電子ブック (規格)電子ブック(でんしブック、Electronic Book)とは、ソニーが中心となって開発した電子書籍の規格、またその規格に基づいて作成された出版物(メディア)である[1][2]。 メディアは文字や画像のデータが収められた8cm CD-ROMをキャディと呼ばれる専用のケースに収めたものを用い、それを電子ブックプレーヤーと呼ばれる専用のハードウェアで利用する[1]。最初の電子ブックプレーヤーは1990年7月に発売されたソニーの「DATA Discman DD-1」で、世界初の電子書籍専用端末とされるが、実質的には電子辞書として扱われることが多かった[3]。電子ブックプレーヤーの発売に合わせて『広辞苑 電子ブック版』や『現代用語の基礎知識 電子ブック 1990年版』など18タイトルが発売された[4]。 松下電器産業と三洋電機も参入し、出版社、メーカー、印刷会社、流通の4者による「電子ブックコミッティー」が設立され、製品の仕様や販売促進、電子ブック規約の改良などについての意見が交わされた[5]。電子ブックプレーヤーは1992年4月に三洋電機から「EXB-1」、6月に松下電器産業から「KX-FBP1」が発売され、電子ブック市場は急速に拡大していった[6]。 1994年には専用キャディからCD-ROMを取り出しての使用が認められ、一般のパソコンでも利用されるようになった[7]。 その後、CD-ROMを使わないIC電子辞書が登場し、電子ブックプレーヤーは2000年に発売された機種を最後に生産を完了し[8]、電子ブックコミッティーも2000年4月に解散した[5]。 仕様電子ブックの仕様は、大別してEB/EBG/EBXA/EBXA-C/S-EBXAがある。
源流が同じことからEPWINGと構造が類似しており、両方に対応している検索ソフトが多いが、電子ブックとEPWINGは互換性がない。ファイル名、ディレクトリ構造、ファイル構成も異なり、のちに拡張された音声と映像の形式やデータ圧縮の方式は異なる。 検索・操作電子ブックの主要な検索方法は以下の通り。ワイルドカードや正規表現は使えない。電子ブックは一般にかなと英字のインデックスのみが記録されており、漢字を含むキーワードでの検索ができない。これは電子ブックが8cmCD-ROMに記録されるために、記録容量に制限があること、電子ブックプレーヤーには「かな漢字変換」機能がないことによる。検索のためのインデックスがなく検索できないものも多い。その場合はメニュー操作になる(例外的に、電子ブックでありながら、漢字のインデックスを備えるものもある)。
電子ブックプレーヤー専用ハードウェア電子ブック検索・閲覧専用ハードウェアとしての「電子ブックプレーヤー」は、ソニー、松下電器(九州松下)、三洋電機などから発売された。 最初の電子ブックプレーヤーは1990年7月に発売されたソニーの「データディスクマン DD-1」で、世界初の電子書籍専用端末とされる[12][3]。電子ブックプレーヤーの発売に合わせて『広辞苑 電子ブック版』や『現代用語の基礎知識 電子ブック 1990年版』など18タイトルが発売された[4]。 1992年4月に三洋電機から「ピッとデータ EXB-1」、6月に松下電器産業から「データプレス KX-FBP1」が発売された[6][13]。 電子ブックプレーヤーには電子ブックが付属している。ソニーの場合、最も多いものは三省堂の国語・英和・和英・外来語・類語・ことわざ、その他の辞書を1枚の電子ブックとしたもので、これは後に、ほとんど同じものが三省堂から「辞書パック10」として発売された。データが圧縮されたS-EBXAの登場以降は、広辞苑と研究社の英和・和英辞典を1枚の電子ブックとしたものとなった。松下電器は福武書店の国語・英和・和英が付属していた。 電子ブックプレーヤーは一部機種を除き、キャディの中身を入れ替えたり、専用キャディを用いることで、8cm音楽CDの再生も可能である。 FM文字多重放送に対応したラジオを内蔵した機種もあった[14]。 2000年に発売されたソニーの「DD-S35」が2003年に生産を完了し、電子ブックプレーヤーの最後の機種となった[8]。 その他ハードウェアゲーム機を電子ブックプレーヤーとして用いるためのソフトウェアとして、ビクター「ワンダーメガ(RG-M2)」用の電子ブックデコーダーカートリッジ「WONDER LIBRARY(RG-ED1)」や、セガからセガサターン(およびビクター「Vサターン」、日立製作所「ハイサターン」)用ソフトウェアとして「電子ブックオペレーター HSS-0120」が発売されていた[15][16]。 松下電器産業「FW-U1CD 300シリーズ(CD スララ)」のように、電子ブックを再生できるCD-ROMドライブを内蔵したワープロ専用機も存在した[15]。 パソコンでの利用ほとんど全ての電子ブックは、キャディからCD-ROMを取り出すと、パーソナルコンピュータで使用することができる。一部の電子ブックには、最初からPC用検索ソフトが付属している。もし付属していない場合でも、電子ブックの検索ソフトは市販製品だけでなく、フリーウェアも多いので用途や好みに応じて選択できる。ただし元来が専用ハードウェアを前提とした仕様のため、何らかの制限が残ることも多い。全てのファイルをディレクトリ構造を保ったままハードディスクにコピーして使用すれば、CD-ROMがなくとも使用できるようになる。 過去にはキャディからCD-ROMを取り出さずにセットできる専用ドライブ(ソニーDD-DR1、ただし検索ソフトは専用品)や、一般のコンピュータに接続しコンピュータ上の検索ソフト(専用品)から検索でき、かつ単体でも電子ブックの検索ができる電子ブックプレーヤー(ソニーDD-30DBZ)も発売されていたが、あまり普及しなかった。 出版タイトル実際に出版された電子ブックの分野は多岐にわたり、
などがある。1998年時点で約230タイトルが流通していた[17]。電子ブックプレーヤーに同梱されるほか、大手書店などでも流通していた。少数ではあるがアメリカやドイツで制作・発売された電子ブックもあった。 出典
参考文献
関連文献
外部リンク電子ブック全般PC用ビューアなど |
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