コズミック・ファンタジー
『コズミック・ファンタジー』は、1990年から1994年にかけてPCエンジン、メガCDで発売されたコンピュータRPGシリーズ。2022年よりNintendo Switch用ソフトで復刻版が発売されている。 概要日本テレネットのブランド「レーザーソフト」(メガCD版のみ「RIOTブランド」)によるRPGシリーズで、企画・シナリオ・監督は越智一裕、メカデザインはアニメーターの小原渉平。CD-ROMによるテレビゲームの黎明期に「RPGの重要シーンにアニメーションを使って表現する」手法を本格的に採用した作品である。該当シーンは作品中は「ビジュアルシーン」と呼ばれている。 ゲームを原作として、後にファンクラブ発足や小説、漫画、OVAが発売されるまでに至る人気作となった。このうち漫画版は、『月刊PC Engine FAN』誌に越智一裕によって1年3か月間連載され、いくつかのコマを修正後に単行本化された(全2巻・徳間書店)。 シリーズ作品中、PCエンジン版の『コズミック・ファンタジー2 冒険少年バン』のみTurboGrafx-CD用として海外版も発売された。 基本的なゲームシステム本シリーズは基本的に、主人公の「コズミック・ハンター」が一つの星を探索し、最終的に宇宙海賊などの敵を倒すというのが大まかなストーリー。コズミック・ハンターとは民間組織CSC「コズミック・セキュリティ・カンパニー」に所属する、警察の刑事のようなものである。 その中で、主人公級のキャラクターは各作品で男女2人を基本とし、その後1作品中〜数作品を経て恋愛感情にまで発展していく。主人公級のキャラクターは最初はそれぞれが単独で行動しており、その出会いの過程も含まれる。 ゲームシステム上はロード時間が長かったり[要出典]、敵キャラのエンカウント率が高いという欠点があった。 作品のヒロインが初めて登場する際には「おやくそく」としてシャワーシーンなどで全裸で出てくるシーンがある。初期作品では手や湯気で体を隠していたが、シリーズが進むにつれて次第にエスカレートしていった(『3』ではセーブデータのファイル名を特定のワードにすることで、各ヒロインのヌードCGが表示される裏ワザも存在した)。これについては越智も「徹夜続きで歯止めが利かなかった」と漫画版の単行本上[要文献特定詳細情報]で書いている。『4激闘編』の裏ワザでは野球拳のミニゲームをプレイできるが、誰に勝利してもバンのヌードグラフィックしか見ることができないジョークめいた代物である。全員に勝利すると野球拳の完全版ソフトを抽選でプレゼントする、という募集告知があったが、これもジョークであり、プレゼント企画自体が架空のもので非売品の完全版は存在しない。なお、当時は家庭用ゲームに年齢制限やCEROレーティングは無く、プラットフォームであるPCエンジンはセクシャルな表現に比較的寛容だった。しかしこれらのシーンは表現規制が厳しくなった後年に発売された復刻版でも修正されることなく収録されており[1]、野球拳に至ってはサヤやリムも登場する完全版として実装されている[2]。 シリーズ作品物語上の時間軸は『3』→『冒険少年ユウ』→『2』→『4』の順番となる。 コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ『コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ(コズミック・ファンタジー ぼうけんしょうねんユウ)』は1990年3月30日 に発売されたPCエンジン用ソフト。主人公はユウとサヤ。PCエンジンCD-ROM2システム黎明期に出来たRPG。このゲームのオープニングは西村知美が歌う「光の海の中へ」が起用された。エンカウントの度にCD-ROMへのアクセスが発生し戦闘開始まで読み込み時間が時々極端に長くなり、長い時は数十秒かかる場合もある。ただ、キャラクター音声の導入や時々挿入される動画などで作品への感情移入を高めるなど、CD-ROMを媒体としたRPGの方向性を模索した作品でもある[要出典]。2018年7月24日よりプロジェクトEGGにて配信開始[3]。 なお、以降本作品を『1』と表記する。 コズミック・ファンタジー2 冒険少年バン→「w:Cosmic Fantasy 2」も参照
『コズミック・ファンタジー2 冒険少年バン(コズミック・ファンタジーツー ぼうけんしょうねんバン)』1991年4月5日 に発売されたPCエンジン用ソフト。。主人公はバンとリムに変わる。この作品以降、前作『1』のユウ・サヤ・もんもも登場し、メインの4人が初めて出揃う作品。『1』の時に露呈したCD-ROMへのアクセススピードも開発のノウハウが蓄積されてきたこともありかなり改善された。しかし、敵はボスを含めて物理攻撃しかないため戦闘は単純であり、敵は魔法を使用しないが魔法攻撃対策のアイテムがゲーム中のアイテムショップに存在するなど、戦闘における問題が残った[要出典]。2018年8月28日よりプロジェクトEGGにて配信開始[4]。 前述のようにPCエンジン版で唯一、英語版もある。ゲームの中身は同じだが、外箱パッケージが劇画調に描き直されており、ビジュアルシーンが英語に吹き替えられている。日本製のPCエンジンでプレイできる。 コズミック・ファンタジービジュアル集1992年2月12日に発売された。『1』・『2』のビジュアルシーンを集めたもの。PCエンジンCD-ROM²版のみ。『2』においてリムのシャワーシーンで規制が緩くなり、湯気がなくなり鮮明になっている。 コズミック・ファンタジー Stories『コズミック・ファンタジー Stories(コズミック・ファンタジー ストーリーズ)』は1992年3月27日に発売されたメガCD用ソフト。