あなたのことはそれほど
『あなたのことはそれほど』は、いくえみ綾による日本の漫画作品。『FEEL YOUNG』(祥伝社)にて2010年10月号から[1]2017年8月号まで[2]不定期に[3]連載された。単行本は全6巻[4]。既婚者の女性が小学校の頃から好きだった同級生と再会し、不倫関係に陥る物語。2017年にTBSテレビ系でテレビドラマ化された[5][6]。 あらすじ29歳の美都(みつ)は偶然小中学校の同級生で初恋の人・有島光軌と再会し、不倫関係となる。有島は妻の出産を機に既婚者であると明かし別れようとするが、美都は自らも夫がいることを明かした上で交際の継続を求める。 2人はその後も逢瀬を重ねるが、有島が常に育児を優先することや、美都の夫・涼太が浮気を知っていたと明かしたことから美都は衝動的に有島宅を訪れ、妻の麗華と面会する。その後涼太も有島夫妻と接触したため、勘のよい麗華は夫への疑念を深めていく。 涼太は浮気を知っても美都を愛し続けると言い、美都も涼太との婚姻を維持したまま有島とも関係を続けようとするが、有島は日に日に冷たくなる麗華を恐れて別れを切り出す。当初は別れ話に応じなかった美都も涼太の束縛を嫌がり、家を出たのち有島との別れを受け入れる。その後美都は涼太に連れ戻されるも、離婚を拒む涼太の執着に恐怖し別居する。 有島が浮気を認めたため、麗華は娘の亜胡を連れて実家に帰る。有島は毎日朝と晩に片道2時間ずつかけて麗華と亜胡のもとに通う。頑なに拒み続けた麗華だが、光軌の浮気に乱された自身の心に興味が湧いたと復縁を受け入れる。 美都は涼太と離婚し、脳出血の後遺症が残る母親の介護に明け暮れる日々を過ごす。涼太は美都への未練を抱えながら、下書きのままになっているメッセージを送ることができずにいる。 登場人物
書誌情報
テレビドラマ
2017年4月18日から6月20日までTBSテレビ系「火曜ドラマ」枠で放送された。主演は波瑠[6]。 キャスト主要人物
その他
スタッフ
放送日程
評価テレビドラマ『あなたのことはそれほど』は、概ね好意的な評価を受けた。作家の山下柚実は、主人公の美都が空っぽ、屈折や罪悪感や負の感情がなく、暗さがなく湿度がない、ある意味空虚という意味で、このドラマをドロドロの対極にある「透明な不倫ドラマ」と称した。また、その主人公の姿がこれまでにはない面白味を生んでいるのではないかと指摘した[11]。朝日新聞[12]、コラムニストのペリー荻野[13]、ライターの吉田潮[14]も同様の指摘をしている。情報サイトモデルプレスは、主人公の美都が『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』、『不機嫌な果実』、『奪い愛、冬』などのこれまで描かれてきた不倫劇の主人公とは一線を画している理由は、彼女の行動の原動力が純粋な「恋する気持ち」でしかないからだと指摘している[15]。ドラマ批評家の成馬零一は、本作は同じ放送枠でヒットした『逃げるは恥だが役に立つ』(略称「逃げ恥」)が取りこぼした結婚と恋愛(あるいは性愛)の分離の可能性という難題に容赦なく踏み込んだ結果、「逃げ恥」に対する強烈なカウンター[16]、あるいはセルフパロディ[17]になっていると評価した。 出演俳優も肯定的な評価を受けた。主演の波瑠についてオリコンは、今まで中性的な役柄が多かった彼女が今作で「女の顔」を全開にした役を演じ、新境地を開いたとコメント[18]。ネットメディアBusiness journalは、ドラマが複数回重ねた時点で、「清純派の波瑠が汚れ役を演じるのはまだ早いのではないか」と論評したが[19]、最終回を迎えた後、「今となっては謝りたい。ここまでもあっけらかんとして悪びれない、不倫をするクズ女なのに透明感のある波瑠の演技がなければ、今作がこれほど注目を集めることも視聴率を残すこともなかったに違いないからだ」と述べ、賛辞を送った[20]。主人公の夫・涼太役を演じた東出の演技は「怪演」と称され、1992年に放送されたドラマ『ずっとあなたが好きだった』で佐野史郎が演じたマザコン夫「冬彦さん」を彷彿とさせるという意見が聞かれた[21][22][23][24]。これに対して佐野は自身のTwitterで、「噂は届いております」と反応。さらに「若き日の演技はその時だけのものかもですが、ご期待に応えられるようにしなきゃ」と俳優として刺激を受けている様子を示した[25]。 受賞
脚注
外部リンク
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