『はぐれ署長の殺人急行』(はぐれしょちょうのさつじんきゅうこう)は、2016年から2018年までTBS系「月曜名作劇場」で放送されたテレビドラマシリーズ。全4回。恵俊彰の初主演のドラマとなる。
登場人物
警察関係者
- 北斗鉄太郎(ほくと てつたろう)
- 演 - 恵俊彰[1]
- 主人公。階級は警視長[注 1]。50歳。鉄道オタク。『太陽にほえろ!』などの現場に出る刑事に憧れ、猛勉強して警察庁に入るも本来の希望とは異なり、キャリア官僚の道を歩んでしまった。そのままエリートの仲間入りを果たすが、先輩が行った横領の罪をかぶせられ地方の所轄署を転々と左遷される「はぐれ署長」に[注 2]。警察官僚としては絶望的な左遷であるが、本人は悲観するどころか、地方の鉄道が見られるとはしゃぐ変わり者。常に人の好さそうな笑顔を浮かべて明るく振舞っており、署長らしい威厳もないので周囲には呆れられたり、横領事件の噂で赴任直後は軽蔑されていることが多い。しかし高い推理力と洞察力、そして人を信じ抜くお人好しさ、上役にも意見する行動力などを評価され、信頼を獲得していく。捜査は素人だが、刑事のような「人を疑う」ことから始めず、「人を信じる」ことから捜査を始める。そのため担当の管理官とはたびたび意見の衝突を起こす。どうしても引き下がれない時は、自身の階級が管理官(警視正)より上(警視長)のことから「命令」を下すという伝家の宝刀を抜くのが通例。
- 家族は妻と子供4人に姉がいる。特に姉は鉄太郎の引っ越し先に押しかけてくることが多い。
- 大和と市毛とは赴任先の埼玉県警秩父東警察署で知り合い(2作目)、以降も鉄太郎が署を転々としてもお互いに事件の捜査で協力している(3作目〜)。
- 大和公三
- 演 - 勝村政信[2](第2作 - )
- 経歴:埼玉県警秩父東警察署 刑事課(第2作・第3作)
- → 埼玉県警加須東警察署(第4作)
- 巡査部長。一匹狼気質で口が悪いが、強い正義感の持ち主で仲間を見捨てられない性格。相手が上の人間であろうと立ち向かう気概の持ち主だが、鉄太郎の姉には敬語でやや頭が上がらない。鉄太郎より先輩であり、立場も階級もはるかに上の鉄太郎に対し「鉄太郎」と呼び捨てで呼ぶ。逆に大和は「ヤマさん」と愛称で呼ばれている。
- かつて彼を慕う同僚刑事・結城が、犯人を追う余り不法侵入を行ってしまい、更に暴力行為まで働いてしまった。結果、逆上した犯人に殺された。上司は「殉職扱いにすると違法捜査を認めてしまう」として「刑事としての死」を認めようとしなかった。そのため大和は警察という組織に失望し、何もできなかった贖罪として遺された妻・静香とその娘を守ろうとしていた。
- 当初は鉄太郎を「汚職を働いた最低な警察官」と見ており、まったく信頼していなかった。しかし、結城の娘が拉致された事件を共に捜査する内に彼がどういう人間かを知り、信頼するようになっていった。汚職に関しても「鉄太郎はやってない」と言い切り、名実共に「はぐれ署長」と「はぐれ刑事」の立場を超えたコンビとなった。
- 市毛明日香(いちげ あすか)
- 演 - 中山忍(第2作 - )
- 経歴:埼玉県警秩父東警察署 刑事課(第2作・第3作)
- → 埼玉県警加須東警察署(第4作)
- 巡査部長。シングルマザー。本作におけるヒロイン的な存在であり、毎回何かしらのトラブルに巻き込まれる。
- 気の強い性格で、たとえ容疑者であっても無実と見れば信じ抜き、我が身を呈してでも守ろうとする「強さ」を持つ。一方で、一人で物事を抱え込み、誰にも相談できず自滅してしまう「弱さ」も持つ。
- 当初は鉄太郎を「警察庁から左遷されてくるなんて怪しい」と色眼鏡で見ていた。だが共に捜査を進める内に信頼するようになり、横領疑惑に関しても何かの間違いだと考えるようになった。
- 元夫は埼玉県捜査一課管理官・霧島勇作(第2作)。家庭よりも出世を優先する夫に嫌気が差し離婚したが、事件を通じて和解を果たし、エピローグでは一家3人で仲良く散歩する姿が見られた。復縁したかどうかは不明。
- 大食いであり、食事を注文する時は毎回大盛りである。
鉄太郎の親族
- 北斗ひかり
- 演 - 三田寛子[3](第1作)
- 鉄太郎の妻。単身赴任の夫に代わって子供たちの面倒を見ている。
