ウエスタン鉄道博物館
ウエスタン鉄道博物館(ウエスタンてつどうはくぶつかん、英語: Western Railway Museum)は、主としてインターアーバン(都市間電車)や路面電車の車両を収蔵し動態保存運転を行う鉄道博物館である。アメリカ合衆国カリフォルニア州ソラノ郡のリオ・ビスタとサスーンシティの間のカリフォルニア州道12号線沿いに位置する[1]。この博物館は旧サクラメント・ノーザン鉄道の線路沿いに位置し、同線の一部を保存鉄道として維持している[1]。博物館ではこれを利用し動態保存列車の定期運行を行っており、来場者はこれに体験乗車することができる。この博物館の運営はNPOのベイエリア・エレクトリック・レールロード・アソシエーション (Bay Area Electric Railroad Association, BAERA)が行っている。 歴史ベイエリア・エレクトリック・レールロード・アソシエーション (Bay Area Electric Railroad Association、以下BAERA)はサンフランシスコ・ベイエリアの鉄道ファンのグループとして1946年に結成された。このグループは通常の鉄道よりも「電車」を興味の対象としていた[2]。BAERAは毎月会合を開き、メンバー同士でスライドや動画を互いに見せ合っていた。BAERAはこのほかベイエリアの路面電車やインターアーバンの貸し切り運行を頻繁に行っていた。キー・システムでの貸し切り運行を重ねた結果、1946年、彼らはキー・システムの木造路面電車271号を購入するに至った[3]。この電車はもともと1904年にセントルイス・カー・カンパニーがペンシルベニア州リーハイ・バレー向けとして製造したものであった[3]。まもなく、メンバーからの寄贈やBAERAによる購入でその他の車両も手元に増やしていった。これらの初期のコレクションには、1920年建造のバーニーカーであるサクラメント・ノーザン鉄道の62号車が含まれる。この電車はカリフォルニア州チコで1947年まで使われていた。 1958年をもってキー・システムのベイブリッジを渡る路線が廃止されたことで、沢山の電車や事業用車がBAERAの手に渡った。しかし、これから先も車両の動態保存を継続していくためにはさらなる費用と労力が必要であり、恒久的な博物館用地も必要となっていることは明らかであった。1960年には車輌はカリフォルニア州サスーンシティ近くの旧サクラメント・ノーザン鉄道リオ・ビスタ・ジャンクションに保管されていた。1960年代にBAERAは501(c)(3)の教育目的の非営利団体となり「カリフォルニア鉄道博物館」(California Railway Museum)をスタートさせた。1985年、サクラメントに新規オープンしたカリフォルニア州立鉄道博物館(en:California State Railroad Museum、「カリフォルニア州鉄道博物館」とも)との混同を避けるために現在の名称である「ウエスタン鉄道博物館」(Western Railway Museum)へと改称した[4]。 BAERAは「レビュー」(Review)と題したニュースレターを発行している。 沿革
保存車両![]() BAERAはカリフォルニア州および隣接する各州の路面電車、インターアーバン、さらにその他の鉄道に関する豊富な資料をアーカイブしており、新たに建設された空調完備の建屋で保管されている[5]。 博物館が保有する鉄道車両はおよそ100両に達する。その多くはアメリカ西部の電気鉄道のものだが、ウェスタン・パシフィック鉄道の車両も一部含まれ、同鉄道の蒸気機関車も2両ある。この蒸気機関車は過去に動態保存状態だったことがあり、1960年公開のディズニー映画「ポリアンナ」のロケにウェスタン・パシフィック鉄道94号機が用いられている[6]。車両は完全にレストアされ動態保存運転が可能なものもあるが、状態は車両によって様々である。保有車両の例として、ペタルマ・アンド・サンタローザ鉄道(Petaluma and Santa Rosa Railroad)の63号車、ペニンシュラ鉄道(Peninsular Railway)の52号車、サンフランシスコ市営鉄道のLRV"USSLRV"[7][8]、そして前述のサクラメント・ノーザン鉄道のバーニーカー62号車などがある[8][9]。保存車両はアメリカ国内の車両に限らず、ブラックプール・トラムのオープン電車[8][10]やメルボルン市電[11]なども収蔵されている。 インターアーバン車両ではサクラメント・ノーザン鉄道1005号車(旧:オークランド・アンティオッチ・アンド・イースタン鉄道(Oakland, Antioch and Eastern) 1005号車)の修復作業が過去10年にわたって集中的に行われていた。BAERAはかつてこの電車を頻繁に動態保存運転に供用していた。しかし、この車両は1962年6月に台枠が大きく曲がるなどの破損を複数回にわたって受けていた。修復作業を経てこれらの破損箇所は修復され、あわせて1934年の状態に復元された。 動態保存運転に用いる路線自体も博物館の「収蔵品」の一部である。この路線はかつてのサクラメント・ノーザン鉄道線の一部で、1953年に線路や枕木は残っていたものの架線が撤去された状態で引き渡された。BAERAは架線の再整備をリオ・ビスタ・ジャンクションから南へ向かって開始し、今では6マイル先のバーズ・ランディング・ロード(Bird's Landing Road)まで到達している。
今日の博物館来場者は1.5 mi (2.4 km)の路面電車線の体験乗車や片道5.5 mi (8.9 km)、往復11 mi (18 km)の旧サクラメント・ノーザン鉄道線[20]でのインターアーバン電車の体験乗車ができる。他にも、敷地内でのピクニックやミュージアムショップでの書籍・DVD・鉄道グッズなどの購入や、規模は小さいながらもビジターセンターでの展示物の見学が可能である。場内には軽食の購入・飲食が可能なカフェ"Depot Cafe"もあり、資料の調査研究に利用できる"F. M. Smith Library and Archives"も毎月2日間開放される。車庫内の見学は自由に行えるほか、ガイド付きの特別収蔵庫見学も行われる。 博物館は1年を通して週末に開館し、夏季には開館時間が延長される。 最寄りの鉄道駅は博物館から約10 mi (16 km)西に位置するサスーン - フェアフィールド駅であり、アムトラックのキャピトル・コリドー号が停車する。 出典
関連項目外部リンク
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