複周波数電気車

複周波数電気車(ふくしゅうはすうでんきしゃ、ドイツ語:Zweifrequenztriebfahrzeu、英語:dual frequency motor vehicle)とは、鉄道車両のうち、周波数の異なる2種類の交流電源を、いずれか選択して電気の供給を受けることが可能な電気車(電気機関車電車など)のことである[1]

実例

日本

なお、日本国内で異周波数の電化区間が連続しているのは北陸新幹線のみである[4]在来線用の複周波数電気車は、3電源(直流/50Hz/60Hz)対応の交直流電車からの改造、または機器流用で製作され、かつ電源切り替え機能を交流側に固定したものであり、複数周波数区間の直通運転のために投入されたものではない。

オーストリア

16.7Hz[5](15kV)電化を採用しているオーストリア連邦鉄道が、周辺諸国への乗り入れ用を中心に多数導入している。

以下に示す乗り入れ先鉄道事業者は、いずれも50Hz(25kV)電化を採用している。

チェコ

50Hz(25kV)電化を採用しているチェコ鉄道が、16.7Hz(15kV)電化を採用しているオーストリア連邦鉄道への乗り入れ用に導入している。

ハンガリー

50Hz(25kV)電化を採用しているハンガリー国鉄及びラーバー鉄道が、16.7Hz(15kV)電化を採用しているオーストリア連邦鉄道への乗り入れ用に導入している。

西ドイツ

16+23Hz(15kV)電化を採用した西ドイツ国鉄が、50Hz(25kV)電化を採用するフランス国鉄及びルクセンブルク国鉄への乗り入れ用に導入していた。

ドイツ

西ドイツ国鉄を継承したドイツ鉄道[6]は、21世紀に入ってから車両メーカーによる機関車の共通仕様化にあわせ、複周波数電気車を導入している。

  • ドイツ鉄道182型電気機関車(シーメンス製ユーロスプリンターES64U2)
  • ドイツ鉄道185型電気機関車(ボンバルディア・トランスポーテーション製TRAXXの一形式)

ルクセンブルク

50Hz(25kV)電化を採用しているルクセンブルク国鉄が、16.7Hz(15kV)電化を採用しているドイツ鉄道への乗り入れ用に導入している。

フランス

50Hz(25kV)電化を採用したフランス国鉄が、16+23Hz(15kV)電化を採用した西ドイツ国鉄への乗り入れ用に導入していた。

スイス

16.7Hz(15kV)電化を採用しているスイス連邦鉄道が、50Hz(25kV)電化を採用するフランス国鉄への乗り入れ用に導入している。

スウェーデン

16+23Hz(15kV)電化を採用しているスウェーデン国鉄(2001年に株式会社化してSJ ABとなる)が、50Hz(25kV)電化を採用するデンマーク国鉄への乗り入れ用に導入している。

デンマーク

50Hz(25kV)電化を採用しているデンマーク国鉄が、16+23Hz(15kV)電化を採用するSJ ABへの乗り入れ用に導入している。

脚注

  1. ^ 日本工業規格(JIS)E 4001:2011「鉄道車両−用語」4.2.1.5 11505。英語及びドイツ語はElectropedia”. 国際電気標準会議. 2014年6月19日閲覧。
  2. ^ ただし緊急時の乗り入れのみを考慮しており、定期的な運行はされなかった。
  3. ^ 曽根悟『新幹線50年の技術史』講談社ブルーバックス〉、2014年、57頁。ISBN 978-4-06-257863-9 
  4. ^ 1997年の長野新幹線開業時点で軽井沢駅 - 佐久平駅間に周波数切り替え区間が存在し、E2系・E4系はこれらの区間への乗り入れために増備された。
  5. ^ 1995年10月16日正午に変更されるまでは、16+23Hzだった。
  6. ^ 1995年10月16日正午に、大部分の地域において16+23Hzから16.7Hzに変更された。本記事では、同日以降は16.7Hzとして記述している。

参考文献

宇佐美吉雄「単相交流区間用複周波数機関車」『日本機械学會誌』第64巻第510号、社団法人日本機械学会、1961年7月、117頁、NAID 110002460144 

関連項目

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