のみとり侍
『のみとり侍』 (のみとりざむらい)は、2018年(平成30年)5月18日公開の日本映画。監督・脚本は鶴橋康夫、主演は阿部寛。 概要ちょっとした失言が藩主の怒りを買い、女性に性的な奉仕をする裏稼業「猫ののみとり」にされてしまった生真面目なエリート侍が、様々な出会いを通じて新たな生き甲斐を見つけていく様をユーモラスに描いた時代劇コメディ。監督の鶴橋康夫自ら脚本を手掛け、小松重男原作の小説短編集『蚤とり侍』から「蚤とり侍」、「唐傘一本」、「代金百枚」等を再構成し一本のストーリーに仕上げた[2]。原作「蚤とり侍」の主人公・小林寛之進役に阿部寛、「唐傘一本」の主人公・清兵衛役に豊川悦司、「代金百枚」の主人公・友之進(映画では「佐伯友之介」に役名変更)役に斎藤工が起用され、その他の役には、寺島しのぶ、前田敦子、風間杜夫、大竹しのぶ、松重豊、桂文枝らが配された。 「猫ののみとり」とは、表向きは飼い猫の蚤除けで日銭を稼ぐが、女性客の求めがあれば売春も行う、江戸時代に実在した裏稼業である。本作品の時代考証を担当した大石学は、曲亭馬琴の随筆『燕石雑志』に商売の様子が記されていると指摘している[3]。 あらすじ時は江戸時代中期、第10代将軍・徳川家治の治世、老中・田沼意次の政策により世にカネがあふれ賄賂が横行した時代。越後長岡藩の生真面目なエリート藩士・小林寛之進は、藩主・牧野備前守忠精が自作の歌を詠む歌会に出席するが、些細な理由による失言で藩主の怒りを買ってしまう。逆上した藩主は寛之進に「猫ののみとりになって無様に暮らせ!」と命じたのだった。 「猫ののみとり」の意味がわからないが藩主の命令に逆らえないため、さっそく寛之進は「のみとり」の親分に会うべく江戸の町に出掛けた。「のみとり」の甚兵衛親分とその妻・お鈴に出会い、「のみとり」とは、表向きは飼い猫のノミを取り除き日銭を稼ぐ仕事だが、その実態は女相手に売春を提供する裏稼業と教えられる。寛之進は当惑しつつも、甚兵衛親分のもとで「のみとり」として働くこととなった。また、住む場所にも困っていた寛之進だったが、甚兵衛親分の世話でとある貧乏長屋に身を落ち着けることとなった。そこで寛之進は、貧しい長屋の住人たちや無償で子供たちに読み書きを教える佐伯友之介と知り合いとなった。 「のみとり」になった寛之進に、最初に客として声を掛けたのはおみねだった。亡き愛妻・千鶴に瓜二つのおみねに胸がときめく寛之進だったが、女の扱いなどまるで不慣れだったので、しまいには「この下手クソが!」と罵倒されてしまう。寛之進は侍として自身が築き上げてきたものが否定された気分になり、意気消沈してしまったところで出会ったのが、小間物問屋の婿養子・清兵衛だった。清兵衛は鬼嫁・おちえに素行を疑われ、浮気チェックのために股間をうどん粉塗れにされていることを打ち明けた。寛之進は、清兵衛の女遊びに協力する交換条件で、女を悦ばせる性愛テクニックを教わることとなった。 その後、浮気がばれた清兵衛が裸同然で追い出され同じ貧乏長屋で暮らすようになったり、貧乏で食物に困った友之介が猫の餌に手を出して噛まれ、その傷がもとで生死を彷徨い、危うく一命をとりとめる事件もあったが、貧乏長屋の人たちとの交流や「のみとり」の客とのふれあいの中で、寛之進は着々と腕を磨き「のみとり」として一人前になっていった。しかし、老中・田沼意次の失脚をきっかけに世相は急変。風紀の取締りが強化され、「のみとり」禁止令が発布された。寛之進たち「のみとり」は捕らえられてしまうのだが…。 キャスト
スタッフ
脚注注釈出典関連項目外部リンク |
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