青の洞窟の恐怖
『青の洞窟の恐怖』(あおのどうくつ の きょうふ、英: The Terror of Blue John Gap)は、サー・アーサー・コナン・ドイルによる短編小説。1910年にストランド・マガジンに初掲載された[1]。マージー・デック[2]とナンシー・ホールダーによる「青の洞窟の恐怖プロジェクト」の継続的な研究テーマとなっている[3]。 物語は結核から回復し、休養とリラクゼーションを求めてダービーシャーの農場に滞在したイギリス人医師の冒険を描く。彼は一連の不吉な出来事に巻き込まれ、「青の洞窟」を取り巻く謎とそこに潜む「恐怖」を解明せざるを得なくなる。 あらすじダービーシャーの農場で療養中のジェイムズ・ハードキャッスル医師は、ローマ時代のダービーシャーのブルージョン鉱山に青の洞窟を発見する。博士は鉱山には羊を盗む怪物が潜んでいるという地元農民の警告を無視して、鉱山と鉱山につながる広大な地下構造の調査を開始する。 ハードキャッスルは洞窟内で何か大きな生き物が動く音を聞き、その生き物が地元の羊を捕食している証拠だと確信する。しかし友人の伝手を頼って助けを求めた相手に正気を疑われ信じてもらえなかったため、彼は1人で立ち向かう決意を固める。その生物に辛うじて傷を付ける事に成功したものの、彼自身も重傷を負った。 ハードキャッスルを信じる地元の人々は、怪物が鉱山に戻った後に鉱山を封鎖した。ハードキャッスルは肺結核で亡くなるが、ロンドンの同僚を説得しようと自身の体験を書き残した。 主題『青の洞窟の恐怖』の中核を成す主題の1つが、ハードキャッスルが世間に自分を信じてもらうのに苦労する点である。これはコナン・ドイルの別の登場人物、チャレンジャー教授が『失われた世界』での冒険の真実を世界に信じてもらうのに苦労する様子とよく似ている(『青の洞窟の恐怖』の生き物は『失われた世界』の生き物と同じく先史時代の生き残りである)[4]。 コンゴ自由国の残虐行為への批判や心霊主義への傾注など、さまざまな大義の活動家としてのコナン・ドイルの経歴とも重なる。前者については否定され、後者については疑念を持たれた。その点についてフィリップ・グッデンは、科学界の方が間違っていることを大胆に証明したジェイムズ・ハードキャッスル博士とチャレンジャー教授は、ドイルにとっての願望実現であったのかもしれないと結論づけている[4]。 登場人物
ロケーション
ブルージョン→詳細は「en:Blue John (mineral)」を参照
ブルージョンは半貴石鉱物で、紫がかった青または黄色がかった色の帯がある希少な蛍石である。イギリスでは、ダービーシャー州キャッスルトンの青の洞窟とトリーク・クリフ洞窟でのみ発見されている。19世紀には装飾品として盛んに採掘され、現在も小規模に採掘が続けられている。 日本語訳
脚注
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia