ラオックスホールディングス
ラオックスホールディングス株式会社(英: Laox Holdings Co.,Ltd.)は、東京都港区に本社を構え、大手総合免税店および家電量販店を運営する日本の企業。2009年に中国の大手家電量販店を運営する蘇寧電器(当時。現在の蘇寧易購)の傘下となった。代表取締役会長は羅怡文。 概要訪日外国人に人気の高い全国各地に店舗展開。主な顧客層は中華圏、東南アジア。本業は家電量販店であるため家電製品が主力であったが、現在は家電製品だけではなく理美容品、化粧品、民芸品、服飾など、取扱商品は多岐にわたる。 社名の「ラオックス(Laox)」とは、ラテン語の「Lar」(ラール:家庭の守護神)と「Vox」(ウォックス:声)を合わせたもので、「家庭に幸せを呼ぶ声」という意味である。 歴史ラオックスは創業者の谷口正治が1930年に墨田区で始めた電気器具の行商が始まりであり、1939年に開店した谷口商店を源流としている。戦時中に谷口は海軍に応召したが、終戦後に神田須田町に谷口商店を再建。有限会社化、株式会社設立を経て秋葉原に2店舗を開店。1948年には谷口電機株式会社に商号を変更、さらに家電小売部門を分割して朝日無線電機株式会社を設立した。1963年の千葉店の開店を皮切りに郊外に多店舗展開を開始。会社を資本(管理)と経営(販売)に分離し、CIシステムを導入する検討がなされ、1976年9月に新会社ラオックス株式会社を設立、翌月には朝日無線電機の店舗の営業を譲り受け、ラオックスとしての営業が始まった[1]。 1970年代後半から1980年代前半にかけてはオーディオ機器、1980年代後半からはパソコン関連の販売に注力し、業績を伸ばしていった。最盛期には関東近郊を始め、東北地方や信越地方にも地場量販店との業務提携や子会社化を通じて店舗網を拡大。2000年代初頭には2000億円以上を売り上げ、大手家電量販店のひとつに数えられていた。 その後は主力としていたパソコン販売の落ち込みや、大型店舗の相次ぐ失敗、さらには家電量販店間の競争に敗れたことなどで業績が悪化し、朝日無線電機時代より展開していた郊外店を全て手放すこととなった。2009年8月に中国最大手の家電量販店を運営する蘇寧電器の傘下となり、同時に新しく社長に就任した羅怡文の方針により、ラオックスは中国人をはじめとする外国人観光客向けの免税店中心の店として再建を図ることとなった。そのため、秋葉原本店では日本人向けの商品のフロアは1フロアのみとなる。 その後、国内の店舗事業、中国での店舗事業、蘇寧電器との貿易仲介事業の3つを柱として事業の立て直しを進めた。途中、日中関係の悪化(「尖閣諸島中国漁船衝突事件」、「2012年の中国における反日活動」)や東日本大震災などの悪条件が重なったが、アベノミクスを背景とした円安進行などに伴う訪日観光客の急増が手伝い、2014年12月期には、2001年3月期以来14期ぶりとなる[注釈 1]最終黒字を達成した[2]。 2015年に入り、メディアはラオックスを「家電量販店」としてではなく「大手総合免税店」としてあつかい、ラオックス自身も自社の業態を「国内最大規模の免税店」としている[3]。ラオックスは取り扱う商品カテゴリーのさらなる増強を目的に、婦人靴を製造・販売する「株式会社モード・エ・ジャコモ」を買収。その後、株式会社オンワードホールディングスとの合弁会社「オンワード・ジェイ・ブリッジ」を設立し、グローバル展開を見据えた新たな商品展開をはかっている。 訪日外国人向けのインバウンドの先駆者として、国内、中国の両国メディアから注目を浴び、2015年のユーキャンの新語・流行語大賞の大賞“爆買い”で、羅怡文社長が受賞するなど、インバウンド需要の高まりに乗って店舗の拡張を行ってきたものの、中国人観光客の嗜好の変化についていけず[注釈 2]拡張にストップがかかった上、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行による訪日外国人客の急減が痛手となり、店舗の閉店・休業が相次いでおり、コロナ前は32店舗あったのが、秋葉原本店と大丸心斎橋店の減床、さらに多くの店舗を閉鎖した結果[4]、2023年1月時点で3店舗(新千歳空港・成田空港・秋葉原)まで縮小した。 業態ラオックスは取り扱い商品によって複数の業態を展開している。なお、秋葉原地区でのみ展開していた業態については割愛する。
ラオックス・リアルエステートの施設
かつて展開していた業態
沿革1930年 - 1980年
1981年 - 2000年
2001年 - 2020年
2021年 -
店舗展開かつては関東地方を中心に家電量販店を100店舗を超える規模で展開していたが、経営の悪化で直営店は一時は秋葉原の数店舗のみにまで縮小していた。 蘇寧電器傘下となってからはインバウンドの拡大を背景に東京を中心とした全国の主な観光地に免税店を出店、北は北海道から南は沖縄までと広範囲に展開し、最大時には45店舗(2017年11月末時点)を営んでいた[72]。 しかし、既述の通り新型コロナウイルスの影響による外国人旅行客の激減を受けた結果、2020年内に九州・沖縄から撤退[73]。2021年度にはさらなる店舗閉鎖が行われ、店舗総数は6店舗(うち2店舗は長期休業)にまで減少した[74]。また店舗事業に関しては、秋葉原の本店を一時期「アソビットシティ」の業態に改装したほか、大阪の道頓堀店を国内外の食料品や理美容品などを扱う店舗に改装、その後、アジアの化粧品・食品の専門店の展開を開始するなど、国内顧客を意識した取組を実施している。 閉店した店舗
秋葉原秋葉原におけるラオックスの店舗は度々大がかりな再編が行われ、業態変更、移転、分散、集約など複雑な変遷をしてきた。以下は、各所在地の店舗の変遷を順に示したものである。なお、同じ名称で移転した店については、区別するために(1st)、(2nd)、(3rd)…と世代を付記した。
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東京都開店順に整列する。
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千葉県
埼玉県
神奈川県
新潟県→「ラオックス真電」の店舗群については真電#ラオックス真電の記事を参照
長野県→「ラオックスヒナタ」の店舗群についてはラオックスヒナタの記事を参照
北関東・東北→庄子デンキの運営していた店舗群については庄子デンキの記事を参照
免税店
ポイントサービスラオックスは、いわゆるポイントカードにあたるものとして、「ラオックスメンバーズカード」を発行している。また、かつてアソビットシティでは独自のメンバーズカードを発行していたが違いはカードのデザインのみとなっていて通常のラオックスメンバーズカードと同等に使用可能となっている。 なお、ラオックスメンバーズカードは2002年11月に導入[180]されたが、それ以前にも子会社の東北ラオックスがポイントカードにあたる「トクトクカード」を発行していたことがある。トクトクカードは仙台店でのみ有効で、他のラオックス店舗では使用できなかった。 宣伝活動
グループ企業
関連企業
以前の関連会社
不祥事2014年当時、増加中の中国人客の対応にあたって、中国人留学生を雇い入れ「週28時間の法定上限時間を超えて働かせた」として、法人としての同社及び羅怡文社長が2015年12月25日までに不法就労容疑で書類送検された。なお、この事件では同容疑で大阪道頓堀店の元店長ら店関係者3人と中国人留学生4人が逮捕、11人が書類送検されている[187][188]。 テレビ番組
脚注注釈
出典
参考文献
関連項目外部リンク |
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