タクシー業務適正化特別措置法
タクシー業務適正化特別措置法(タクシーぎょうむてきせいかとくべつそちほう、昭和45年5月19日法律第75号)は、タクシー運転者の登録等、タクシー業務適正化事業、タクシー業務の特別規制等に関する日本の法律である。制定当初には「タクシー業務適正化臨時措置法」と称していた[1][2]。 1970年5月19日に公布された。施行は1970年(昭和45年)5月19日、主務官庁は国土交通省である。目的は、指定地域において、タクシーの運転者の登録を実施し、特定指定地域において、タクシー業務適正化事業の実施を促進すること等の措置を定めることにより、タクシー事業の業務の適正化を図り、もって輸送の安全および利用者の利便の確保に資することにある[3]。 沿革昭和40年代半ば、高度経済成長に伴う都市人口の増加は、企業活動の活発化と相まって都市交通需要の急激な増加となってあらわれ、都市交通に関して種種の問題を惹起していた。中でもタクシーはその機動性、迅速性、随時性等が近代的経済活動の要求に合致しており、さらに所得水準の向上に伴いタクシー利用者層が拡大し、東京等の大都市に於けるタクシー輸送にあっては乗車拒否をはじめとする違法行為が頻発し、そのサービスの低下が社会的問題となっていた。 このため、運輸省では昭和44年(1969年)6月に「大都市におけるタクシーサービスの改善対策[4]」を策定し、諸種の施策を実施したが、さらにタクシーの運転者の確保が困難であるためタクシーの輸送力が需要量に対し著しく不足しており、かつ、乗車拒否等の違反行為が頻繁に行われる等タクシー事業の業務が適正に行なわれていないと認められる地域においてタクシー業務の適正化を図るためには、当分の間法律により悪質運転者を排除する等の必要があると判断し、第63回国会に本法案を提出した[2]。 本法は、1970年(昭和45年)5月19日に公布即施行され[2][3]、東京、大阪において、タクシー近代化センターにより法人タクシー運転者の登録やタクシー業務適正化事業を行わせることとした。 その後、2000年(平成12年)の道路運送法改正によりタクシー事業の需給調整規制が廃止され、参入が免許制から許可制となるにあたって、引き続き運転者の質の確保及び事業の適正化を図るため、同年5月26日にタクシー業務適正化特別措置法として恒久化され、2002年(平成14年)2月1日より施行された[注 1]。 概要国土交通大臣は、タクシー運転者の登録を行い、登録にあたっては道路運送法に定める要件を備えていない場合等にはこれを拒否することとし、乗車拒否等違反行為をした運転者の登録を取り消し、2年以内の登録禁止期間を設ける等の措置をとることができることしている。この場合において指定地域内のタクシー事業者は、タクシーに登録運転者以外の者を乗務させてはならないこととするとともに、登録運転者を乗務させる場合には登録タクシー運転者証を表示しておかなければならないこととしている。2017年9月30日以前は、政令で指定する地域のみ適用があったが改正[8]で全国について登録が必要となった。 「タクシーによる運送の引受けが専ら営業所以外の場所において行われており、かつ、道路運送法第27条第1項の規定に違反する適切な勤務時間又は乗務時間によらない勤務又は乗務、同法第13条の規定に違反する運送の引受けの拒絶その他の輸送の安全及び利用者の利便を確保することが困難となるおそれがある行為の状況に照らして、タクシー事業の業務の適正化を図る必要があると認められる地域」を国土交通大臣が告示で指定し[9](第2条の2第1項及び第3項)することができる。指定地域においては、登録を行う場合に講習受講に加えて試験合格が必要である[10]。 タクシー運転者登録の事務は、国の登録を受けた全国の登録実施機関で実施される。 指定地域等指定地域第2条の2第1項により指定されている地域、以下の13地域とされている。
特定指定地域国土交通大臣は指定地域のうち、特に利用者の利便を確保する観点からタクシー事業の業務の適正化を図る必要があると認められる地域を、特定指定地域として指定することができる(第2条の3)。特定指定地域地域においては、街頭指導、研修、苦情処理、タクシー乗場及びタクシー運転者の共同休憩施設の設置運営等一定の業務を行う財団法人を指定して、これらの業務の遂行に必要な経費を当該地域内のタクシー事業者から負担金として徴収させている。 現在特定指定地域は、東京、横浜、大阪[11]である。 脚注注釈出典
外部リンク
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