ドイツ軍のC4Iシステム本項では、ドイツ連邦軍のC4Iシステムについて扱う。ドイツ連邦軍は、北大西洋条約機構(NATO)各国軍のなかでも、もっとも早期よりC4I化を推進してきた軍隊である。このためもあり、戦略級システムや作戦級システムについては、軍種間での独立性が強いのが特徴である。ただし統合運用には十分な意が払われており、戦術級システム間での情報共有なども積極的に推進されている。 陸軍
なお、ドイツ語においては、戦術級ないし射撃指揮精度の情報を扱うC4IシステムについてはFüWES(ドイツ語: Führungs- und Waffeneinsatzsystems)と呼称されることが多く、レオパルト2戦車などに搭載されている機種もFüWESと通称されている。 海軍グリュックスブルク(Glücksburg)に所在する海軍作戦本部(MHQ)が、ドイツ海軍C4Iの中核となる。 作戦級システム作戦級システムとしては、他の北大西洋条約機構諸国海軍と同様、1990年代前半にアメリカのUSQ-119 JMCISを購入し、MCCIS(Maritime Command/Control Information System)として運用している。これらは、NATO共同で運用されるSHF/UHF衛星通信、および民間のインマルサット衛星通信を通信基盤とする。 戦術級システム他の北大西洋条約機構諸国海軍と同様、ドイツ海軍でも、戦術級C4Iシステムとしてはアメリカが開発した海軍戦術情報システム(NTDS)を採用している。ここで使用される戦術情報処理装置としては、最初期より、国産のSATIRシリーズ(System zur Auswertung taktischer Informationen auf Rechnerschiffen)が運用されてきた。また、のちに高速艇用の簡易版としてAGIS(Automatische Gefechts und Informations-System Schnellboote)も開発された。
空軍北大西洋条約機構(NATO)では、1972年より、統合された防空システムを実現するため、NATO防空管制組織(NADGE)システムを運用してきた。これはノルウェーからトルコに至るまでの3000マイルに及ぶ防空識別圏外縁部を守るものであり、西ドイツの領空の大部分がその覆域内にあった。しかし、南側においてはNADGEの覆域外となるものがあり、この部分をカバーするため、西ドイツ独自のGCIシステムが必要となった。これに応じて開発されたのがドイツ自動警戒管制組織(GEADGE: German Air Defence Ground Environment)である。 GEADGEシステムはNADGEシステムに準拠して開発されているが、より新しいH-5118Mセントラル・コンピュータを採用している(NADGEではH-3118)。また、新しい3次元レーダーも導入された。これらはいずれも、NADGEシステム、さらにはこれらに先駆けて航空自衛隊が採用していた自動警戒管制組織(BADGE)と同じくアメリカのヒューズ社が受注しており、BADGEシステムを皮切りとしてヒューズ社が世界各国のGCIシステムを席巻したことがうかがえる。GEADGEシステムは1983年より就役を開始し、1986年より完全構成での運用を開始した。 参考文献
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