Mk.86 砲射撃指揮装置
Mk.86 砲射撃指揮装置(英語: Mark 86 Gun Fire Control System, Mk.86 GFCS)は、アメリカ海軍が開発した艦砲用の砲射撃指揮装置(GFCS)。 来歴アメリカ海軍では、第二次世界大戦直前に開発したMk.37 砲射撃指揮装置をもとに、レーダーの更新やデジタル化などの改良を施したMk.68を開発し、1960年代末より水上戦闘艦における主力GFCSとして採用してきた。一方で、原設計が1930年代末であったことから性能の陳腐化が危惧されており、1961年より、新設計の新型GFCSの開発が着手された。当初は両用戦支援を重視しており、同時に4個の目標を追尾して2個と交戦する能力が要求されていた。また、海軍戦術情報システム(NTDS)との連接も求められた。その後、1967年には対空射撃能力と艦対空ミサイル(SAM)誘導用の連続波照射(CWI)能力が要求に追加され、これに応じてモノパルス追尾レーダーとしてAN/SPG-60が追加された[1]。 設計レーダー上記の経緯により、本機は、捕捉レーダーとしてのAN/SPQ-9と、追尾レーダーとしてのAN/SPG-60という、2基のXバンド・レーダーを備えている。 AN/SPG-60は60 nmi (110 km)以内の空中目標の探知・追尾を担当するモノパルス・レーダーであり、連続波照射(CWI)時の出力は5キロワット。これは、SM-1MR艦対空ミサイルによって、レーダー反射断面積(RCS)1m²の目標に対して20,000ヤード (18 km)の距離で交戦するのに十分な性能である。目標速度はマッハ3まで対応できるとされている。また、電子攻撃を受けている状況などに対応するため、低光量テレビカメラ(LLLTV)も連接されている。平均故障間隔(MTBF)は300時間と推測されている[1]。 一方、AN/SPQ-9は低高度・水上目標に対するパルスドップラー・レーダーであり、高走査速度(60 rpm)と捜索中追尾(TWS)能力を特徴とする。AN/SPQ-9のアンテナは饅頭型のレドームに収容されている。また、タンカー戦争などのペルシア湾の情勢を受けて、1988年度より小型・高速の水上目標に対処するための緊急改修(high-speed maneuvering target, HSMT)が開始され、画像処理装置の強化や光学追尾装置の統合、低空探知・識別能力の強化が行われた[1]。 電子計算機射撃指揮・目標情報管理用のコンピュータとしては、当初はMk.152 (UNIVAC-1219) が採用された。これは、NTDSやITAWDS、あるいはターター・システムのMk.74 ミサイル射撃指揮装置からの目標情報移管にも対応している。空中目標追尾にはAN/SPG-60、水上目標追尾にはAN/SPQ-9と別々のレーダーを使うこともあって、本機は同時に5個の目標(水上目標4個と空中目標1個)を追尾し、うち2個の目標(水上目標2個か水上・空中目標1個ずつ)と交戦可能である。また、Mk.152を、より大型のAN/UYK-7に換装した場合、120個の目標を同時追尾することができた。システムには、管制官(COC)用のMk.67 コンソール1基、砲操作員(GCC)あるいは武器操作員(WCC)用のMk.113 コンソール2基が配されていた[2]。平均故障間隔(MTBF)は416時間、平均修復時間(MTTR)は18分と要求されていた[1]。 バージョンMk.86は主としてMk.45単装砲搭載艦に装備されており、下記のような構成がある[1]。
搭載艦艇
脚注出典
参考文献
関連項目 |
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