- 北斗ひたち
- 演 - 萩原壮志[4](第1作)、外川燎(第4作)
- 鉄太郎とひかりの長男。友達に鉄太郎の悪口を言われ、その友達を叩きケガをさせる(第4作)。
- 北斗ときわ
- 演 - 関沢美紘[5](第1作)、吉田紬[6](第4作)
- 鉄太郎とひかりの長女。
- 北斗つばさ
- 演 - 齋藤絢永[7](第1作)、北村凌駕[6](第4作)
- 鉄太郎とひかりの次男。
- 北斗こまち
- 演 - 川北れん[8](第1作)、林里香[6](第4作)
- 鉄太郎とひかりの次女。
- 赤城あずさ
- 演 - 藤真利子
- 鉄太郎の姉。バツイチ。頻繁に鉄太郎の赴任先に遊びに来る。第4作は鉄太郎の子供たち4人と一緒に栃木まで来た。
- 明朗快活な中年女性で、その行動力と気さくさには大和も頭が上がらない。鉄太郎以上にストレートに自らの正義を貫ける人物であり、事件の背景を知って悩む鉄太郎に「どう考えるべきか」アドバイスを送ったこともある(第3作)。
ゲスト
- 第1作「九十九里浜迷宮ダイヤ」(2016年)
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- 姫上のぞみ(千葉県警いすみ西警察署 刑事課 巡査長) - 平山あや
- 定峰洋行(千葉県警いすみ西警察署 刑事課 巡査) - 鈴之助
- 谷川英二(警察庁官房長) - 須藤正裕
- 鉄太郎に自分の横領の罪を擦りつけた先輩上司 - 若杉宏二
- 朝霧一(千葉県警捜査一課 管理官) - 長谷川朝晴
- 富士川優(千葉県警捜査一課 刑事) - 石井正則
- 警官 - 増山祥太[9]
- 大隅東吾(千葉県警いすみ西警察署 刑事課 班長・巡査部長) - 西村和彦
- 第2作「秩父SL迷宮ダイヤ」(2017年)
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- 第3作「伊豆・修善寺迷宮ダイヤ」(2018年)
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- 第4作「日光・鬼怒川連続殺人」(2018年)
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鉄太郎の赴任先と登場した主な鉄道
- 第1作
- 第2作
- 第3作
- 第4作
スタッフ
- 脚本 - ひかわかよ、谷口純一郎、渡邉真子
- 監督 - 伊藤寿浩、児玉宜久
- プロデューサー - 渡辺良介(大映テレビ)、北川俊樹(大映テレビ / 第1作 - 第3作)
- TBS編成 - 中島啓介、中井芳彦(第3作 - )
- 製作 - TBS、大映テレビ
放送日程
- 第3作は20時00分から22時54分までの3時間SP。
- 第4作は20時00分から23時07分までの3時間SP。
話数 |
放送日 |
サブタイトル |
脚本 |
演出
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1 |
2016年12月5日 |
九十九里浜迷宮ダイヤ |
ひかわかよ |
伊藤寿浩
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2 |
2017年6月26日 |
秩父SL迷宮ダイヤ |
谷口純一郎 |
児玉宜久
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3 |
2018年1月22日 |
伊豆・修善寺迷宮ダイヤ
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4 |
2018年7月09日 |
日光・鬼怒川連続殺人 |
渡邉真子
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脚注
注釈
- ^ 現実では、警視長の階級に在る者が所轄の署長を務めることは在り得ない。
- ^ 鉄太郎が汚名を被り、先輩が必死で弁護するという「演技」により懲戒免職は免れた。鉄太郎自身も「真実を話しても誰も信じない」と考え否定しようとしなかった。
出典
関連項目
外部リンク