ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン (セックス・ピストルズの曲)
「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」(God Save the Queen)は、イギリスのパンク・ロック・バンド、セックス・ピストルズが1977年5月27日に発表した楽曲[1]。バンドにとって2作目のシングルで、グレン・マトロック脱退後としては初のリリースとなった。また、後にリリースされたアルバム『勝手にしやがれ!!』にも収録された。 背景作曲当時のイギリス国歌と同名異曲であるが、グレン・マトロックによれば、この曲が1976年に作られた当時は「ノー・フューチャー」と呼ばれていたという[6]。そして、1977年1月にデイヴ・グッドマンのプロデュースにより「ノー・フューチャー」というタイトルでレコーディングされ、この時のヴァージョンは海賊版・アルバムの『スパンク』(後に正規発売される)に収録された[7]。しかし翌月にはグレン・マトロックがバンドを脱退[7]。その後、クリス・トーマスのプロデュースでレコーディングを行い、3月9日に「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」のリミックスが行われて、バンドは同日にA&Mレコードとの契約を得た[8]。 リリース当初はA&Mレコードから、「分かってたまるか (No Feelings)」をB面に収録してリリースされる予定だった[9][10]。しかし、契約から1週間後の3月16日に、バンドはA&Mとの契約を破棄されてしまう[11]。最終的にはヴァージン・レコードと新たに契約を得て、「ディド・ユー・ノー・ロング」(『勝手にしやがれ!!』には未収録)をB面に収録した形でリリースされた[12]。 なお、イギリスの雑誌『Record Collector Magazine』が2012年に行った、世界で最高額のレア・コレクター盤の調査によると、A&Mの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」のアセテート盤が3位(1万ポンド)、A&M盤シングル「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」が4位(8千ポンド)であった[10]。また、2012年に発売された『勝手にしやがれ!!』35周年記念ボックス・セットには、シングル「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」のA&Mヴァージョンの複製が付属している[13]。 反響「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」は、BBCによって日中は放送禁止の措置を取られるが[14]、1977年6月4日付の全英シングルチャートで初登場11位となり[15]、翌週には2位を記録する[16]。ただし、本作がヒットしていた当時のイギリスはエリザベス2世の即位25周年に湧いており、この曲はそうしたムードにふさわしくなかったため、全英シングルチャートには空欄で掲載されたほか[17]、本作の1位獲得は計画的に阻止されたという説がある[18][19]。なお、『NME』誌のチャートでは本作が1位を獲得した[18]。 また、この曲はイギリス国外でも大ヒットしている。スウェーデンのアルバム・チャートでは2週連続で2位となり[3]、ノルウェーのアルバム・チャートでは15週連続でトップ10入りして、最高3位に達した[4]。 日本においても、「英国との国際親善を害する」という理由で日本民間放送連盟による要注意歌謡曲指定を受け、制度が失効する1988年まで放送禁止となるAランク適用を受け続けた[20][21]。 その後、2002年にはエリザベス2世の即位50周年にぶつける形で再発シングルが発売され[22]、全英シングルチャートで15位を記録[2]。また、2007年10月13日付の全英シングルチャートでも再登場して42位を記録している[2]。 本作についてジョン・ライドンは、反王政主義ではあるが反人間的ではないと表現している[17]。 評価『ローリング・ストーン』誌が選出したオールタイム・グレイテスト・ソング500では175位にランク・イン[23]。また、ロックの殿堂公式サイトで選出された「ロックン・ロールを形作った500曲」の中に、この曲も含まれている[24]。 イギリスの雑誌『ニュー・ステイツマン』が2010年に選出した「トップ20ポリティカル・ソングス」では9位となった[25]。 他メディアでの使用例「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」は、ドキュメンタリー映画『[シェイン] THE POGUES:堕ちた天使の詩』(2001年公開)[26]、ドキュメンタリー映画『マラドーナ』(2008年公開)[27]のサウンドトラックで使用された。 2012年ロンドンオリンピックの開会式では冒頭のショートフィルムで使用された。 2016年11月3日、保守党所属の国会議員であるアンドリュー・ロージンデルが午前の審議において、「イギリスの欧州連合離脱を機会に、公共放送局であるBBC Oneは毎日放送終了時に女王陛下万歳(現在の国王陛下万歳)を流すべきだ」という動議を提出した。11月4日夜、BBC Twoの番組である「BBC Newsnight」の終わりに、アンカーのカースティー・ワーク(Kirsty Wark)はこの動議にこたえるという形で、ピストルズの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」を流した[28][29]。 カヴァー
脚注
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