである。本作で手に入れたポンチョの柄は、『荒野の用心棒』、『夕陽のガンマン』で着用しているものとほぼ同一であり、三部作の関連性と時系列を想起させるものである。しかし公式には、三部作にはつながりや順番を示すようなものはない。マカロニ・ウェスタンの研究家クリストファー・フレイリングは、『セルジオ・レオーネ―西部劇神話を撃ったイタリアの悪童』の中で、これら三つの映画はレオーネも共同の脚本家も、同じ人物の物語とは意図していなかったと指摘している。もっとも、UAは、イーストウッドの「名無しの男」と呼ばれる三作はシリーズ物であると宣伝した。 また、本作は南北戦争時代を舞台としているので、前二作で主に使用された銃であるコルト・シングル・アクション・アーミーは1873年より製造され始めたため使われていない。ブロンディーはコルトM1851・ネイヴィーを使用(ただし、前二作と同様グリップには蛇の模様は描かれている)。テュコも蛇の模様は無いが同様のコルトM1851を使用し、セテンサはレミントンM1858・ニューアーミーを使用している。以上のように、疎かに描写されがちな銃器を精密に描いた、銃器時代考証も見どころと評される。一方、テュコが銃砲店で拳銃を選ぶシーンでは、シリンダーの回転音に耳を澄ませたり、分解を手早く行ってバレルをのぞき込むなど、ガンマニアをも楽しませる描写がある。これらの銃は本来パーカッション方式であるが、メタルカートリッジを装填出来る様に改造されたコンバージョンモデルである。イーストウッドが監督・主演を務めた『ペイルライダー』のプリーチャーが使うレミントンも、コンバージョンモデルである。 また、この映画はレオーネの特徴的な演出でも有名である。つまり、少ない会話、ゆっくりとクライマックスを築く長いシーン、遠景のショットと人物の目や手への極端なクローズアップの対比、といった特徴である。この映画の最初の10分には、何の会話もない。映画中のセリフのほとんどはテュコのものである。 音楽
『続・夕陽のガンマン』の音楽はエンニオ・モリコーネによるものである。一連のリフに砲声や口笛が混ぜられているテーマ曲は、コヨーテの遠吠えに似せたつもりだったと彼は語っている[要出典]。墓地におけるクライマックスの音楽は、まず「黄金のエクスタシー」(原題:L'Estasi Dell'Oro)が流れ、次の三人による対決には「トリオ」(原題:Il Triello)が流れる。モリコーネの楽曲は、この三人の対決を盛り上げている。 モチーフは『ロボット8ちゃん』のエンディング曲『赤い夕陽のバラバラマン』に引用された。 DVD・Blu-ray
脚注
関連項目
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