ツール・ド・フランス2010 プロローグ-第10ステージ結果 全コース図
2010年に行なわれた、ツール・ド・フランスのプロローグから第10ステージまでの結果について述べる。
プロローグ
- 2007年以来、3年ぶりにツールにプロローグが復活。コースは橋のアップダウンを除けばいたって平坦。雨が断続的に降る中で、チーム内規定違反で直前に出走取り消しとなったシャビエル・フロレンシオ(サーヴェロ・テストチーム)を除く197名がスタート。まず基準タイムを作ったのが18番スタートのトニー・マルティン(チーム・HTC - コロンビア)。序盤からスピードに乗り10分10秒の好タイムを叩き出す。その後雨が強くなり、その影響を受けたブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ)はタイムが伸びず、デヴィッド・ミラー(ガーミン・トランジションズ)もマルティンのタイムに10秒届かない。その後雨は上がり、徐々に路面コンディションが上向く中でマイヨ・ジョーヌ争い有力選手が次々にスタート。最後から3番目のスタートとなったランス・アームストロング(チーム・レディオシャック)は鬼気迫る走りを見せてマルティンから12秒遅れの好タイム。続く現TT世界チャンピオンのファビアン・カンチェラーラ(チーム・サクソバンク)は序盤からスピードに乗り、ついにマルティンのタイムを10秒更新する10分フラットの素晴らしいタイム。最終スタートのアルベルト・コンタドール(アスタナ)は、やや伸びを欠いてカンチェラーラから27秒、アームストロングから5秒遅れに終わった。結局下馬評通りの圧倒的強さを見せたカンチェラーラが昨年に続く初日ステージ優勝&マイヨ・ジョーヌ&マイヨ・ヴェール獲得となった。惜しくもステージ優勝を逃したマルティンだったがマイヨ・ブランを獲得。マイヨ・ジョーヌ争い有力選手ではアームストロングが4位、コンタドールが6位、ロマン・クロイツィガー(リクイガス・ドイモ)が+38秒の20位、カデル・エヴァンス(BMC・レーシングチーム)が+39秒の23位とまずますの結果だったのに対して、ロベルト・ヘーシンク(ラボバンク)が+51秒の56位、カルロス・サストレ(サーヴェロ・テストチーム)が+54秒の70位、イヴァン・バッソ(リクイガス・ドイモ)が+55秒の72位、デニス・メンショフ(ラボバンク)が+56秒の74位、サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ)が同タイムの75位、ウィギンスも同タイムの77位、フランク・シュレク(チーム・サクソバンク)が+57秒の79位、アンディ・シュレク(チーム・サクソバンク)が+1分9秒の122位とやや出遅れる結果となった。
- 区間&総合成績[2]
- ポイント賞
- 新人賞
- チーム時間賞
第1ステージ
- 今大会最初の通常ステージ。山岳ポイントの無いコースは平坦そのものだが、ジロ・デ・イタリアでも使われた堤防沿いのコースが再び登場するなど、横風に警戒が必要。ゴール地はエディ・メルクスに捧げるブリュッセル。前日のプロローグで落車して大きく遅れてのゴールとなっていたマティアス・フランク(BMC・レーシングチーム)とマヌエル・カルドソ(フットオン・セルベット)が未出走で195名がスタート。正式スタート同時に飛び出したマールテン・ワイナンツ(クイックステップ)、アラン・ペレス(エウスカルテル・エウスカディ)、ラース・ボーム(ラボバンク)の3名の逃げがあっさり決まり、7分半程までメイン集団との差を拡げる。メイン集団はチーム・サクソバンクがコントロール。途中、犬がプロトン内に飛び込んだ影響で落車が発生。イヴァン・バッソやデヴィッド・ミラーが巻き込まれるも無事にメイン集団に復帰している。その後、横風区間に突入するも集団分断は無し。しかし逃げとの差は一気に3分前後まで縮まった。メイン集団のコントロールは有力スプリンターを抱えるチーム・HTC - コロンビア、ガーミン・トランジションズ、サーヴェロ・テストチーム等に交代し、さらに逃げとの差は縮まっていく。メイン集団との差が1分を切った逃げ集団からワイナンツがアタック、さらにメイン集団からアレクサンドル・プリューシン(チーム・カチューシャ)が飛び出し、ワイナンツに追いついて2人の逃げとなる。しかしメイン集団の勢いにはかなわず残り8.7km地点で集団は1つとなった。集団の主導権争いをランプレ・ファルネーゼ=ヴィーニとHTCが繰り広げる中、右急コーナーで落車が発生。オスカル・フレイレ(ラボバンク)とマーク・カヴェンディッシュ(チーム・HTC - コロンビア)が巻き込まれて優勝争いから脱落。さらにフラムルージュ直後にまたも落車発生、前20名ほどを除いた全員がストップを余儀なくされる。さらにAg2rの選手が落車し、タイラー・ファーラー(ガーミン・トランジションズ)が自転車を巻き込まれてストップ。最後はロングスプリントを仕掛けたアレサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼ=ヴィーニ)がマーク・レンショー(チーム・HTC - コロンビア)やトル・フースホフト(サーヴェロ・テストチーム)などの追撃を許さずにゴールラインを越えた。ペタッキは実に2003年第6ステージ以来7年ぶりのツールでのステージ5勝目、さらにマイヨ・ヴェールも獲得した。落車は全てゴール前3km以内だったため救済措置が適用されて全員が同タイムでのゴール扱いとなり、その他の賞は動きはなかった。敢闘賞は最後に逃げから飛び出したワイナンツが獲得している。
