たかとり型巡視船
たかとり型巡視船(英語: Takatori-class patrol vessel)は、海上保安庁の巡視船の船級。区分上はPM型、公称船型は特350トン型[2][3]。 来歴1960年代中盤、海上保安庁は、原油輸入量の激増と石油タンカーの大型化に伴うタンカー関連海上災害の危険増大に対処するため、昭和43年から昭和52年度計画にかけて、ひりゆう型消防船5隻を整備した[2]。 しかし1974年の第十雄洋丸事件において、これらの消防船は十分に役割を果たしたものの、炎上しつつ市街地に向けて漂流する第十雄洋丸に対して、海上保安庁は有効な対処方法を有しておらず、結局は、巡視船艇・消防船の援護下に民間のタグボートが曳航を実施することになった。このことから、さらなる海上防災能力強化の必要が指摘されるようになり、これに応じて建造されたのが本型である[2][3]。 設計本型では、従来の巡視船としての警備救難業務とともに、第十雄洋丸事件の教訓から消防能力と曳航能力が強化されている。曳航時の復原力確保のため幅広の船型とし、また居住・作業スペース確保のため長船首楼型が採用された[2]。海上保安庁としては初めて試みる船型であったことから、設計にあたっては民間の航洋曳船などが参考にされた[3]。 主機関は従来の350トン型PMと同様に、単機出力1,500馬力の新潟6M31EXディーゼルエンジン[4]を2基搭載して、それぞれ両舷の軸機を駆動する方式とされた。なお推進器は可変ピッチ・プロペラである。なお機器の実態把握・操縦制御機能は極力操舵室に集中された[2]。 装備
またタンカー火災を想定したことから、オイルフェンスの展張設備を有するほか、のちに油回収装置の運用能力も付与された[3]。 炎上する大型タンカーを迅速に曳航するため、船尾には30トンの曳航フックとウインチを備えている。また船首側についても、船首構造を押航可能なように配慮するとともに、後進曳航用として15トンの曳航ビットを設けている。曳航ウインチやオイルフェンス揚収装置などは、すべて防爆化されている[2]。 なお大規模災害時に総合指揮船としての機能を発揮できるよう、中型巡視船(PM)であるにもかかわらず、船橋後部にOIC室を設けている[2]。 同型船
登場作品
脚注出典
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