(動画)ヤマガラ
ヤマガラ (山雀、学名 :Sittiparus varius )は、スズメ目 シジュウカラ科 ヤマガラ属 に分類される鳥類。
分布
S. castaneoventris タイワンヤマガラ(現在は独立種として分類)
中華民国 (台湾 )[ 2]
日本(神津島 、新島 、利島 )固有亜種 [ 2]
S. olivaceus オリイヤマガラ(現在は独立種として分類)
日本(西表島 )固有亜種[ 2]
S. v. owstoni オーストンヤマガラ(主要チェックリストでは独立種として分類)
日本(八丈島 、御蔵島 、三宅島 )固有亜種[ 2]
大韓民国 、朝鮮民主主義人民共和国 、日本(北海道 、本州 、四国 、九州 、伊豆大島 、佐渡島 、五島列島 )
日本(大東諸島 )[ 3] 絶滅
日本(種子島 )[ 3]
S. v. yakushimensis ヤクシマヤマガラ
日本(屋久島 )[ 3]
日本(奄美大島 、徳之島 、沖縄 )[ 3]
形態
全長13 - 15センチメートルで、概ねスズメ ぐらいの大きさである。頭部は黒い羽毛 で被われ、額 から頬 、後頸部にかけて明色斑が入る。下嘴基部(腮)から胸部にかけて黒い帯模様が入る。尾羽 の色彩は黒褐色 。初列風切や次列風切の色彩は黒褐色で、羽毛の外縁(羽縁)は青みがかった灰色。雨覆や三列風切の色彩は青みがかった灰色 。
嘴の色彩は黒い[ 4] 。後肢の色彩は青みがかった灰色。卵は白い殻で覆われ、淡褐色や青みがかった灰色の斑点 が入る。
ヤマガラ Sittiparus varius Gumma-ken, Japan
背中や下面は橙褐色の羽毛で被われる。頭部の明色斑は淡黄色 。
S. olivaceus オリイヤマガラ(現在は独立種として分類)
頭部の明色斑は赤褐色。背中は灰褐色、下面は赤褐色の羽毛で被われる。
S. v. owstoni オーストンヤマガラ(主要チェックリストでは独立種として分類)
最大亜種。下面は赤褐色の羽毛で被われる。頭部の明色斑は細く、色彩は赤褐色。嘴が太い。
背中や下面は橙褐色の羽毛で被われる。頭部の明色斑は黄褐色 。
分類
ヤクシマヤマガラを除いた現生亜種の分子系統学 的解析では、亜種タイワンヤマガラを除いた他亜種がより近縁と推定されている[ 2] 。現在は、タイワンヤマガラ、オリイヤマガラは独立種として分類されている。オーストンヤマガラは日本鳥類目録改訂第8版では亜種とされているが主要チェックリストでは独立種として分類されている。[ 3] [ 5] [ 6]
アマミヤマガラP. v. amamii 南部に分布する亜種ほど、色味が濃い傾向がある。
Sittiparus varius amamii Kuroda, 1922 アマミヤマガラ
Sittiparus varius namiyei Kuroda, 1918 ナミエヤマガラ
Sittiparus varius owstoni Ijima, 1893 オーストンヤマガラ
Sittiparus varius sunsunpi Kuroda, 1919 タネヤマガラ
Sittiparus varius varius Temminck & Schlegel, 1848 ヤマガラ
Sittiparus varius yakushimensis Kuroda, 1919 ヤクシマヤマガラ
絶滅亜種
Parus varius orii Kuroda , 1923 ダイトウヤマガラ
生態
ヤマガラの生態(岐阜市 の金華山 にて)
標高1,500メートル以下にある常緑広葉樹林 や落葉広葉樹林 に生息する。和名は山に生息する事に由来するが、山地 から平地 にかけて生息する。標高1,000m以上の場所に生息する個体は、冬季になると標高の低い場所へ移動する。同科他種と混群を形成する事もある。
食性は雑食 で、昆虫 、クモ 、果実 、エゴノキの実などを足でおさえながら食べる[ 4] 。主に樹上で採食し夏季は主に動物質を、冬季は主に果実を食べる。堅い果実は後肢で挟み、嘴でこじ開けて中身を食べる。また地中や樹皮 の隙間などに果実を蓄える事(貯食)もある[ 4] [ 8] 。
繁殖形態は卵生。樹洞 にコケ などを組み合わせた内部に獣毛などを敷いた [要出典 ] 皿状の巣 を作り、3 - 6月に3 - 8個の卵 を産む。メスが抱卵し、抱卵期間は12 - 14日。雛は孵化してから18 - 20日で巣立つ。
種の保全状況評価
国際自然保護連合 (IUCN)により、軽度懸念 (LC)の指定を受けている[ 1] 。開発による生息地の破壊などにより生息数は減少している[ 2] 。亜種ダイトウヤマガラは1922年に採集されて以来、発見例がなく絶滅したと考えられている[ 2] 。
P. v. namiyei ナミエヤマガラ
