アーロン・ブラウン (陸上選手)
アーロン・ブラウン(Aaron Brown、1992年5月27日 ‐ )は、カナダ・トロント出身の陸上競技選手。専門は短距離走。100mで9秒96(カナダ歴代4位)、200mで19秒95(カナダ歴代2位)の自己ベストを持つ、200mの元カナダ記録保持者。2016年リオデジャネイロオリンピック男子4×100mリレーの銅メダリストである。ジャマイカ人とバルバドス人を祖先に持つ[1]。 経歴2009年7月のブレッサノーネ世界ユース選手権に出場すると、男子100m2次予選を10秒46(+0.7)のユースカナダ新記録で突破。準決勝も2次予選のタイムに迫る10秒49(+1.3)で突破してファイナリストになり、決勝では10秒74(-1.2)とタイムを落としたが、Prezel Hardy(10秒57)に次いで銀メダルを獲得した[2]。100mではカナダ史上初のメダル獲得であり、100m以外の短距離種目(ハードル種目は除く)を通じてもカナダ史上初のメダル獲得だった。男子メドレーリレーでは3走を務め、予選で1分54秒90、決勝で1分53秒51と、ともにユースカナダ最高記録を樹立するも5位に終わった[3]。 2010年7月のモンクトン世界ジュニア選手権に出場すると、男子100mでファイナリストになるも10秒48(-0.7)の5位に終わった[4]。男子200mは予選を21秒21(+0.3)の自己ベスト(当時)で突破すると、準決勝は追い風参考記録ながら予選のタイムを上回る21秒12(+2.1)で突破し、100mに続いてファイナリストとなった。決勝は21秒00(+0.5)の自己ベストをマークし、飯塚翔太(20秒67)、アリクサンドル・リニク(20秒89)に次いで3位に入り、ウェイド・バン・ニーキルク(21秒02)とのメダル争いを0秒02差で制して銅メダルを獲得した[5]。この種目におけるカナダ勢のメダル獲得は、2006年北京大会で銀メダルを獲得したブライアン・バーネット以来、史上二人目だった。 2012年シニアの世界大会デビューとなった8月のロンドンオリンピックには男子200mに出場すると、予選を20秒55(-0.1)の自己ベストタイで突破。準決勝でも20秒42(-0.6)の自己ベスト(当時)をマークしたが、タイムで拾われた8位の選手とは0秒05差の9位に終わり、決勝進出を逃した[6]。 2013年6月5日のNCAA選手権(全米学生選手権)男子100mでカナダ歴代4位(当時)の記録となる10秒05(+1.9)をマーク。シニアの世界選手権デビューとなった8月のモスクワ世界選手権では、男子100mでセミファイナリストになるも10秒15(+0.1)の組5着で決勝には進めなかった。男子4×100mリレーでは2走(ギャビン・スメリー、ブラウン、Dontae Richards-Kwok、ジャスティン・ワーナー)を務めると、メンバーに100m9秒台が1人もいない中、カナダ歴代4位(当時)の記録となる37秒92をマークしての銅メダル獲得に貢献した[7]。この種目におけるカナダのメダル獲得は、1997年アテネ大会で金メダルを獲得して以来、16年ぶりだった。 2014年2月14日の200mで室内カナダ新記録(当時)となる20秒53をマークし、1998年2月14日にブルニー・スリンがマークした20秒66を16年ぶりに更新すると[8]、5月31日のNCAA西地区選手権男子200mではカナダ新記録(当時)となる20秒16(+0.5)をマークし、1991年8月26日にAtlee Mahornがマークした20秒17を23年ぶりに更新した[9]。 2015年8月の北京世界選手権に出場すると、男子100mは予選を10秒03(+2.1)で突破し、追い風参考記録ながら自己ベスト(10秒05)を上回るタイムをマークして2大会連続のセミファイナリストとなったが、準決勝は10秒15(+0.9)の組7着に終わった[10]。この種目では世界選手権初出場となった男子200mは予選で20秒43(-0.4)の組4着に終わり、着順で準決勝に進出できた組3着とは0秒05差で敗退した[11]。男子4×100mリレーでは予選でアンカー(ジャスティン・ワーナー、アンドレ・ドグラス、ブレンドン・ロドニー、ブラウン)を務めると、38秒03の好タイムをマークして組5着(全体6位)で決勝に進出した。決勝では1走(ブラウン、アンドレ・ドグラス、ブレンドン・ロドニー、ジャスティン・ワーナー)を務め、38秒13をマークしての4位に貢献したが、その後2位でゴールしたアメリカがオーバーゾーンで失格となり、カナダは3位に繰り上がり2大会連続で銅メダルを獲得した[12]。 2016年4月30日にバトンルージュで開催された大会の男子100mで追い風参考記録ながら9秒95(+3.1)をマークすると、男子200mでは自己ベストとなる20秒00(+1.1)をマークし、19秒台に肉薄した[13]。6月11日にモンテベルデで開催された大会の100mでカナダ歴代4位の記録となる9秒96(+2.0)をマーク。従来の自己ベスト(10秒05)を0秒09更新し、10秒の壁を公認で突破した[14]。8月のリオデジャネイロオリンピックには3種目に出場したが、個人種目の男子100mと男子200mはそれぞれ予選と準決勝で敗退した。男子4×100mリレーでは予選と決勝で2走を務めると、アキーム・ヘインズ、ブラウン、ブレンドン・ロドニー、アンドレ・ドグラスのオーダーで臨んだ19日の決勝は37秒64のカナダ新記録を樹立。1996年アトランタオリンピックでブルニー・スリンとドノバン・ベイリーを擁するチームが樹立した従来の記録を0秒05更新したが、ジャマイカ(37秒27)、日本(37秒60)、アメリカ(37秒62)に次ぐ4位に終わり、0秒02差でメダルを逃した。ところが、3位に入ったアメリカが1-2走のバトンパスの際に違反があったとして失格となり、カナダは3位に繰り上がり銅メダルを獲得した。この種目におけるカナダのメダル獲得は、1996年アトランタ大会以来20年ぶりとなった[15][16]。 2017年4月の世界リレーに出場すると、男子4×100mで2走、男子4×200mでアンカーを務めた。リオデジャネイロオリンピックの銅メダルメンバーそのままで臨んだ男子4×100mは予選を全体1位の38秒21で突破したが、決勝では3走のブレンドン・ロドニーへのパトンパスに失敗し途中棄権に終わった[17]。しかし、翌日の男子4×200mでは1分19秒42の今季世界最高記録をマークしての優勝に貢献した[18]。8月のロンドン世界選手権では、男子200m予選をシーズンベストの20秒08(+0.7)で突破したかに思われたが、内側のラインを踏んだため失格に終わった[19]。エースのアンドレ・ドグラスが不在(怪我のため大会欠場)の男子4×100mリレーは予選と決勝で2走を務めたが、38秒59の6位に終わり3大会連続のメダルを逃した[20]。 人物
自己ベスト記録欄の( )内の数字は風速(m/s)で、+は追い風を意味する。
主要大会成績備考欄の記録は当時のもの
脚注
外部リンク
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