美波の事件簿シリーズ〈美波の事件簿〉シリーズ(みなみのじけんぼシリーズ)は、 谷原秋桜子による推理小説のシリーズ。「激アルバイター・美波の事件簿」シリーズとして2001年に富士見ミステリー文庫より2作が刊行され、2006年より創元推理文庫で復刊、続編が刊行された。2021年には更なる続編が原書房より愛川晶との共著として刊行された。 ストーリー高校生・倉西美波は行方不明の父親を捜すための資金を貯めるべく、日々アルバイトに励む。が、紹介して貰ったバイトは、「寝ているだけで一晩5000円」「立っているだけで1日2万円」など、高給ながらハプニングに満ちており、数々の事件に巻き込まれる。 主な登場人物
書誌情報富士見ミステリー文庫「激アルバイター・美波の事件簿」シリーズとして刊行。 カバー装画・口絵・挿画はまりお金田。
創元推理文庫創元推理文庫版刊行に際して、「激アルバイター」の語が落とされ、〈美波の事件簿〉シリーズと称される。また、富士見ミステリー文庫で刊行されていた第1作・第2作については、表題作品の他に、富士見ミステリー文庫版にはなかった短編が追録されている。 カバー装画・挿画はミギー。
原書房
評価本作が発表された2000年代初頭のライトノベル界はミステリレーベルの設立期であり、富士見ミステリー文庫(2000年11月)、角川スニーカー文庫〈スニーカー・ミステリ倶楽部〉(2001年11月)などが創刊された。ただ「ラノベ界のミステリと一口に言っても、サスペンスはもちろんSF・ホラーをも含むきわめて広義のミステリ作品がその範疇には含まれていた。また、名探偵や怪盗、密室作品という本格ミステリ的な道具立てを使いながらも、それらが単なるガジェットとしての利用にとどまっている作品も散見された」[1]「どちらかと言えば、ジュニア小説、ヤングアダルト小説に、ちょっとミステリーっぽい要素を入れてみました、といった作品がラインナップを占めて」おり[2]、玉石混淆の状態であった。その中で本作は「古典を踏まえた本格ミステリ」としてミステリ作家・ファンに評価された[3]。しかしライトノベルでの本格ミステリ刊行の試みは、ライトノベル・ミステリ両読者層に対してアピールを欠いて失速し、富士見ミステリー文庫もいわゆる「LOVE寄せ」をおこないミステリ度を薄めたため、その結果、本格ミステリとして評価されていた本作は続刊が絶望的な状況になったと見られている[4]。 脚注
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