- 区間成績[4]
- 総合成績
- ポイント賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第2ステージ
- 前日とは一転してアルデンヌクラシック風ステージ。フレッシュ・ワロンヌやリエージュ〜バストーニュ〜リエージュのコースを一部借用したコース後半はアップダウンの連続。前日の落車で鎖骨骨折が判明したアダム・ハンセン(チーム・HTC - コロンビア)が未出走で194名がスタート。17km地点で逃げが決まり、マシュー・ロイド、ユルヘン・ルラントス(共にオメガファーマ・ロット)、マルクス・ブルクハルト(BMC・レーシングチーム)、シルヴァン・シャヴァネル、ジェローム・ピノー(共にクイックステップ)、セバスティアン・テュルゴ(Bbox ブイグテレコム)、レイン・ターラミャエ(コフィディス)、フランチェスコ・ガヴァッツィ(ランプレ・ファルネーゼ=ヴィーニ)の8名がメイン集団に最大6分弱の差を付ける展開となる。途中の山岳は全てピノーがトップ通過し、最初のマイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュ獲得に意欲を見せる。メイン集団はチーム・サクソバンクが牽引。差が1分を切ってきたコート・ド・アルソモンの下りでルラントスとシャヴァネルが先行、さらに続くコート・ド・ストッコイでシャヴァネルが単独で飛び出して先行して通過。一方メイン集団ではそのコート・ド・ストッコイの下りで相次いで落車が発生。アンディ・シュレクがなかなか起き上がれず、大きく遅れてしまう。さらにアレサンドロ・ペタッキやタイラー・ファーラー、ロベルト・ヘーシンクなども落車に巻き込まれてしまった。この影響で集団は細分化されてしまい、マイヨ・ジョーヌのファビアン・カンチェラーラは自身のマイヨ・ジョーヌを捨ててアンディを待つことを選択した。一方先頭を走っていたシャヴァネルは一旦ルラントスに追いつかれるも、俄然ステージ優勝&マイヨ・ジョーヌのチャンスが出てきたシャヴァネルは最後のロジエ峠で再び飛び出して先行した。遅れていたアンディもイェンス・フォイクトの献身的な牽きで何とかメイン集団に復帰。しかしメイン集団は完全にシャヴァネルの逃げを容認する形となった。結局シャヴァネルはそのまま独走でステージ優勝。2008年第19ステージ以来のツール2勝目、さらに人生初のマイヨ・ジョーヌに袖を通し、マイヨ・ヴェールも獲得、敢闘賞も獲得した。メイン集団はカンチェラーラの働きかけでスプリントを行わないこととなり、マイヨ・ヴェールを狙うトル・フースホフト等が不満の意を示すもそのまま横並びでのゴールとなった。結局シャヴァネルを除いてゴールポイントは無効となった。ピノーは望み通りマイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュを獲得、マイヨ・ブランはトニー・マルティンのままとなった。尚、ミカエル・ドラージュ(オメガファーマ・ロット)が落車で顔に重傷を負いリタイアとなった。
- 区間成績[6]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第3ステージ
- 区間成績[8]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第4ステージ
- ようやく「普通の」平坦ステージが登場。距離も150km強と短め。スタートして少し後に飛び出したディミトリ・シャンピオン(Ag2r・ラ・モンディアル)に呼応して飛び出したイニャキ・イサシ(エウスカルテル・エウスカディ)、ニコラ・ヴォゴンディ(Bbox ブイグテレコム)、イバン・マヨス(フットオン・セルベット)、フランシス・デ・ブレーフ(オメガファーマ・ロット)の計5名の逃げがあっさり決まるが、スプリント勝利を狙うチーム・HTC - コロンビアやランプレ・ファルネーゼ=ヴィーニがメイン集団をきっちりコントロールし、差は最大でも3分強。逃げ集団も粘りを見せるも、結局残り3km手前で吸収。チーム・HTC - コロンビアが十八番のトレインを形成、マーク・レンショーがマーク・カヴェンディッシュをリードアウトする完璧な態勢と思われたが、横からアレサンドロ・ペタッキがスプリントを開始。カヴェンディッシュや後ろにつけていたトル・フースホフトは反応が遅れてしまう。結局ペタッキはロビー・マキュアンやジュリアン・ディーン(ガーミン・トランジションズ)、エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(チームスカイ)の追撃を寄せ付けずステージ優勝。早くもステージ2勝目となった。カヴェンディッシュは最後は完全に諦めてしまいステージ12位、マイヨ・ヴェールを堅持したフースホフトとの差が65ポイントまで開いてしまい、マイヨ・ヴェール獲得に赤信号が点灯した。敢闘賞はシャンピオンが獲得した。マイヨ・ヴェールを含めて各賞に動きはなかった。
