「2匹のオルギータス 」("Dos Oruguitas ", [dos oɾuˈɣitas] )は、ディズニー の2021年の長編アニメ映画『ミラベルと魔法だらけの家 』の楽曲である。2021年11月19日にウォルト・ディズニー・レコード よりサウンドトラック の一部として発表され、アメリカの音楽家のリン=マニュエル・ミランダ が制作し、原語版はコロンビアのシンガーソングライターのセバスチャン・ヤトラ (英語版 ) が歌った。
この曲は『ミラベルと魔法だらけの家』の主人公ミラベル の祖父であるペドロ・マドリガルの生と死を描いたフラッシュバック で使われた。オリジナル歌詞はスペイン語であるが映画のエンドクレジットでは「Two Oruguitas」という題の英語バージョンが流された。音楽評論家からはこの曲の情感、プロダクション、歌詞、ヤトラのボーカルが賞賛され、しばしば『ミラベルと魔法だらけの家』の最高の1曲として挙がった。商業的にはアメリカのBillboard Hot 100 でトップ40入りを果たし、ヤトラにとって初の同チャート登場となった。さらに第94回アカデミー賞 歌曲賞 にノミネートされた。
背景と公開
コロンビアのシンガーソングライターのセバスチャン・ヤトラ (英語版 ) が「2匹のオルギータス」を歌った。
『ミラベルと魔法だらけの家』はウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ の映画第60作となるアメリカ合衆国のコンピュータアニメーション ・ミュージカル ・ファンタジー映画 である。この曲は映画のサウンドトラック の6トラック目として収録された。作詞・作曲はアメリカ合衆国のシンガーソングライターのリン=マニュエル・ミランダ であるが、彼はサウンドトラックの他の7曲も作曲している。また彼は以前にもディズニーの2016年のアニメ映画『モアナと伝説の海 』の楽曲を手がけていた[ 1] 。原語版を歌うのはコロンビア生まれアメリカ育ちのセバスチャン・ヤトラである。ヤトラは彼の曲「Adiós」を聴いたミランダによって『ミラベルと魔法だらけの家』のサウンドトラックに誘われ、この曲を歌うこととなった[ 2] 。
制作
「2匹のオルギータス」はミランダが初めて全てスペイン語で書いた曲である。このスペイン語の量は彼のコンフォートゾーンをはるかに超えていた[ 3] [ 4] 。ミランダは「常に翻訳を感じることが出来るため、英語で書いてから翻訳するのではなく、スペイン語で書くことが重要だった」と述べた[ 5] 。彼の目標は「昔から存在していたような」コロンビア・フォークを作ることであり、そうすることによって付随するアニメーションで描かれる家族の辛い歴史がより見やすくなると考えた[ 3] 。彼は特に作曲家のアントニオ・カルロス・ジョビン とジョアン・マヌエル・セラート (英語版 ) からインスピレーションを受けた[ 5] 。
この楽曲と伴奏は当初はプロローグに入る予定であったが、製作チームは映画の終盤の方が合うと判断した[ 6] 。
歌詞と文脈
「2匹のオルギータス」はフラッシュバックの最中に流れるノン・ダイジェティック曲 (英語版 ) である。このフラッシュバックではミラベル は祖母のアルマの過去と彼女が経験した苦難を知る。アルマの夫のペドロとのロマンス、そして戦争から逃れるためにペドロが自己犠牲を払ってアルマを逃したことなどが語られる。この物語はミラベルと祖母を和解させるのに役立つ[ 6] [ 7] [ 8] 。共同監督のバイロン・ハワード はこの曲について「一家の歴史とミラベルが祖母を理解することに関わるので、おそらくこの映画全体の中で最も重要な音楽的ストーリーテリングといえるだろう」と述べた[ 9] 。曲自体は2匹の毛虫が恋に落ち、お互いを手放さなければならないという内容であり、ペドロとアルマの人生における出来事のメタファーとなっている[ 3] 。
評価
批評家の反応
『ビルボード 』の批評家は「秘密のブルーノ (英語版 ) 」を『ミラベルと魔法だらけの家』の中で最も印象深いトラックとしたが、「2匹のオルギータス」は「感情の共鳴と美しい感傷」を持つ心のこもったバラードであるとして最高のトラックに選んだ[ 10] 。『ザ・ラップ (英語版 ) 』のドリュー・テイラーもこれを最高の曲に選び、付随するビジュアルがなくても「スペイン語がわかるかどうかに関わらず、この曲はあなたを号泣させるだろう」と述べた[ 11] 。『スラッシュ・フィルム (英語版 ) の批評家のキャロライン・キャオはこの曲を2位に選び、「失われたものを敬意を表しつつ、生き残った人々に記憶を引き継いで前進するための勇気を与えてくれる哀歌」と表現した[ 7] 。
商業的成績
「2匹のオルギータス」はアメリカのBillboard Hot 100 チャートで初登場83位であり、ヤトラにとっては初の同チャート入りとなった。この曲は最高で36位まで上昇した[ 12] [ 13] 。アメリカのホット・ラテン・ソング (英語版 ) チャートでは2位を記録した[ 14]
受賞とノミネート
チャート
参考文献
^ Davis, Clayton (2022年1月6日). “'Encanto's' 'We Don't Talk About Bruno' Is Topping the Charts. So Why Didn’t Disney Submit It for Oscars? ”. Variety . 2022年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月23日閲覧。
^ “Sebastián Yatra Says the 'Amazing' Lin-Manuel Miranda 'Really Let Me Be Myself' on Song for Encanto ” (英語). PEOPLE.com (2021年11月19日). 2022年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月23日閲覧。
^ a b c “How Lin-Manuel Miranda Channeled Disney Legend Howard Ashman for the 'Encanto' Animated Musical ” (英語). IndieWire (2021年11月18日). 2022年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月24日閲覧。
^ “Lin-Manuel Miranda on Creating Disney Magic With the Music of 'Encanto' ”. Variety (2021年12月3日). 2022年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月24日閲覧。
^ a b “Here's Why the Buzzy 'Encanto' Hit 'We Don’t Talk About Bruno' Won't Be Nominated for an Oscar ”. Billboard (2022年1月7日). 2022年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月24日閲覧。