P. v. olivaceus オリイヤマガラ
P. v. orii ダイトウヤマガラ
P. v. owstoni オーストンヤマガラ
人間との関係
日本では、本種専用の「ヤマガラかご」を使い平安時代 には飼育されていた文献が遺されている。学習能力が高いため芸を仕込む事もでき、覚えさせた芸は江戸時代 に盛んに披露された。特におみくじ を引かせる芸が多く、1980年 ごろまでは神社 の境内などの日本各地で見られた。そのため年輩者には本種はおみくじを引く小鳥 のイメージが強いが、おみくじ芸自体は戦後になってから流行し発展してきたもので、曲芸は時代の変化とともに変遷してきた事が記録から読み取れる。しかし鳥獣保護法 制定による捕獲の禁止、自然保護運動の高まり、別の愛玩鳥 の流通などにより、これらの芸は次第に姿を消してゆき、1990年頃には完全に姿を消した。現在[いつ? ] このような芸をさせるために種が特定され飼育されてきた歴史は日本のヤマガラ以外、世界に類例を見ない[ 10] 。
なお、1945年以降消滅するまで代表的だったおみくじ引き以外にも、以下のような芸があった。
市町村の鳥
市の鳥
町の鳥
村の鳥
脚注
^ a b The IUCN Red List of Threatened Species
BirdLife International 2009.0. Parus varius . In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
^ a b c d e f g h i 環境省 自然環境局 生物多様性センター
^ a b c d e Clements, J. F., P. C. Rasmussen, T. S. Schulenberg, M. J. Iliff, T. A. Fredericks, J. A. Gerbracht, D. Lepage, A. Spencer, S. M. Billerman, B. L. Sullivan, M. Smith, and C. L. Wood. 2024. The eBird/Clements checklist of Birds of the World: v2024. Downloaded from https://www.birds.cornell.edu/clementschecklist/download/
^ a b c 『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』、474-475頁。
^ HBW and BirdLife International Illustrated Checklist of the Birds of the World
^ Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2024. IOC World Bird List (v14.2). doi : 10.14344/IOC.ML.14.1.
^ a b c McKay, B.D.; Mays Jnr, H.L.; Tao, C.-T.; Wan, D.; Higuchi, H.; Nishium, I. (2014). “Incorporating color into integrative taxonomy: analysis of the Varied Tit(Sittiparus varius ) complex in East Asia”. Systems Biology 63 (4): 505–517. doi :10.1093/sysbio/syu016 . PMID 24603127 .
^ エゴノキ の果皮 は有毒なサポニン を多く含んでいるが、鳥類ではほぼヤマガラのみが実を捕食する。ヤマガラはサポニンの影響を受けないのか(体内で分解?)、また貯食は発芽に貢献しているのではないか(果皮を取り去り地中に埋めるから)、などといった研究が行なわれている。ヤマガラによる貯蔵散布がエゴノキ種子の発芽に及ぼす影響 (山形大学 2006年)
^ a b c d “【鳥類】環境省第4次レッドリスト(2012)<分類群順> ” (PDF). 環境省 (2012年8月28日). 2012年9月9日閲覧。
^ 小山幸子 (1999). "ヤマガラの芸" ISBN 4-588-30203-5
参考文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
ヤマガラ に関連するメディアがあります。
ウィキスピーシーズに
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