中華人民共和国反間諜法
中華人民共和国反間諜法(ちゅうかじんみんきょうわこくはんかんちょうほう、簡体字中国語: 中华人民共和国反间谍法、英語: Counter-espionage Law of the People's Republic of China[1])は、2014年に制定された中華人民共和国におけるスパイ活動を取り締まる機関の活動などについて規定した法律[2]。 日本語による報道などでは「反スパイ法」として言及されることがある[2][3][4][5]。 概要それまで、スパイ活動の取り締まりに適用されていた中華人民共和国国家安全法(後に2015年に制定された同名の法律=中華人民共和国国家安全法とは別の法律)に代わるものとして[6]、2014年8月に草案が提出され[4]、11月1日に第12期全国人民代表大会の常務委員会によって制定され、即日施行された[7][8]。 2023年4月26日に全国人民代表大会常務委員会は摘発対象を拡大する改正案を可決し、7月1日に改正法が施行された[9]。 スパイ行為自体の処罰は、刑法第6章「国家安全危害罪」に定められている[5]。また、軍事施設に対する情報収集は、軍事施設保護法(军事设施保护法)によって取り締まりが行われる[2]。 第1条にはこの法律の目的がうたわれており、内容は「スパイ行為を防ぎ、制止し、それに懲罰を与え、国家の安全を守るために、憲法に基づき、本法を制定する」とある。第2条では「反スパイの業務を遂行するにあたっては、中央の統一的指導を堅持し、公然たる業務と非公然の業務を結合し、専門的業務と大衆路線を結合し、積極的に防御し、法に基づき懲罰を加える原則を堅持する」とし、反スパイ法が党中央には適応外であるとされている。 スパイ行為の定義この法律は、「スパイ行為を初めて法的に定義した」ものとされているが[8]、その規定は草案段階では盛り込まれておらず、審議の中で後から附則の第38条として追加された[4]。 第38条では「本法にいうスパイ行為とは、以下にあげるものをいう(本法所称间谍行为,是指下列行为)」として、
の6項目を挙げている(6項目の要約は、御手洗大輔による)[10]。 日本のメディアなどの反応日本のメディアは、制定当初から、この法が曖昧な部分を多く含んでいることを踏まえ、恣意的に運用されることを懸念する声があることを指摘してきた[2]。例えば、産経新聞のコラムは「中国人が外国の新聞に寄稿したり、海外テレビの取材に応じたりしただけで「反間諜法に違反した」と、難癖をつけられかねない」と危惧する弁護士の声を伝えている(なお、当該コメントをした弁護士の名は明記されていない)[8]。 日本の研究者の間でも、この法への評価は分かれており、密告制度を奨励する内容を含んでおり「毛沢東時代への回帰」を引き起こしかねないとする意見がある一方で[4]、根幹は先行した中華人民共和国国家安全法 (1993年) と大きな違いはなく、条文によっては人権への配慮とも読める条文の追加もあると指摘する見解もある[10]。 アメリカの反応
条文
地方政府の対応反スパイ法成立を受け、複数の地方政府の安全局がスパイ行為の通報を奨励する規則を施行おり、2017年4月10日、北京市の国家安全局では最大50万元の報奨金を支給する旨告知した。 日本人拘束事件反スパイ法成立以降、外国人が拘束・逮捕される事件が多発している。その中で日本人が関係しているのは以下である。なお、スパイ容疑は、公安ではなく、中華人民共和国国家安全部が担当するため取り調べが厳しく拘束環境も非人道的だと指摘されている[12]。
関連項目
脚注
外部リンク
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