羅須地人鉄道協会
![]() 羅須地人鉄道協会(らすちじんてつどうきょうかい)とは、成田ゆめ牧場まきば線を拠点に軽便鉄道の動態保存などを行っている鉄道ファンのグループである。 名称は宮沢賢治が農民の生活改善を目的に設立した羅須地人協会に由来する。 概要成田ゆめ牧場の敷地内に「まきば線」(牧場線)として線路(610mm)、ターンテーブル、機関庫などを有し、通常はディーゼル機関車の運転を、年に数回動態保存された蒸気機関車を走行させるなどして牧場の観光に一役買っている。 会員は50名ほどで、その一部は多くの国家試験や豊富な機械加工の経験があり、一般的には難しいとされている蒸気機関車の動態保存の実現に役立っている。アマチュアグループながら蒸気機関車の新製能力も保有し、同グループにより1981年から2024年にかけて6両の蒸気機関車が製造されている。 沿革1973年(昭和48年)4月「羅須地人鉄道協会」発足。東京都町田市内の山林を借り「種山ヶ原」と名付け2フィート軌道の敷設に着手、酒匂川で使用されていたナベトロ(土木工事用側倒車)を入線させ、保存活動を開始。 一方、「全日本小型機関車研究会」の活動を引き継ぐ形で、新潟県糸魚川市の東洋活性白土(現在は会社解散)の協力を得て、同社の専用線で蒸気機関車3号機の動態保存運動を開始。 1974年11月、ディーゼル機関車(加藤製作所製)購入、4号機となる。 1975年12月、ディーゼル機関車(加藤製作所製)購入、5号機となる。 1978年3月、台湾の基隆炭鉱専用線から3号機と同型の蒸気機関車を輸入、6号機となる。 1981年3月、神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア'81)に2両の蒸気機関車(3号機、6号機)とディーゼル機関車(4号機)を貸し出し会場内で運行したが、返却時の整備状態をめぐって博覧会協会側と見解が対立し、民事訴訟を起こすも最終的に敗訴した[1]。 同年4月、当会初の自作蒸気機関車『インジャン・ジョー(INJUN JOE)』完成、12号機となる。 1982年10月、東洋活性白土の解散に伴い同社の専用線も廃止、10月10日のお別れ運転会を以て、動態保存運動は一時中断する[1]。 1983年7月、当会2両目の自作蒸気機関車『マフ・ポッター(MUFF POTTER)』完成、11号機となる。新宿・小田急百貨店の催事場で展示される。 1984年3月、富山県の立山砂防軌道からスクラップ業者経由で、3両のディーゼル機関車(酒井工作所製)と人車とトロッコを購入。機関車は101号機、102号機、103号機となる。 同年5月、静岡県富士宮市のテーマパーク小田急花鳥山脈にて11号機(マフ・ポッター)の運行を開始、1989年まで実施。 花鳥山脈での活動と並行して、新たな活動候補地として、蓼科高原、安曇野、国鉄長倉線跡、国鉄太子線跡、接岨峡温泉などで調査を実施、地元自治体との協議まで進んだり、実際に車輛を持ち込んで展示走行した候補地もあったが、実現には至らなかった。 1993年12月、千葉県成田市の成田ゆめ牧場にて動態保存運動を再開、キャンプ場跡地に2フィート軌道の敷設を開始。その後、各地に分散して保管されていた車両などが搬入される。 1994年4月、11号機(マフ・ポッター)を使用して蒸気機関車による展示運行を開始。 1996年10月、木橋の完成に伴い、1周約500mの軌道『まきば線』が全通。 1999年4月、静態保存されていた東洋活性白土専用線1号機を購入、動態復活に向けてレストア作業開始。 2000年6月、富山県の立山砂防軌道で開催された国際トロッコサミットに参加、6号機を有火展示走行。 2004年に公開したスタジオジブリの映画「ハウルの動く城」にて劇中に使われる蒸気機関車の音やだるま式転轍機の音を収録するために取材を受けた。スタッフクレジット内の協力の欄に成田ゆめ牧場とともに当グループが記載されている。 2005年8月19日-21日の東京ビッグサイトで開催された第6回国際鉄道模型コンベンション(JAMコンベンション)に参加した。屋外展示場に仮設した線路で、11号機(マフ・ポッター)と元立山砂防軌道の貨車で体験乗車を行った[2]。 2006年7月25日には宇宙作家クラブ例会で笹本祐一、山北篤、野尻抱介、あさりよしとおらが来場、蒸気機関の説明を受けた[3]。 2007年7月、江戸東京博物館で開催された「大鉄道博覧会」展示のため東洋活性白土専用線2号機の整備を実施。 2008年10月2日・3日の両日には日本鉄道保存協会の総会に参加[4]、10月12日にはNHKデジタルBS-2『熱中時間“鉄分補給”スペシャル3』に鉄道ファンとしてスタジオ出演した[5]。 2011年6月16日には木造客車の元井笠鉄道のホハ2(西武鉄道時代は31)、ホハ5(西武鉄道時代は33)[6]が西武園ゆうえんちから搬入された[7]。 2015年12月26日・27日に東京芸術劇場および池袋西口公園にて開催された「池袋鉄道模型芸術祭」に参加。