のと里山海道
![]() のと里山海道(のとさとやまかいどう)は、石川県金沢市から同県鳳珠郡穴水町へ至る高速道路(自動車専用道路)である。石川県道60号金沢田鶴浜線、石川県道1号七尾輪島線のそれぞれ一部から構成されている。また、国土交通省により建設された国道470号能越自動車道穴水道路を含むことがある[1]。 かつては石川県道路公社管理の一般有料道路能登有料道路(のとゆうりょうどうろ)であったが、2013年(平成25年)3月31日12時に無料開放された[2]。公募により無料開放後の愛称は、ふるさと紀行「のと里山海道」(ふるさときこう「のとさとやまかいどう」)[3][4][5]となった。通称ならびに案内標識の表示はのと里山海道が使用されている[6]。 高速道路ナンバリングによる路線番号は、千鳥台出入口から徳田大津ジャンクション (JCT) 間に「E86」、能越自動車道との重複区間である徳田大津JCTから穴水インターチェンジ (IC) 間に「E41」がそれぞれ割り振られている[7]。 概要のと里山海道は、全区間を石川県が管理する主要地方道で、県庁所在地の金沢市と能登半島とを結ぶ大動脈となっている。千鳥台出入口 - 徳田大津IC、および粟崎IC - 大根布JCTは石川県道60号金沢田鶴浜線[注釈 2]、徳田大津IC - 穴水IC(能越自動車道穴水道路開通以前は此木IC)は石川県道1号七尾輪島線である。このうち、金沢田鶴浜線の区間は能登海浜道路として建設され、のちに金沢能登連絡道路の一部として地域高規格道路に指定されている。また、七尾輪島線の区間は能登半島縦貫有料道路として建設され、のちに国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)(B路線)である能越自動車道の現道活用区間となっている[8]。 1987年(昭和62年)8月10日の道の日に、旧建設省と「道の日」実行委員会により制定された、「日本の道100選」の一つに選定されている[9][10][11]。 路線データ
直線化事業直線化区間として金沢市粟崎町4丁目から内灘町大根布に至る延長3.4 kmの区間が整備され、2013年(平成25年)3月20日に供用された[12]。当該区間のうち、千鳥台出入口 - 大根布JCT間が本線として扱われている[13]。
能登海浜道路以下に建設当初の諸元を示す[1][14][14][15][14]。
1期区間では砂丘地であり、盛土材も砂であったことから浸食対策に苦慮した。2期区間では遺跡やため池が多くあり、それらを極力避けた線形とし、迂回不能なものは高架橋で遺跡保存を行った。また、用地買収に難航し、石川県で初めて土地収用を行った[15]。 能登半島縦貫有料道路
丘陵地帯を通過することから、高規格道路としての道路構造令上の基準を満たしたうえで、切土・盛土バランスを調節した[15]。 穴水道路→「能越自動車道」も参照
以下に建設当初の諸元を示す[16]。
インターチェンジなど![]() ![]()
旧線2013年(平成25年)3月19日まで、本線として扱われていた。
歴史戦後昭和時代の能登半島では、日本海に細長く突き出た半島特有の地理的条件により地域格差が生じ、石川県では能登半島の地域格差をなくすことが課題となっていた[17]。県では、これら地域格差を是正するため、県内半日行動圏・一日生活圏の確立と、県土の均衡ある発展を目指すことを目的として、能登半島を縦貫する自動車専用道路を計画し、1982年(昭和57年)に能登有料道路(延長82.9 km)[5]が全線開通した[17][18][19]。 能登有料道路時代![]() 有料道路時代は能登有料道路という道路名で、能登海浜道路(金沢市粟崎 - 徳田大津IC)と能登半島縦貫有料道路(徳田大津IC - 穴水町此木)からなる自動車専用道路であった[18][17][20][21]。当時は地図により「能登有料道路」[22]や「能登道路」[23][24]の表記も見られた。1990年(平成2年)から石川県道路公社により管理・運営され、全長82.9 km(キロメートル)は地方道路公社が運営する一般有料道路としては日本最長であった[17][25]。 旧能登有料道路時代に、2度の大きな自然災害に見舞われている。1985年(昭和60年)7月の豪雨災害により、柳田IC - 此木IC(現・穴水IC)で大小合わせて30か所、延べ1,370 m(メートル)にわたって路盤崩落し、法面崩壊などが起こった。復旧作業により、同年7月25日に片側交互通行で暫定開通し、1986年(昭和61年)7月30日に完全復旧した。もう一つは、2007年(平成19年)3月25日の能登半島地震により、徳田大津IC - 穴水ICで8か所の路盤崩落が発生した。このとき、 同年4月27日には迂回路を設けるなどして全線2車線で暫定開通し、同年11月30日に本線上の全ての被災箇所における補修工事が完了した[26]。 