聖マタイと天使のいる風景
『聖マタイと天使のいる風景』(せいマタイとてんしのいるふうけい、英: Landscape with St Matthew and the Angel)、または『聖マタイと天使のいるローマ近郊の風景』(せいマタイとてんしのいるローマきんこうのふうけい、独: Landschaft aus der römischen Campagna, mit Matthäus und dem Engel)は、17世紀フランスの巨匠ニコラ・プッサンが1639-1640年にキャンバス上に油彩で制作した絵画で、プッサンの最初期の風景画の1つである[1]。教皇ウルバヌス8世の書記ジャン・マリア・ロッショーリ (Gian Maria Roscioli) のために、対をなす『パトモス島の聖ヨハネのいる風景』 (シカゴ美術館) とともに描かれた[1][2]。1873年にシャッラ (Sciarra) ・コレクションから購入されて以来[1]、ベルリン絵画館に所蔵されている[1][3]。 作品![]() 本作『聖マタイと天使のいる風景』と『パトモス島の聖ヨハネのいる風景』は本来、聖ルカ、聖マルコを含む4人の福音書記者を表す、完成しなかった連作の一部であった可能性がある[1]。 画中の聖マタイは、川岸にある遺跡の巨大な残骸の中に座っている。背後には、丘が地平線となっている広大な風景が広がっている[1]。聖マタイの横にいるのは彼を象徴する天使で、彼が福音書を著すのに霊感を与えた[1][3]。しかし、この絵画の主役は厳粛で平和な風景である。ローマの北のテヴェレ川の渓谷に類似している[1][3]この風景の地平線にそびえる遺跡はおそらく、アングィッラーラ (Anguilllara) 近くの「聖ステファノの壁」であろう。それを聖マタイと天使の真上に配置することで、彼らの位置を強調している。人物たちの衣服の青色、黄色がかったオレンジ色、白色は風景の中で繰り返されると同時にやわらげられている[1]。 プッサンと同様にローマに長く暮らしたクロード・ロランの風景画は、時の移り変わりを感じさせる。しかし、プッサンの風景画はより静的な、時間を超えた[1]理想的な世界の凝固したものに思われる[3]。また、本作と『パトモス島の聖ヨハネのいる風景』は、ポール・ブリルやアンニーバレ・カラッチなどによるプッサン以前の風景画に比べると、明らかに新しい壮大さを備えている。とはいえ、これらのプッサンの絵画は、後年の風景画ほどの広大さをまだ持っていない[4]。 脚注
参考文献
外部リンク |
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