^ a b “Encanto: Making of the Soundtrack's Most Affecting Song ”. The Wrap (2022年1月19日). 2022年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月24日閲覧。
^ a b “Every Song In Encanto Ranked Worst To Best ”. SlashFilm.com (2021年12月14日). 2022年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月24日閲覧。
^ “Encanto Songs Ranked: Where Does We Don't Talk About Bruno Fit? ”. The Wrap (2022年1月10日). 2022年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月24日閲覧。
^ Spencer, Ashley (2022年1月13日). “We’re Going to Talk About ‘Bruno,’ Yes, Yes, Yes ”. The New York Times . 2022年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月24日閲覧。
^ “Five Burning Questions: ‘Encanto’ Soundtrack Takes Over the Charts ”. Billboard (2022年1月11日). 2022年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月13日閲覧。
^ “Encanto Songs Ranked: Where Does We Don't Talk About Bruno Fit? ”. TheWrap (2022年1月10日). 2022年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月14日閲覧。
^ “Hot 100: Week of January 15, 2022 ”. Billboard . 2022年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月11日閲覧。
^ Trust, Gary (2022年1月31日). “'We Don't Talk About Bruno,' From 'Encanto,' Hits No. 1 on Billboard Hot 100 ” (英語). Billboard . 2022年1月31日閲覧。
^ Molanphy, Chris (2022年2月4日). ““We Don’t Talk About Bruno” Didn’t Get to No. 1 Just Because It’s Catchy ” (英語). Slate Magazine . 2022年2月5日閲覧。
^ Cohn, Gabe (2022年2月8日). “2022 Oscars Nominees List” (英語). The New York Times . ISSN 0362-4331 . https://www.nytimes.com/2022/02/08/movies/2022-oscars-nominees-list.html 2022年2月8日閲覧。
^ Lattanzio, Ryan (2021年12月13日). “Critics Choice Awards Film Nominations Led by 'Belfast' and 'West Side Story' ”. IndieWire . 2021年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2021年12月13日閲覧。
^ “2021 Awards ”. Georgia Film Critics Association (英語版 ) . 2022年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月7日閲覧。
^ “Golden Globes: 'The Power Of The Dog', 'West Side Story', 'Succession' Lead Way – Complete Winners List ”. Deadline (2022年1月9日). 2022年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年1月10日閲覧。
^ France, Lisa Respers (2021年12月13日). “Golden Globes 2022: See the list of nominees ”. CNN . 2021年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2021年12月13日閲覧。
^ Vonder Haar, Peter (2022年1月4日). “The Power Of The Dog Is Compelling Enough To Lead The 2021 Houston Film Critics Society Nominations” . Houston Press . オリジナル の2022年1月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220104113216/https://www.houstonpress.com/arts/things-to-do-the-2021-hfcs-awards-nominations-12627407 2022年1月4日閲覧。
^ Vonder Haar, Peter (2022年1月20日). “Houston Film Critics Society Announces Their 15th Annual Award Winners” . Houston Press . オリジナル の2022年1月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220121152447/https://www.houstonpress.com/arts/the-2021-houston-film-critics-society-award-winners-12720617 2022年1月21日閲覧。
^ "Sebastian Yatra Chart History (Canadian Hot 100)" . Billboard .
^ “Top 100 Colombia – Semana 51 del 2021 – Del 17/12/2021 al 31/12/2021 ” (スペイン語). National-Report . 2021年12月31日時点のオリジナル よりアーカイブ。2022年1月27日閲覧。
^ “Sebastian Yatra Chart History (Global 200) ”. Billboard . 2022年3月20日閲覧。
^ "Sebastian Yatra Chart History (Hot 100)" . Billboard .
^ "Sebastian Yatra Chart History (Hot Latin Songs)" . Billboard .