既発売の『1』・『2』を一つにまとめたもの。 シリーズ唯一のメガCD用ソフト、そしてブランドが「レーザーソフト」ではなく「RIOT」なのもシリーズ唯一である。独自のオープニングが作られた他、システムに改良も試みられたもののCD-ROMのゲーム2作を1枚のディスクに収めた弊害でビジュアルシーンの大幅削除、また元々良くなかったゲームバランスがPCエンジン版からさらに悪化するなど作品としての完成度の低さもあって名誉挽回には至らず、専門誌のユーザー評価最下位争いの常連の一本となった[要文献特定詳細情報]。 コズミック・ファンタジー3 冒険少年レイ『コズミック・ファンタジー3 冒険少年レイ(コズミック・ファンタジースリー ぼうけんしょうねんレイ)』は1992年9月25日に発売されたPCエンジン用ソフト。『1』より前の話。主人公はレイとマイ。プラットフォームがこの作品からSUPER CD-ROM2となった。 シリーズの正式な主題歌「コズミック・ファンタジー」(歌:高山みなみ)と、エンディング曲として1のBGMに越智が歌詞をつけた「ニャンの歌」(歌:深雪さなえ)が初めて使用された作品。『2』以前の主人公達も出てきており、その中でユウがタイムマシンを使って過去(レイ・マイの時代)に旅立つ。電車の中吊り広告ポスターも制作された。初回出荷版にはセーブしたデータをロードした際に画面が表示されず真っ黒の画面になるバグがある。カーソルを動かすと音が鳴りゲーム自体は動いているので、コマンドの位置を覚えておき再度ロードするか別データからロードし直すと画面が表示される。 コズミック・ファンタジー4 銀河少年伝説『コズミック・ファンタジー4 銀河少年伝説(コズミック・ファンタジーフォー ぎんがしょうねんでんせつ)』は二部作で発売されたPCエンジン用ソフト。1994年6月10日に『突入編 伝説へのプレリュード(とつにゅうへん でんせつへのプレリュード)』が、11月25日に『激闘編 光の宇宙の中で…(げきとうへん ひかりのうみのなかで)』が発売された。SUPER CD-ROM²用。現時点でのシリーズ最後の作品。突入編はユウ・サヤ・もんもの「アルジャーノンチーム」、激闘編はバン・リム・ピックの「リトルフォックスチーム」が主役。 本作で第一部完結とされている。ただし第二部以降は発売されていない。 コズミック・ファンタジーCOLLECTION『コズミック・ファンタジーCOLLECTION(コズミック・ファンタジー コレクション)』は2022年12月15日にエディアより発売されたNintendo Switch用ソフト。『1』と『2』を移植している。 発売元のエディアは2020年に日本テレネット製ゲームソフトの知的財産権を取得しており[5]、2021年、日本テレネットの『夢幻戦士ヴァリス』シリーズを復刻した『夢幻戦士ヴァリスCOLLECTION』と『夢幻戦士ヴァリスCOLLECTION II』をリリースして大きな反響があったことから、それに続く形で本作の開発が決定した[6]。2022年6月24日から7月30日までの期間にはMakuakeでクラウドファンディングが実施され、300万円の目標額に対して1632万6850円の資金が集まった[6][7]。 2023年3月23日には、各作品のダウンロード版が個別に発売された。 コズミック・ファンタジーCOLLECTION2『コズミック・ファンタジーCOLLECTION2(コズミック・ファンタジー コレクションツー)』は2023年12月14日にエディアより発売されたNintendo Switch用ソフト。『3』『4突入編』『4激闘編』を移植している。 前作と同様に2023年8月24日からMakuakeでクラウドファンディングが実施された。目標金額は前回と同様に300万円と設定したところ、初日で目標金額に達している。 2024年6月20日には、各作品のダウンロード版が個別に発売された。 コズミック・ファンタジーMemorial Collection『コズミック・ファンタジーMemorial Collection (コズミック・ファンタジー メモリアルコレクション)』は2025年2月19日にエディアより発売されたNintendo Switch用ソフト。『COLLECTION』『COLLECTION2』をセットにし、シリーズ5作を1本にまとめている。 発売日はユウの誕生日に合わせている。アニバーサリーとして限定版も発売され、パッケージデザインには越智一裕が描き下ろし、新規描き下ろしのアクリルボード、社員章を模したピンズ、当時の会員証を復刻した特典も同梱された[8]。 キャラクターメインキャラクター
主なサブキャラクター
評価
『3』はファミコン通信クロスレビューでは6、5、4、4の23点[12]。レビュアーはシリーズファンは各所で表示されるアニメデモを見るための段取りとして単調なよくあるRPGプレイを進めていくだろうとしつつ長い時間かかる戦闘はもう少し芸が欲しかった、狭いフィールドを有効活用するのはいいがそれゆえ半ば強引な迷路が形成されている気がする、ギャグなのかシリアスなのかノリがよくわからない、敵のエンカウント率の高さに閉口してしまい攻撃はミスすることが多い戦闘は苦痛でイライラさせるだけ、マップは広く複雑、操作面は早歩きと会話ボタンは別にしてほしかった、ちょこまかと主人公がチンケな敵と戦っている安っぽい印象でスピーディーな操作だが今一つノレないとした[12]。 メディアミックス
出典
外部リンク
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