中華民族の偉大な復興
中華民族の偉大なる復興 (ちゅうかみんぞくのいだいなるふっこう、簡体字中国語: 中华民族伟大复兴) とは、中国共産党および習近平総書記(最高指導者)が掲げるスローガンや目標・構想である[1]。 歴史中華民国の国父である孫文(孫中山)は、「中華を振興せよ」というスローガンを掲げていた。
肯定的評価「中華民族の偉大なる復興」に対する肯定的な評価は、主に中国国内のメディアによるものである。 『人民日報』によれば、
2021年9月、中国現代国際関係研究院の院長である袁鵬は、中国新聞社のインタビュー『東西問』において、2021年に行われた米中高官会談(アラスカ会談)に言及した。その中で、中共中央政治局委員・中央外事工作委員会弁公室主任の楊潔篪が、アメリカに対して「あなた方は、中国の前で話す実力が無い」と強く対応したことについて、袁氏はこれが「アメリカの強者こそが正義という外交姿勢への対抗であり、中国がアメリカの地位を脅かし、覇権を奪取しようとしているわけでは無い」と説明した。彼はまた、中国指導者が繰り返し強調しているように「中華民族の偉大なる復興」は「アメリカを超えること」や「世界の覇権を握ること」と必然的に結びつくものではないと述べた[3]。 否定的評価「中華民族の偉大なる復興」を推進し、中国共産党の立場を強化するために、近年は毛沢東の評価を高める傾向を示している[4]。毛沢東は「中華民族の偉大なる復興」に貢献を果たしたと称賛される一方で、彼への個人崇拝や政治運動(例:土地改革運動、鎮反運動、三反五反運動、反右派闘争、大躍進、人民公社運動、四清運動、文化大革命など)に関する負の側面は、意図的に過小評価されるとの指摘もある。 また、一部の評論家は、習近平の掲げる「中華民族の偉大なる復興」が、ヒトラーのスローガン「一つの民族、一つの帝国、一人の指導者」と類似していると指摘している。ヒトラーと習近平の共通点として、「民族的誇り」と「経済発展」を掲げ、隣接する同民族の小国の主権や自由・民主制を否定する動きがあると分析されている。また、両者は「民族的屈辱」を理由に、「ドイツ民族の復興=中華民族の復興」を訴えた点でも共通するとされ、「赤ナチズム(赤ナチ)」という概念が論じられることもある[5]。さらに、習近平の「中華民族の偉大なる復興」のスローガンが、中国民族の自信を高めると同時に、共産党の支配を強化する意図があると指摘されており、これにより、中国は第二次世界大戦前のナチス・ドイツ(第三帝国)に類似したではないかという懸念が、世界各国、特に日本、台湾、ASEAN諸国など中国周辺地域で高まっている[6]。 近年、中国は「中華民族の偉大なる復興」を推進するために「一帯一路」を掲げ、積極的に国際社会へ参加している。しかし、2020年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する問題や、国際的な摩擦の影響により、中国の国際的なイメージは悪化している。ピュー・リサーチ・センターが2020年10月に発表した最新の世論調査によると、主要国における対中感情の悪化が顕著となっている[7][8]。 中国に対する否定的な見方を示した割合は、ドイツ71%、アメリカ73%、オランダ73%、スウェーデン85%、カナダ73%、スペイン63%、フランス70%、イタリア62%、台湾69%、韓国75%、日本86%であった。特に、イギリスとオーストラリアにおける対中感情の悪化が顕著であり、2018年にはイギリスの49%が中国に好感を持っていたが、2020年には74%が否定的な見解を示すに至った。この状況により、「習近平が掲げる中華民族の偉大なる復興が、本当に実現可能なのか」について疑問を抱く声もある。しかし、中国国内では、西側諸国の対中感情の悪化こそが「中国の台頭の証」と認識され、「中華民族の偉大なる復興」とは無関係であるとする意見も根強い。 脚注
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