全国人民代表大会
全国人民代表大会(ぜんこくじんみんだいひょうたいかい、中国語: 全国人民代表大会、拼音: 、英語: The National People's Congress of the People's Republic of China)は、中華人民共和国の立法府。国家の最高権力機関及び立法機関として位置付けられる一院制議会である。「全国人大」や「人大」とも略される。なお日本では全人代と略される場合が多い[1][2]。 概要全国人民代表大会は立法権を行使する他に国家の最高権力機関として、行政権・司法権・検察権に優越する。中華人民共和国主席(国家元首)・副主席・国務院(最高行政機関)・国家中央軍事委員会(最高軍事指導機関)・最高人民法院(最高司法機関)・最高人民検察院(最高検察機関)の構成員は全人代によって選出され、全人代に対して責任を負い、その監督を受ける。 全人代は中華人民共和国全国人民代表大会及び地方各級人民代表大会選挙法の規定により、各省[注 1]・自治区・直轄市・特別行政区の人民代表大会(地方議会)及び中国人民解放軍・武装警察から選出された代表(議員)によって構成される。一般国民(公民)が代表を直接選挙するのではない。一般国民が直接選挙できるのは、県級以下の人民代表大会のみであるため、全人代代表の選出は間接選挙となる。人民代表選挙は中国共産党によって指名された候補に対する信任投票となることが多いが、県級以下の直接選挙では複数の候補から選択する「差額選挙」が行われることもある。いずれにせよ指導政党である共産党の原則的方針から根本的に逸脱する者が人民代表に選出されることはない。 天安門広場の西端にある人民大会堂が議事堂となる。大会開催中は天安門広場周辺の交通や広場への進入が規制される。全人代は毎年中国人民政治協商会議と同時に開催され、共に「両会」と呼ばれて全国レベルの重要な政治的決定を行うが、全人代と異なり政治協商会議は諮問機関である。 全人代は共産党を中心とする大会主席団・全人代常務委員会・国務院などが提出した議案や予算を審議する。時には一定の反対票や棄権票が出る場合もあるが、議案や予算の否決に至った例は1度も無い。2022年現在は電子投票方式となっており、机上に備え付けられた賛成、反対、棄権の押しボタンのうちどれか一つを選択する。もし電子投票機器が故障している場合は挙手による採決を行うこととされている。投票は無記名である[3]。 構成現行の中華人民共和国憲法(1982年憲法)第59条により、全国人民代表大会は省・自治区・直轄市・特別行政区・軍隊の選出する代表によって構成される。少数民族や衛星政党である「民主党派」の党員などの非中国共産党員も含まれているが、議席の約70パーセントが共産党で占められる。全人代代表選挙は全人代常務委員会が主催する。 また、第60条は全国人民代表大会の毎期の任期を5年とする。代表の定数は3,000人を超えてはならない。第12期全人代の議員数は2,987人。各省・自治区・直轄市・特別行政区の代表及び軍の代表から構成されており、テンセント会長の馬化騰や浙江吉利控股集団会長の李書福のような資産家も代表に名を連ねていることから「超富豪クラブ」とも呼ばれている[4]。
権限中華人民共和国憲法(1982年憲法)第62条・第63条には以下の権限が定められている。
機構全国人民代表大会常務委員会→詳細は「全国人民代表大会常務委員会」を参照
全国人民代表大会の常設機関。ここにおいて主に立法や政策の決定がなされる。また全人代閉会中は、全人代が行使する最高国家権力および立法権を代行する。常務委員会の構成員は毎期の第1回全人代会議において全人代代表の中から200人ほど選出され、任期は5年である。なお常務委員長は国会議長に相当する。 専門委員会
開催時期全国人民代表大会は1954年に制定された中華人民共和国憲法(1954年憲法)に基づいて設立された。文化大革命期の1966年から1974年にかけて全く開催されず、その後の混乱期(1975年から1978年)も1回しか開催されないなど、全人代が機能不全となっていた時期もあったが、1978年の憲法改正以降は毎年開催されている。 現行の中華人民共和国憲法(1982年憲法)でも毎年1回開催されることが明記されている。1980年代後半から毎年3月に開催されるようになり、1998年以降は毎年3月5日に開幕していた[7]。2020年の第13期第3回会議は新型コロナウイルス感染症の感染拡大のリスクを抑えるため3月の開催が延期され[8]、5月22日開会となった[9]。 全国人民代表大会常務委員会が必要と認めた場合、又は5分の1以上の全国人民代表大会代表が提議した場合には臨時に招集することができる。 会期一覧![]()
脚注注釈出典
参考文献
関連項目外部リンク |
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