- 区間成績[10]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第5ステージ
- 前日より距離は長めだが、やはりスプリンター向け平坦ステージ。前日落車して、ゴール後の検査で鎖骨骨折が判明したアメツ・チュルカ(エウスカルテル・エウスカディ)が未出走で188名がスタート。6km地点で逃げが決まり、ホセ・イバン・グティエレス(ケス・デパーニュ)、ジュリアン・エル・ファレ(コフィディス)、ユルヘン・ファン・デ・ワール(クイックステップ)の3名がメイン集団に最大7分弱の差を付けた。メイン集団は前日に引き続きチーム・HTC - コロンビアがコントロール。最後にグティエレスが逃げから飛び出して粘りを見せるも、残り4kmすぎで吸収されて前日に続いて集団スプリントに突入。ガーミン・トランジションズがトレインを形成するも、マーク・レンショーが強烈な牽きで番手を上げてマーク・カヴェンディッシュを発射。カヴェンディッシュはそのまま先頭を譲らずにステージ優勝を掴み取った。カヴェンディッシュはツール通算11勝目、苦難のシーズンが続いていたこともあって表彰式では涙ぐむ場面も見られた。敢闘賞はグティエレスが獲得している。各賞には動きはなかった。
- 区間成績[12]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第6ステージ
- 区間成績[14]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第7ステージ
- 区間成績[16]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第8ステージ
- 初の本格的山岳ステージ&初の山頂ゴール。難所は後半60kmに集約されている。スタート直後からアタックと吸収の繰り返しで、途中で落車も発生。ファビオ・フェッリーネ(フットオン・セルベット)が後続に追突され、ニッキー・セレンセン(チーム・サクソバンク)が路肩から転落、ランス・アームストロングがコースアウト、さらにカデル・エヴァンスやジェローム・ピノーも巻き込まれる事態となった。30km地点を過ぎてようやくアタック合戦も収束し、セバスティアン・ミナール、アマエル・モワナール(共にコフィディス)、コース・ムレンハウト(ラボバンク)、ブノワ・ヴォグルナール(フランセーズ・デ・ジュー)、マリオ・アールツ(オメガファーマ・ロット)、イマノル・エルビディ、クリストフ・リブロン(Ag2r・ラ・モンディアル)の7名が逃げ始める。メイン集団はクイックステップのコントロールでタイム差は最大で7分強。その後本格的な山岳突入を前にして集団は徐々に活性化。そんな中でアームストロングがロータリーの縁石に乗り上げて落車。チームメイトに牽かれて何とか1級山岳ラ・ラマズ峠の入り口で集団に復帰した。メイン集団はチームスカイが強烈なペースアップ、この牽きでマイヨ・ジョーヌのシルヴァン・シャヴァネルが脱落。次いでチーム・サクソバンクがコントロールを始めると何とアームストロングが遅れ始める。クリス・ホーナーとヤネス・ブライコヴィッチがアームストロングの援護に回るもペースは上がらない。これを見てアスタナがコントロールを開始し、アームストロングはさらにズルズルと遅れていった。この間に逃げ集団もアタック合戦でモワナール、ムレンハウト、アールツの3名に絞られて山頂を通過。メイン集団は2分15秒遅れ、アームストロングはさらに1分遅れで通過する。アームストロングは続く3級山岳の山頂近くでエウスカルテル・エウスカディの選手の落車に巻き込まれてさらにタイムを失ってしまう。そんな展開で最初の山頂ゴールの舞台となるモルジヌ・アヴォリアズに突入。メイン集団は相変わらずアスタナが牽引し、アンドレアス・クレーデン、ルイス・レオン・サンチェス、ライダー・ヘシェダル、ブラッドリー・ウィギンス等が次々に集団から脱落。逃げ集団もモワナールが最後まで粘るも、残り5km付近でついに吸収された。集団は脱落者を出しつつ有力選手の睨み合いが続いたが、残り2km過ぎでのロマン・クロイツィガーのアタックをきっかけについに戦いが勃発。フラムルージュ直後にアンディ・シュレクが飛び出すとサムエル・サンチェス以外反応できずステージ優勝争いは2人に絞られる。最後はギリギリまで脚を溜めていたアンディがサンチェスを抑えてガッツポーズを挙げた。ジロとツールで実績を残してきたアンディだったが、意外にもステージ優勝は初めて。もちろんマイヨ・ブランもキープした。有力選手は10秒遅れでゴールし、マイヨ・ジョーヌはカデル・エヴァンスの元へ。スプリンターは軒並みグルペットでのゴールとなりトル・フースホフトがマイヨ・ヴェールをキープ。山岳で固め取りをする選手がいなかったため、ピノーは辛くもマイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュをキープしている。敢闘賞はアールツが獲得。最後は完全に気持ちが切れてしまったアームストロングは11分45秒遅れのステージ61位に沈み、マイヨ・ジョーヌ争いから脆くも脱落する結果となった。
- 区間成績[18]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第9ステージ
- 休息日明けの最後のアルプス山岳ステージ。後半には今大会初の超級山岳マドレーヌ峠が登場する。前ステージでの落車で腕の骨折が判明したサイモン・ジェラン(チームスカイ)、同じく前ステージの落車で負傷したファビオ・フェッリーネ、第2ステージでの落車で手首の骨にヒビが入っていたことが判明したウラディミール・カルペツ(チーム・カチューシャ)、舟状骨の骨折が判明したローガー・クルーゲ(チーム・ミルラム)が未出走、さらにスタート早々にマルクス・アイベッガー(フットオン・セルベット)がリタイアし、残り181名に。スタート直後からのアタック合戦の末にマイヨ・ヴェールのトル・フースホフト、マイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュのジェローム・ピノー、イェンス・フォイクト、サンディ・カザール(フランセーズ・デ・ジュー)、アントニー・シャルトー、シリル・ゴティエ(共にBbox ブイグテレコム)、ヨハネス・フレーリンガー(チーム・ミルラム)、リナルド・ノチェンティーニ(Ag2r・ラ・モンディアル)、ルイス・レオン・サンチェス(以下LLサンチェス)、ホセ・イバン・グティエレス、クリストフ・モロー(3名共ケス・デパーニュ)の11名が逃げ始める。25.5km地点の中間スプリントポイントはフースホフトがしっかり先頭通過。しかし、1級山岳コロンビエール峠の途中でフースホフトが脱落。代わってメイン集団から飛び出したダミアーノ・クネゴとレイン・ターラミャエが合流し先頭は12名に。途中の山岳はモローがコロンビエール峠を先頭で通過した以外は順当にピノーが先頭で通過。BMC・レーシングチームが牽引するメイン集団との差も6分強まで開いた。しかし、ステージ優勝を狙うクネゴが途中から先頭交代を拒否し始め、不穏な空気が漂った状態でいよいよ今大会初の超級山岳マドレーヌ峠へ突入。すると真っ先にピノーが脱落。さらにLLサンチェスにステージ優勝を取らせるためにグティエレスとモローが献身的な牽きを見せて、先頭はLLサンチェス、クネゴ、シャルトー、カザールの4名に絞られる。一方メイン集団もBMC・レーシングチームの牽きでみるみる縮小し、カルロス・サストレが脱落。次いでチーム・サクソバンク、さらにアスタナが強烈なペースアップを見せると何とマイヨ・ジョーヌのカデル・エヴァンスが脱落。ハンガーノックを起こしたかのようにエヴァンスはみるみる集団から離されていく。そしてダニエル・ナバロ(アスタナ)の強烈な牽きでメイン集団は完全に破壊され、ついにアルベルト・コンタドールとアンディ・シュレクの一騎討ちに、後方からサムエル・サンチェス(以下Sサンチェス)が何とか喰らいつこうとする展開となった。アンディは何度か揺さぶりを掛けるも、コンタドールは離れず、2人は協調することを選択。さらに前方から下がってきたフォイクトがアンディのために献身的な牽きを見せる。先頭集団はシャルトーが先頭でマドレーヌ峠を通過。全く先頭交代をしていなかったクネゴが山頂手前で飛び出しを試みて、LLサンチェスが苛立ちを見せるシーンもあった。次いでアンディとコンタドールが2分10秒ほどの遅れで通過、Sサンチェスはそこから45秒遅れ、ロベルト・ヘーシンク、デニス・メンショフ、リーヴァイ・ライプハイマー、ホアキン・ロドリゲスがさらに45秒遅れ、そこからさらに40秒ほど遅れてイヴァン・バッソ、ユルヘン・ファンデンブルック、ランス・アームストロングなどの集団が通過。エヴァンスはこの時点で10分近い遅れを喫してしまう。先頭の4名はLLサンチェスも先頭交代を拒否してしまい、カザールがほとんど一人で牽く展開に。後方ではSサンチェスが流石のダウンヒルを見せてコンタドールとアンディに迫るが、追いつく前に下りが終わってしまう。完全に牽制状態に陥ってしまった先頭の4名に対して、マイヨ・ジョーヌ争いのライバルからタイムを奪う利害が一致したコンタドールとアンディは遅れてきたモローを吸収し、その後もどんどん先頭との差を縮めていく。ついに残り800mで先頭の4名にコンタドール、アンディ、モローが追いついてしまい7名でのゴールスプリント勝負となった。最初に飛び出したカザールを脚を溜めていたLLサンチェスとクネゴが追うが、誤算があったか差し切れないままカザールが先頭でゴールラインを越えた。カザールは2007年第18ステージ以来のツールステージ2勝目。アンディとコンタドールは共に2秒差でゴール、エヴァンスが大きく遅れたため、アンディは人生初のマイヨ・ジョーヌに袖を通し、コンタドールが41秒差で続く。アンディはもちろんマイヨ・ブランもキープ。最後まで孤軍奮闘を見せたSサンチェスは52秒遅れでゴールし、総合では2分45秒遅れの3位に浮上。ヘーシンク、ライプハイマー、ロドリゲス等は2分7秒遅れ、メンショフが2分10秒遅れ、バッソ、ファンデンブルック、アームストロングなどの集団は2分50秒遅れ、サストレ等の集団は4分55秒遅れ、エヴァンスは最後追い上げるも8分9秒遅れでのゴールとなった。エヴァンスは総合で7分47秒遅れの18位まで転落し、マイヨ・ジョーヌを失うどころか、パリでのマイヨ・ジョーヌも絶望的になってしまった。ゴール後、第8ステージの落車時に肘を骨折していたことを明かしている。バッソも5分9秒遅れの総合10位とダブルツールが厳しいタイム差となってきた。マイヨ・ヴェールはフースホフトがキープし、2位以下との差を少し拡げることに成功した。マイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュはシャルトーとピノーが85ポイントで並んだが、規定により超級山岳であるマドレーヌ峠を先頭で通過したシャルトーがピノーから奪う格好で獲得した。敢闘賞はマドレーヌ峠で積極的に逃げを牽引したLLサンチェスが獲得している。
- 区間成績[20]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
第10ステージ
- 革命記念日の今ステージは1級山岳を含む中級山岳ステージ。総合争い・逃げ切り・集団スプリントなどあらゆる展開が考えられる。フランス人の士気が高いだけに、序盤から猛烈なアタック合戦が繰り広げられたが、決まらないまま最初の中間スプリントポイントはアレサンドロ・ペタッキが1位、トル・フースホフトが2位、ロビー・マキュアンが3位で通過した。その後、ようやくセルジオ・パウリーニョ(チーム・レディオシャック)、マリオ・アールツ、ドリス・デヴェネインス(クイックステップ)、ヴァシル・キリエンカ(ケス・デパーニュ)、さらに少し遅れてマキシム・ブエ(Ag2r・ラ・モンディアル)、ピエール・ロランも加わって6名の逃げが決まる。メイン集団はこの逃げを完全に容認し、タイム差は11分前後を推移。途中の1級山岳ラフレイ峠ではジェローム・ピノーがアントニー・シャルトーを抑えて7位通過してポイントで再びリードすることに成功した。その後も両集団とも変化の無いまま最後の2級山岳ノワイエ峠もこなし、最後の小さな上りに突入。ここで逃げ集団内でアタック合戦が起こって先頭はキリエンカとパウリーニョの2名に絞られる。メイン集団ではタイムを稼ぎたいニコラス・ロッシュ(Ag2r・ラ・モンディアル)が飛び出しに成功した。キリエンカとパウリーニョは牽制状態のままゴール勝負に突入し、先にパウリーニョが仕掛ける。一瞬反応が遅れたキリエンカは後ろから差し込みに出るも、20cm程の差でパウリーニョが逃げ切った。パウリーニョ個人としてはツール初勝利(昨年のチームTTで勝利)、グランツールでは2006年ブエルタ第10ステージ以来の2勝目。ロッシュは12分58秒遅れのステージ7位で、総合13位に浮上。14分19秒遅れのメイン集団は、超スローペースだったこともあって有力スプリンターは全て集団内に残っており、先頭はマーク・カヴェンディッシュ、次いでペタッキ、フースホフト、マキュアンの順で入った。前述の通りマイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュはピノーが1日で奪回。それ以外の各賞は動きはなかった。敢闘賞はアールツが第8ステージに続いて今大会2回目の獲得。
- 区間成績[22]
- 総合成績
- ポイント賞
- 山岳賞
- 新人賞
- チーム時間賞
- 敢闘賞
脚注