料金徴収期間は、当初は2014年(平成26年)1月29日までとしていたが、北陸新幹線の金沢延伸開業を見据えて、アクセス道路の利便性を高めて、交流人口の拡大を目指すために、2013年(平成25年)4月1日からの無料化が決定し[27]、横田料金所にて式典を行うに当たり、同年3月31日正午に前倒しされた[2][28][29]。無料化によって、公募により道路名は「のと里山海道」と改められ、これに伴って石川県道路公社の管理道路すべてが無料化される運びとなり、同公社は廃止された[2][30]。なお、全体の建設費は約461億円で[5]、石川県が道路公社の債権約135億円を放棄したことにより無料化が実現した[5]。 無料化により、利便性が格段に向上した[31]。また、柳田IC - 上棚矢駄IC間では無料化前後で交通量が約2倍となった[1]。 年表
能登有料道路時代の料金本線上およびインターチェンジのランプウェイ部に4か所(内灘、今浜、上棚矢駄、横田)とインターチェンジのランプウェイ部のみに2か所(白尾、米出)の料金所があり、料金所を通過するときにその前の料金所からの区間の料金を支払う必要があった[76]。ただし、高松IC - 県立看護大IC間、千里浜IC - 柳田IC間、西山IC - 徳田大津IC間は料金所が設けられていなかったため、これらの区間限定の通行では実質的に無料で利用できた。 料金は料金所にて現金、回数券、石川のみちカード(プリペイドカード)のいずれかでの支払いが行われ、ETCの利用はできなかった[50]。 以下の料金は、無料化直前のものである。当時、起点から終点までの間に4つの料金所があり、普通自動車で全線利用した場合、料金は合計1180円かかった[76]。 普通自動車の料金の内訳は以下の通りである。
割引
路線状況![]() 起点から北へ約20 kmの地点にある高松サービスエリア (SA) は、道の駅高松としても登録されており[53]、屋根に地元特産の高松瓦や県産材を使った、素材に工夫を凝らした和風づくりの施設である[79]。途中、羽咋郡志賀町にある西山パーキングエリア (PA) では、軽食のほか地元でとれた農産物・海産物を売る直売所がある[79]。鳳珠郡穴水町[注釈 7]にある別所岳SAには「日本の道100選」の顕彰碑があり、ここにある展望台から七尾北湾の眺望や、遠望に立山連峰を望むこともできる[79][11]。 沿線の自然景観に配慮するため、全線を屋外広告物法の規制対象区域に指定し、電線は地下ケーブル化している[79]。 起点から柳田ICまでは砂丘地帯を約30 kmにわたり直線的にほぼ平坦に走る[11][80]。同区間までは4車線化が完了している[40]。 一方で、柳田IC以北では丘陵地帯を走行し[11]、最急縦断勾配7 %、最小曲率半径300 mの箇所も存在する[80]。また、4車線の区間があまりなく対面通行の区間が続いており、正面衝突の事故がたびたび発生している[40][81][82]。このうち、無料化に伴う交通増への対応や交通事故削減、広域交流促進などを目的として、柳田IC - 上棚矢駄IC間(延長9.6 km)が2015年度(平成27年度)に、および上棚矢駄IC - 徳田大津JCT間(延長10.4 km)が2023年度(令和5年度)に、それぞれ石川県を事業主体として4車線化が事業化された[57][58][66]。 重複区間
車線・最高速度
道路施設サービスエリア・パーキングエリア売店はすべてのサービスエリア(SA)と西山パーキングエリア (PA) に設置されている。給油所が設置されたエリアはない。 トンネルの数
道路管理者
交通量24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成) 地理内灘IC - 柳田IC(やないだインターチェンジ)までは海岸沿いを、柳田IC - 穴水ICまでは内陸部を走り、海岸線から山間部まで風光明媚な観光道路としても親しまれている[79]。 起点・金沢市粟崎町4丁目から最初のカーブを過ぎて内灘ICより北へは、至近に海岸線が迫る見渡す限りの日本海を望む道路が羽咋市まで約30 kmほど続く[17]。この海岸沿いの道路は、内灘砂丘をはじめとする砂丘地帯と青松林が続き、夏の夜は沖合にイカ釣り船の漁火を見ることもできる[79]。今浜ICまたは、千里浜ICで下車すると、世界的にも珍しい波打ち際を走る天然の海岸道路である千里浜なぎさドライブウェイへと下りることができる[79]。 柳田ICより北側は景色が一変し、緑濃い丘陵地帯を走る[79]。徳田大津JCTから能越自動車道が分岐しており、和倉温泉や七尾市内方面へ向かうことができる。 通過する自治体路線バス脚注注釈
出典
参考文献
関連項目外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia