ボクらを見る目
『ボクらを見る目』(ボクらをみるめ、When They See Us)は、2019年のドラマ・リミテッドテレビシリーズ。原案・監督・脚本はエイヴァ・デュヴァーネイ。出演はジャレル・ジェローム、アサンティ・ブラック、カリール・ハリス、イーサン・エリセ、マークィス・ロドリゲス、マーシャ・ステファニー・ブレイク、カイリー・バンバリー、アーンジャニュー・エリス、ヴェラ・ファーミガ、フェリシティ・ハフマン、ジョン・レグイザモ、ニーシー・ナッシュ、マイケル・ケネス・ウィリアムズら。 1989年4月19日に発生したセントラル・パークにおけるジョガー性的暴行事件において、冤罪で起訴された5人の少年と彼らの家族たちを描いている。 本作は2019年5月31日の配信以降、世界的に絶賛されており、特に役者陣の演技が高い評価を受けた。第71回プライムタイム・エミー賞では、リミテッドシリーズ部門の作品賞、監督賞(デュヴァーネイ)、主演男優賞(ジェローム)、主演女優賞(エリス、ナッシュ)、助演男優賞(ブラック、レグイザモ、ウィリアムズ)、助演女優賞(ブレイク、ファーミガ)、脚本賞(「パート4」デュヴァーネイ、スターバリー)を含む、計11部門でノミネートされ[2][3]、ジェロームが主演男優賞を受賞した[4]。 2019年6月12日、オプラ・ウィンフリーが題材になった5人、キャスト、製作陣にインタビューをした様子を収録したスペシャル番組『オプラ・ウィンフリーPresents: 今、ボクらを見る目』(Oprah Winfrey Presents When They See Us Now)がNetflixとオプラ・ウィンフリー・ネットワークで配信された[5]。 概要本作は1989年4月19日に発生したセントラル・パークにおけるジョガー性的暴行事件に基づいており、女性の暴行に関わった容疑で逮捕された少年5人と彼らの家族を描いている。シリーズの主役となる5人の有色人種の少年、ケヴィン・リチャードソン(アサンティ・ブラック)、アントロン・マックレイ(カリール・ハリス)、ユセフ・サラーム(イーサン・エリセ)、コーリー・ワイズ(ジャレル・ジェローム)、レイモンド・サンタナ(マークィス・ロドリゲス)は、検察官によって2つのグループに分けられ裁判が行われた。5人は陪審員によってさまざまな罪状で有罪判決を受けた。ケヴィン、アントロン、ユセフ、レイモンドの4人は強姦罪で有罪判決を受け、5人の中で唯一16歳だったコーリーは、成人として複数の罪状で有罪判決を受け、複数の成人刑務所で奉仕した。 2002年、事件の犯人と名乗る男が自白し、DNA証拠や地方検察局による調査で、男の犯行が確認された。男は裁判所に対して5人の有罪判決を棄却するよう要求した。自白が行われるまでに、5人の刑は執行済みで、州は1989年から5人に対するすべての告発を撤回し、性犯罪者登録から抹消した。 2003年、5人は不当な有罪判決を受けたとして、市を相手取り訴訟を起こし、2014年に和解した[6]。 キャスト※ 括弧内は日本語吹き替え メインセントラル・パーク・ファイヴ
その他
リカーリング
ゲスト
エピソード
スペシャル番組
製作企画2017年7月6日、Netflixはセントラル・パーク・ファイヴを題材とした5つのエピソードからなるミニシリーズの製作を発表した。シリーズは監督と脚本も務めるエイヴァ・デュヴァーネイによって作成され、デュヴァーネイ、ジェフ・スコール、ジョナサン・キング、ジェーン・ローゼンタール、ベリー・ウェルシュ、オプラ・ウィンフリーらが務めた。なお、本作には製作会社としてパーティシパント・メディア、ハーポ・フィルムズ、トライベッカ・プロダクションズが参加している[7]。2018年7月9日、シリーズは4つのエピソードで構成され、撮影をブラッドフォード・ヤングが務め、脚本はロビン・スウィコード、アッティカ・ロック、マイケル・スターバリーらが各エピソードをデュヴァーネイと共同執筆することが発表された[8]。2019年3月1日、デュヴァーネイはタイトルが初期に設定されていた『Central Park Five』から『When They See Us』に変更されて、2019年5月31日にNetflixでの配信が始まることを発表した。デュヴァーネイの発表と同時にティーザーが公開された[9]。 キャスティング2018年7月、マイケル・ケネス・ウィリアムズ、ヴェラ・ファーミガ、ジョン・レグイザモ、フェリシティ・ハフマン、ジャレル・ジェローム、ジョヴァン・アデポらがメインキャストとしてキャスティングされた[8][10]。同年8月3日、ニーシー・ナッシュ、アーンジャニュー・エリス、マーシャ・ステファニー・ブレイク、カイリー・バンバリー、ストーム・リードがキャストに加わった[11]。一週間後、クリス・チョーク、イーサン・エリセ、マークィス・ロドリゲス、カリール・ハリス、フレディ・ミヤレス、ジャスティン・カニンガム、アサンティ・ブラックらが青年期、ティーンエイジャー期の5人を描き分けるためにそれぞれキャスティングされた[12]。その月の末、ジョシュア・ジャクソン、クリストファー・ジャクソン、アデペロ・オデュイエ、オマール・ドーシー、ブレア・アンダーウッド、ファムケ・ヤンセン、ウィリアム・サドラーがキャストに加わった[13]。 撮影主要な撮影は、2018年8月6日にニューヨーク州のニューヨーク市で始まり、ブラッドフォード・ヤングによって撮影が行われた[12]。2018年8月10日、マンハッタンのイーストハーレムエリアのマディソンアベニューで撮影が行われました。マンハッタンのイーストハーレムエリアのマディソン・アベニューでも撮影が行われた[14]。 評価批評家からの評価本作は批評家から絶賛されている。Rotten Tomatoesでは70個の批評家レビューのうち96%が支持評価を下し、平均評価は10点中8.34点となった。サイトの批評家の見解は「エイヴァ・デュヴァーネイは『ボクらを見る目』で手加減をしない。セントラル・パーク・ファイヴが耐え忍んだ悲惨な出来事を整理して描くと同時に、彼らのストーリーに必要な人間性の層を追加しており、本作は視聴者にアメリカで正義を見つけることの意味を再び考えさせる。」となっている[15]。MetacriticのMetascoreは24個の批評家レビューに基づき、加重平均値は100点中87点となった。サイトは本作の評価を「世界的な絶賛」と示している[16]。 バラエティのダニエル・ダダリオは本作を賞賛し、「『ボクらを見る目』は、実際の犯罪がしばしば提供する派手な楽しみの無い物語に視聴者を没入させる。それは功績で、難しい主題にもかかわらずストリーミングサービスに誇りを与えられたことを考えると、スター監督のパワーの価値ある利用である。」と評した[17]。ロジャー・イーバート・ドットコムのオディー・ヘンダーソンは本作に4つ星評価で3つ星半の評価を与え、「『ボクらを見る目』は、非白人の人々への視線を変え、共感と正義感を引き出すために出来る限りのことをする。それは適切な人々を悪者にし、提示された事件に対するあなたの怒りを要求する。」と評した[18]。ハリウッド・リポーターのダニエル・フィエンバーグは本作を推薦し、「『ボクらを見る目』は、重大な法的失敗を記録し、不当に告発された彼らを顔のないメンバーとしてではなく、個人の男性として感覚を回復させる厳格な試みになっている。」と評し、さらにフィエンバーグは主題と内容に対するデュヴァーネイの思慮深いアプローチを称賛し、本作が「典型的な逆境に対する勝利の物語」を避けていると付け加えた[19]。 コライダーのマット・ゴールドバーグは本作に非常に肯定的なレビューを与え、「『ボクらを見る目』の感情的な影響は軽視できない。」と記し、さらにゴールドバーグは、「私は今月の初めに『The Central Park Five』を見ました。それは事件と基本的な事実を理解するいい方法だが、セントラル・パーク・ファイヴの5人にインタビューをしたとはいえ、デュヴァーネイが彼女の職人芸、キャスト陣、ブラッドフォード・ヤングの撮影を使って本作でやったことには近づけない。」と評した[20]。ガーディアンのルーシー・マンガンは本作を称賛し、「体系的な人種差別の影響だけでなく、少年のバックグラウンドを持つ人々に対するあらゆる種類の権利剥奪の影響(彼らが同じ根本原因があると主張することも出来る)を検証する濃く、テンポの速いシリーズ。不十分な弁護士を雇わざるを得なくなるお金の不足と遠くの刑務所に投獄された事により、息子を訪問できない母親。警察署から出し、物事を整理できるようにするために、親が息子に虚偽の告白の署名にサインするように促す脆弱性。あなたの様に見えず、あなたを気に掛けない権威者に直面した時の無力さ。」と評した[21]。 ヴァルチャーのジェン・チェイニーは肯定的なレビューを与え、「『ボクらを見る目』、エイヴァ・デュヴァーネイの繊細に作られたミニシリーズは、少年たちに何が起こったのかをまとめ、彼らを集団で描くときに出てくる人間性を奪っている傾向を取り除き、代わりに、彼らが偽りの自白を強制された時、彼らがそれぞれ個別に対処したことが示す。2002年に有罪判決が無効になったときに、彼らが犯さなかった犯罪のために時間を費やすことを余儀なくされ、最終的には免罪された。」と評した[22]。ロサンゼルス・タイムズのロバート・ロイドは本作を賞賛し、「正義と人種に関する話だけでなく、親と子供についての物語。 ー そして、ニーシー・ナッシュ、ジョン・レグイザモ、アーンジャニュー・エリス、マイケル・ケネス・ウィリアムズら、旧世代の俳優陣の力強い演技が光っている。」と評した[23]。 一方で、ナショナル・レビューのアーモンド・ホワイトは本作を批判し、人種間の緊張と暴力の描写を、『ボーイズ'ン・ザ・フッド』や『ドゥ・ザ・ライト・シング』などの人種差別を描いた作品に比べて好ましくない対照をした[24]。 観客からの評価
IMDbでは42,960件のユーザー評価により、平均評価は10点中9点となった[29]。IMDbの「最も評価の高いTVシリーズランキング250」では31位にランクインし、同じNetflix製作シリーズの『ブラックミラー』(42位)、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(51位)、『ナルコス』(55位)、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(62位)を下して、Netflix製作シリーズの中で最も評価の高い作品となった[30]。 Rotten Tomatoesのオーディエンススコアでは177個の観客レビューのうち93%が支持評価を下し、平均評価は5点中4.6点となった[15]。Metacriticのユーザースコアは41個の観客レビューに基づき、加重平均値は10点中8.7点となった[16]。 2019年6月25日、Netflixは、配信から最初の1ヶ月間で2300万人を超えるユーザーが本作を視聴したことを発表した[31]。 当事者からの評価本作でフェリシティ・ハフマンが演じたリンダ・フェアスタインはウォールストリート・ジャーナルの論評で、「『ボクらを見る目』は歪みや虚偽に満ちており、完全に偽造されている。」と本作を批判した。ニューヨーク・タイムズの弁護士になったベストセラー作家は、5人に対するレイプ容疑の免罪に同意したと述べたが、「他の被害者に対する犯罪についての他の容疑は無効にすべきではない」と述べた[32][33]。 受賞
出典
外部リンク |
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