- ^ Prologue - Saturday, July 3 2010, Rotterdam, 8 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Cancellara wins prologue time trial - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 1- Sunday, July 4 2010, Rotterdam - Brussels, 224 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Petacchi emerges from chaos in Brussels - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 2 - Monday, July 5 2010, Brussels - Spa, 192 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Chavanel takes stage and yellow in Spa - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 3 - Tuesday, July 6 2010, Wanze - Arenberg Porte du Hainaut, 207 km
- ^ Carnage on the cobbles! - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 4 - Wednesday, July 7 2010, Cambrai - Reims Distance, 150 km
- ^ Take two for Ale-Jet Archived 2010年7月8日, at the Wayback Machine. - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 5 - Thursday, July 8 2010, Épernay - Montargis, 185 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Cavendish vindicated in Montargis! Archived 2010年7月9日, at the Wayback Machine. - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 6 - Friday, July 9 2010, Montargis - Gueugnon, 225 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Cavendish sprints for second consecutive stage win Archived 2010年7月9日, at the Wayback Machine. - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 7 - Saturday, July 10 2010, Tournus - Station des Rousses, 161 km Archived 2010年6月26日, at the Wayback Machine. - cyclingnews.com(英語)
- ^ Chavanel races to victory in first mountains stage Archived 2010年7月10日, at the Wayback Machine. - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 8 - Sunday, July 11 2010, Station des Rousses - Morzine-Avoriaz, 189 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Advantage Schleck on first major mountain stage - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 9 - Tuesday, July 13 2010, Morzine-Avoriaz - Saint-Jean-de-Maurienne, 204 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Casar claims stage win for France Archived 2011年3月4日, at the Wayback Machine. - cyclingnews.com(英語)
- ^ Stage 10 - Wednesday, July 14 2010, Chambéry - Gap, 179 km - cyclingnews.com(英語)
- ^ Paulinho gives Radioshack something to celebrate - cyclingnews.com(英語)
関連項目
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