11号機(マフ・ポッター)とナベトロを池袋西口公園に仮設した線路上を展示走行した[8]。 2016年1月24日に8輪ダンプを鉄道車両に改造した砕石散布車が導入された[9]。メーカー名から「ヤンマー」と呼称され、2024年に開催された「まきば線まつり」でも展示走行された。 2017年3月25日・26日に「第2回池袋鉄道模型芸術祭」に参加。11号機(マフ・ポッター)と元立山砂防軌道の人車を池袋西口公園に仮設した線路上を展示走行および体験乗車を行った[10]。 2018年5月、当会3両目の自作蒸気機関車『ジンジャー(GINGER)』完成、7号機となる。[11][12]。 2018年8月17日-19日に東京ビッグサイトで開催された第19回国際鉄道模型コンベンション(JAMコンベンション)に13年ぶりに参加した。7号機(ジンジャー)と元立山砂防軌道の人車を会場内に仮設した約50mの線路上で体験乗車を行った[13]。建物内は火気厳禁であるために圧縮空気で動かした[14]。 2019年4月、当会4両目の自作蒸気機関車『バンビーノ(BAMBINO)』完成、8号機となる。 2019年8月16日-18日に東京ビッグサイトで開催された第20回国際鉄道模型コンベンション(JAMコンベンション)に参加した。11号機(マフ・ポッター)とナベトロを改造した客車を、会場内に仮設した約50mの線路上で走らせて体験乗車および体験運転を行った[15]。 2019年9月9日に上陸した令和元年房総半島台風によって線路内への倒木やナベトロが脱線転覆するなどの被害を受け、また成田ゆめ牧場自体も停電により営業を休止したため、全線で運休した。 2019年9月14日に成田ゆめ牧場の再開に併せ、全線で運転を再開した。 2020年5月3日-5日に予定されていた糸魚川時代から続くゴールデンウィークの蒸気機関車による運転会が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言によって成田ゆめ牧場の休園が決まったため中止となった。その後、感染対策を取った上で5月30日より蒸気機関車の運行が再開された。 2020年5月17日にNHK衛星放送テレビジョンで放送された『COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜』にて当グループが出演した。 2020年6月6日にTBSで放送された『A-STEP』にて当グループが放送された[16]。 2020年12月5日に元井笠鉄道のホハ5が営業運行を開始した。 2021年9月、当会5両目の自作かつ初の3軸3シリンダー蒸気機関車完成、9号機となる。この機関車はその後『マズルカ(MAZURKA)』と命名される。 2022年3月20日・21日に「第7回池袋鉄道模型芸術祭」に参加。池袋西口公園に仮設した線路上で有火による7号機(ジンジャー)の体験運転を行った。 2022年8月19日-21日、第21回国際鉄道模型コンベンション(JAMコンベンション)に参加。7号機(ジンジャー)と立山トロッコを改造した客車を持ち込み、会場内に仮設した約50mの線路上で体験乗車を行った。 2022年3月18日・19日に「第8回池袋鉄道模型芸術祭」に参加。池袋西口公園に仮設した線路上で7号機(ジンジャー)に立山人車を連結し体験乗車を行った。 2023年8月、鉄道模型コンテストにて、製造中の自作蒸気機関車『OSCAR(オスカー)』の展示を行った。このオスカーは、2024年6月に株式会社関水金属が開設した「KATO Railway Park」の関水本線[17][18]に納入するため、当会6両目の蒸気機関車として製造された。 2023年8月、第22回国際鉄道模型コンベンション(JAMコンベンション)に参加。8号機(バンビーノ)と立山トロッコを改造した客車を持ち込み、会場内に仮設した約50mの線路上で体験乗車および機関車添乗を行った。 2023年12月、東洋活性白土専用線1号機のレストア完了、動態復活。12月16日、羅須地人鉄道協会設立50周年記念式典開催、翌17日には「まきば線まつり」開催。1号機、3号機、6号機、7号機(ジンジャー)、8号機(バンビーノ)、9号機(マズルカ)、オスカーに火が入ったほか、圧縮空気駆動に改造された11号機(マフ・ポッター)も走行、蒸気機関車八重連(11号機は無火)運行や101号機・102号機・103号機によるディーゼル機関車三重連運行を行ったり、レストアされた頸城鉄道ラキ1などの展示走行も行われ、多くのファンで賑わった。 保有車両![]() 右から順にオスカー、3号機、6号機、7号機(ジンジャー)、8号機(バンビーノ)、11号機(マフ・ポッター)
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脚注
関連項目外部リンク
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