SIG SAUER P320

SIG SAUER P320
SIG SAUER P320 コンパクト
概要
種類 自動拳銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 SIG SAUER
性能
銃身長
フルサイズ
4.7インチ (120 mm)
キャリー
コンパクト
3.9インチ (99 mm)
サブコンパクト
3.6インチ (91 mm)
使用弾薬
装弾数
フルサイズ
キャリー
17発(9mmパラベラム弾)
14発(.40S&W弾、.357SIG)
10発(.45ACP弾)
コンパクト
10/15発(9mmパラベラム弾)
13発(.40S&W弾、.357SIG)
9発(.45ACP弾)
サブコンパクト
12発(9mmパラベラム弾)
10発(.40S&W弾、.357SIG)
6発(.45ACP弾)
拡張マガジン
21/30発(9mmパラベラム弾)
作動方式 ショートリコイルティルトバレル
シングルアクション
全長
フルサイズ
8.0インチ (200 mm)
キャリー
7.2インチ (180 mm)
コンパクト
7.2インチ (180 mm)
サブコンパクト
6.7インチ (170 mm)
重量
フルサイズ
29.4オンス (830 g)
キャリー
26オンス (740 g)
コンパクト
25.8オンス (730 g)
サブコンパクト
25オンス (710 g)
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SIG SAUER P320(シグ・ザウアー、英語読みでは、サウアー)は、2014年発表のSIG SAUER設計製造によるアメリカ合衆国自動拳銃(オートマチック・ハンドガン)である。前身となった2004年発表のP250を基に開発。アメリカ軍の軍用モデル・M17/M18が制式に採用され、その他各国の軍隊警察でも採用された。

しかし、後述の度重なる暴発問題により複数の軍隊や警察で調達や運用の差し止め措置が実施されていると共に、SIG SAUER社は暴発により負傷した複数の被害者から訴訟を起こされている[1]


概要

SIG SAUER社が、2014年1月のSHOT Showで発表した自動拳銃で、同社で初めて撃発方式にストライカー式を採用した。フレームはポリマー、スライドにステンレス鋼を使用、ピカティニー・レールを装備している。

同社のP250が基になっており、グリップモジュール・マガジンは共用が可能[2]、モジュラー構造による拡張性も引き継いでいる。

サイズは、フルサイズ・キャリー・コンパクト・サブコンパクトの4サイズが存在する。使用弾薬は、9mmパラベラム弾・.40S&W弾・.357SIG弾で後に.45ACP弾も追加された。

暴発問題

落下時の暴発

2017年7月、テキサス州のダラス警察署はP320に暴発の危険性があるとして、調査終了までP320の携帯を止めるよう全職員に指示した[3]。この問題ではP320のグリップ背面が33°の角度で地面に落下すると暴発する危険性があるとされた。これはトリガー重量のせいと考えられ、一部のトリガーは銃の落下衝突後に慣性で作動するほど重かった。TheTruthAboutGuns.com英語版などは独立したテストを実施し、約40%の割合で落下による暴発の危険性があることを確認した[4]

安全装置の欠陥が示唆されている暴発

2023年2月、バージニア州アメリカ空軍フォート・ユースティスの第221憲兵分遣隊に所属する軍曹が携行していたM18が暴発した。この事例は施設内の廊下で軍曹が上官と立ち話をしていた際、その場に通り掛かったもう一人の兵士と拳銃のホルスター同士が接触した途端に軍曹のM18が暴発したもので、軍曹は脚に全治6か月の傷を負った。また同月には沖縄県米海兵隊キャンプ・フォスターで警備業務に従事していた日本人従業員が携行していたM18も暴発した。この事例では監視カメラの映像記録を検証した結果、従業員が銃の取り扱いを誤ったわけではなく、安全装置が掛けられていたにもかかわらず暴発した事が判明した[5]

2024年7月、ミシガン州警察の警官がホルスターに収めて携行していたM18が暴発した。この事例がFBIの弾道研究所により調査された結果、P320は法執行官によくある所作により安全装置の機能が失われて暴発する可能性がある事が示唆された[6]

