たゆたえども沈まず
『たゆたえども沈まず』(たゆたえどもしずまず、ラテン語: Fluctuat nec mergitur)は、原田マハによる日本の小説。2017年10月25日に幻冬舎より刊行されたのち、2020年4月8日に文庫化された[1]。 概要フランス・パリで画商のアシスタントをする加納重吉と、その雇用主である画商、林忠正、画家ゴッホとその弟テオとの交流と悲劇を描く。ゴーギャンを初め、実在の人物も多く登場する。 あらすじ日本国内では、瀬戸物の包み紙程度の認識しかなかった日本の浮世絵。これが海外に持ち出された時、その画に芸術的価値を見いだしたのは、後に印象派と呼ばれる名もなき若く貧しい画家達だった。 グーピル商会で働く若き画商・テオは、金を散財するくせに、書いた画を一枚も売れずにいる画家、兄のフィンセントに頭を悩ませている。兄を疫病神のように嫌う一方で、彼の描く画に魅せられ、また高く評価もしていた。 行き詰まりを感じている兄に、その自由な画風が若き芸術家の間で評判となっている浮世絵を見せたいがため、テオは同じパリで美術商をしている林忠正や加納重吉との交流を深めてゆく。 テオから紹介されたフィンセントにただならぬ才能を感じた林は、彼が描く最高の一枚を手に入れるため、ある閃きから、アルルへの移住を薦めるが、それはゴッホ兄弟にとって悲劇の始まりだった。 主な登場人物
たゆたえども沈まず![]() ”どんな時であれ、何度でも。流れに逆らわず、激流に身を委ね、決して沈まず、やがて立ち上がる” セーヌ川はパリの中心部に位置し、パリはセーヌ川の中州にあるシテ島を発展していった経緯がある。「たゆたえども沈まず」は氾濫など災害にも決して流されることのないこの島にあやかるため、川を行き交う漁民・船員がおまじないとして口にしていた言葉だが、徐々に市民にも広まっていった。 「たゆたえども沈まず」を意味するラテン語「Fluctuat nec mergitur」は、16世紀からパリ市の紋章のモットーとなっている[2]。 装丁表紙にはフィンセント・ファン・ゴッホの代表作の一つである「星月夜」が用いられている。また物語の終盤にも登場する。カバーデザインは重実生哉が担当[3]。 脚注注釈出典
外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia