『あなたを抱きしめる日まで』(あなたをだきしめるひまで、Philomena)は、2013年のイギリスのドラマ映画。監督はスティーヴン・フリアーズ、出演はジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンなど。
概要
10代で未婚の母となり、幼い息子と強制的に引き離された女性フィロミナ・リー(英語版)の実話[3]を綴ったマーティン・シックススミス(英語版)のノンフィクション本『The Lost Child of Philomena Lee』を原作としている。
第70回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門でプレミア上映され[4][5]、クィア獅子賞を受賞。スティーヴ・クーガンとジェフ・ポープ(英語版)が金オゼッラ賞(脚本賞)を獲得した[6]。また、第86回アカデミー賞と第67回英国アカデミー賞でそれぞれ4部門にノミネートされ、英国で脚色賞を受賞[3]した。
ストーリー
フィロミナ・リーは若かりし頃、婚前交渉で妊娠したことがあり、カトリックの厳しい戒律により修道院に収容された。フィロミナの息子はアンソニーと言い、修道院で定期的に会う事はできたが、ある日アンソニーはとある家庭の養子となり以後消息が途絶える。
そうして50年の年月が過ぎたが、フィロミナは常にアンソニーの事を気にかけ、娘のジェーンにアンソニーの存在を告白する。ジェーンは偶然にもマーティン・シックススミスと言うジャーナリストと知り合い、母の息子について本を書かないかと持ちかけてマーティンはフィロミナとともに実の息子を探す旅に出る。フィロミナ達は修道院に行くが、アンソニーがどの家庭に養子になったかの記録は火事で燃えてしまい残っていないという。
何かを隠蔽していると感じたマーティンは修道院近くのバーで聞き込み調査をすると、バーの店員によれば、修道院ではアンソニーのような子供を、金銭と引き換えにアメリカに養子に出していたという証言が得られ、フィロミナ達はアメリカ行を決定する。
アメリカではジャーナリストであるマーティンの人脈によって、アンソニーの新たな情報が得られる。アンソニーはアメリカで養子となり、マイケル・ヘス(英語版)と名付けられたことが分かった。マーティンはインターネットでマイケル・ヘスと検索すると、レーガン政権下とブッシュ政権下で法律顧問を務めた人物であることがわかる。フィロミナに顔写真を確認してもらうと、マイケル・ヘスはアンソニーに相違ないと答えた。しかしマイケル・ヘスは既にAIDSで亡くなっていた。
調査を進めるとマイケル・ヘスはゲイであり、かつてのパートナーによれば、フィロミナがいた修道院の墓に眠っていると聞き、フィロミナ達は調査開始地点の修道院に戻り、マイケル・ヘスの墓参りをする。
キャスト
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音楽
評価
批評家の反応
本作は批評家から絶賛された。映画批評サイトRotten Tomatoesには197件のレビューがあり、批評家支持率は90%、平均点は10点満点で7.75点となっている[7]。批評家の意見をまとめると「魅力あふれる実話に基づいた上に、ジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンという実力派俳優の名演に支えられた作品である。目利きの観客にも深い感動を与えうるドラマだ。」となる。Metacriticには42件のレビューがあり、高評価は38件、賛否混在は3件、低評価は1件で、平均点は100点満点で77点となっている[8]。
ただし、本作におけるカトリックの描写に関しては議論がある。ニューヨーク・ポストのカイル・スミス(英語版)は本作を「カトリックへの悪質な攻撃である」と評した[9]。この批判に対し、本作の制作者であるハーヴェイ・ワインスタインはニューヨーク・ポストに全面広告を出して抗議した。
受賞
出典
- ^ a b “Philomena” (英語). Box Office Mojo. 2020年5月13日閲覧。
- ^ 「キネマ旬報」2015年3月下旬号 104頁
- ^ a b c d “映画 あなたを抱きしめる日まで (2013)について”. allcinema. 2020年5月13日閲覧。
- ^ “Venezia 70”. labiennale. 2013年7月26日閲覧。
- ^ “Venice film festival 2013: the full line-up”. The Guardian. 2013年7月26日閲覧。
- ^ “Official Awards of the 70th Venice Film Festival”. labiennale. 2013年9月10日閲覧。
- ^ “Philomena (2013)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年5月13日閲覧。
- ^ “Philomena Reviews” (英語). Metacritic. 2020年5月13日閲覧。
- ^ Smith, Kyle (2013年11月21日). “‘Philomena’ another hateful and boring attack on Catholics” (英語). New York Post. https://nypost.com/2013/11/21/philomena-another-hateful-and-boring-attack-on-catholics/ 2014年1月1日閲覧。
- ^ Frater, Patrick (2013年12月13日). “Australian Awards Laud 'American Hustle'”. Variety. 2013年12月13日閲覧。
- ^ “2013 EDA Award Nominees”. Alliance of Women Film Journalists (2013年12月11日). 2013年12月13日閲覧。
- ^ “Nominations 2013”. British Independent Film Awards (2013年11月11日). 2013年12月3日閲覧。
- ^ Gray, Tim (2013年12月16日). “Critics Choice Awards: '12 Years,' 'American Hustle' Earn 13 Nominations Each”. Variety. 2013年12月16日閲覧。
- ^ “'12 Years A Slave' Leads In Chicago Film Critics Association Award Nominations”. IndieWire (2013年12月13日). 2013年12月13日閲覧。
- ^ Reynolds, Simon (2013年12月12日). “Golden Globes nominations 2013: Movies list in full”. Digital Spy. 2013年12月12日閲覧。
- ^ Smith, Nigel M (2013年10月14日). “'Philomena' and 'Desert Runners' Nab Audience Award Honors at Hamptons International Film Festival”. IndieWire. 2013年12月3日閲覧。
- ^ “London Critics' Circle Announces 2014 Film Awards Nominations”. London Film Critics Circle (2013年12月17日). 2013年12月17日閲覧。
- ^ “Phoenix Film Critics Society 2013 Award Nominations”. Phoenix Film Critics Society. 2013年12月11日閲覧。
- ^ Lodge, Guy (2013年12月13日). “2013 San Francisco Film Critics Circle nominations”. HitFix. 2013年12月14日閲覧。
- ^ “2013 Nominations”. International Press Academy. 2013年12月3日閲覧。
- ^ Breznican, Anthony (2013年12月11日). “SAG Award Noms: '12 Years a Slave' leads while 'The Butler' surprises”. Entertainment Weekly. 2013年12月11日閲覧。
- ^ Venhaus, Lynn (2013年12月9日). “St. Louis Film Critics choose their award nominees”. Belleville News-Democrat. http://www.bnd.com/2013/12/09/2950954/st-louis-film-critics-choose-their.html 2013年12月10日閲覧。
- ^ “TIFF 2013: 12 Years a Slave wins film fest's top prize”. Toronto Star. (2013年9月15日). http://www.thestar.com/entertainment/tiff/2013/09/15/tiff_2013_12_years_a_slave_wins_top_prize_at_film_fest.html 2013年12月3日閲覧。
- ^ “Official Awards of the 70th Venice Film Festival”. 2013年9月8日閲覧。
- ^ Tapley, Kristopher (2013年12月8日). “'12 Years a Slave' and 'Her' lead the way with Washington D.C. critics nominations”. HitFix. 2013年12月9日閲覧。
- ^ Tapley, Kristopher (2013年12月16日). “2013 Women Film Critics Circle winners”. HitFix. 2013年12月17日閲覧。
関連項目
外部リンク
英語版ウィキクォートに本記事に関連した引用句集があります。
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