採用国

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アメリカ陸軍M9拳銃の後継として、手動セフティレバーを追加した9x19mmパラベラム弾仕様のM17(フルサイズ)とM18(コンパクト)を採用すると発表した[7][8]。選定作業はアメリカの陸軍と空軍の主導によるモジュラーハンドガンシステム(MHS)ないしXM17計画にもとづいて実施された。
XM17 Modular Handgun System competition
アメリカ合衆国移民・関税執行局
法執行機関
オーストラリアの旗 オーストラリア
オーストラリア軍が9mmパラベラム弾X-Carry ProモデルをF9の名称で採用、Hi-Power Mk3を置き換える[9][10]。2024年12月に最初の300丁が受領され、第7旅団などに支給された[10]
カナダの旗 カナダ
カナダ軍が9mmパラベラム弾C22モデルを採用。[11][12]
タイ王国の旗 タイ
タイ王国国家警察庁が9mmパラベラム弾モデルを採用[13]
 デンマーク
デンマーク国防軍がXシリーズのキャリーサイズ9mmパラベラム弾モデルを採用[14]
 ノルウェー
ノルウェー警察がXシリーズを採用[15]
フランスの旗 フランス
フランス国鉄の警備部門がコンパクトサイズ9mmパラベラム弾モデルを採用[16]

脚注

  1. ^ Air Force command pauses M18 pistol use after airman’s death at Wyoming base”. apnews.com (2025年7月25日). 2025年7月31日閲覧。
  2. ^ 『Gun』2014年12月、9頁。 
  3. ^ Breaking: P320 Recall Issued By Dallas Police - Prohibited From Duty Till Repaired - The Firearm Blog”. 2025年2月7日閲覧。
  4. ^ Breaking: TTAG Test Shows P320 Striker-Fired Pistols Are Not Drop-Safe - The Truth About Guns” (2017年8月8日). 2017年8月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月9日閲覧。
  5. ^ Documents detail U.S. soldiers shot by their own Sig Sauer guns; military says no reason for concern”. nhpr.org (2024年6月25日). 2025年7月29日閲覧。
  6. ^ The FBI P320 Files (World Exclusive)”. youtube.com (2025年7月8日). 2025年7月29日閲覧。
  7. ^ “SIG SAUER, Inc. Awarded the U.S. Army Contract for its New Modular Handgun System (MHS)” (Press release) (英語). SIG Sauer. 20 January 2017. 2017年1月30日閲覧.
  8. ^ “U.S. Army Fields SIG SAUER M17/M18 Pistols)” (Press release) (英語). SIG Sauer. 29 November 2017. 2018年2月28日閲覧.
  9. ^ “ADF signs up for next generation of weapons”. Defence News (Press release). Department of Defence. 30 September 2022. 2022年10月5日閲覧.
  10. ^ a b Sohini Mandal (2025年4月8日). “Australia rolls out new close combat weapons”. janes.com. 2025年4月9日閲覧。
  11. ^ Kanadische Spezialkräfte setzen die Einführung der SIG 320 fort” (ドイツ語). soldat-und-technik.de (2022年7月12日). 2022年7月19日閲覧。
  12. ^ Defence, National (2022年10月6日). “Canada awards contract for new Army pistols”. www.canada.ca. 2022年10月7日閲覧。
  13. ^ Police chief to seek approval from ministry to make direct order of 150,000 Sig Sauer pistols” (英語). Thai PBS (2015年8月21日). 2015年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  14. ^ デンマーク国防軍の新制式ピストルに『SIG P320 X-Carry』が選定”. ミリブロNews. 2020年1月22日閲覧。
  15. ^ ノルウェー警察が一部機関の標準サービスピストルに『SIG P320 X』シリーズを採用”. ミリブロNews. 2020年3月1日閲覧。
  16. ^ 🇫🇷 Une nouvelle arme de service pour les agents de la SUGE, la police ferroviaire.” (フランス語). Actu17 - L′info Police Sécurité Terrorisme. (2017年8月26日). 2020年3月1日閲覧。

関連項目

外部リンク

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