中越信号場(なかこししんごうじょう)は、北海道上川郡上川町字中越にある北海道旅客鉄道(JR北海道)石北本線の信号場である。電報略号はナコ。事務管理コードは▲122510[2]。
歴史
かつては駅として設置されたが、現在は信号場として運用される。
1977年の中越駅と周囲約500m範囲。右が遠軽方面。かつては少しずれた相対式ホーム2面2線で、駅裏の上川側に北見峠(石北トンネル)越え補機用蒸気機関車の転車台と待機線、駅裏に機回し線を有し、駅舎横の上川側に貨物ホームと2本の引込み線を有していた。またこの貨物ホームに隣接して木材の土場が設けられていた。この写真では、各ホームや機回し線が撤去され、新たに駅裏側ホーム跡に副本線のレールが敷かれる一方、駅舎側ホーム跡へ本線の上り線が移設されて上下線間が広げられ、その中央に短めの細い簡易型の島式ホームが設けられて1面2線+1線となっており、以前の配線とは全く異なっている。放置された転車台と、機回し線の軌道跡だけがかつての姿を残しており、土場跡には木々が植栽されている。信号場となった現在では、島式ホームも撤去されて乗降用設備は一切無くなっている。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
信号場名の由来
「中越」の地名の起こりは1892年(明治25年)9月21日に当地を通る中央道路(北見道路とも、後の国道273・333号)に設置された官設駅逓、中越駅逓所である[11]。
当地の留辺志部(るべしべ)川沿いには「越路(こしじ)」という大地名があり(現在も下流側に字名として残存)、これは「留辺志部」の由来となったアイヌ語の「ルペㇱペ(ru-pespe)」(道・下る・もの=峠道)の意訳に由来するとされている[12]。すでに、下流の越路には越路駅逓所が設けられていたため、越路地区と石狩北見国境(北見峠)との中間、との意で命名されたとされている[11][13]。
なお、字名としては1938年(昭和13年)の字名改正で、現在の中越と上越が分割・成立するまでは「茅刈別(ちかるべつ)」という字名であった[14]。これは1907年(明治40年)に植民区画が定まり公示されたときに示された地名で、当地で留辺志部川に合流する支流チカルベツ川のアイヌ語名「チカㇽペッ(ci-kar-pet)」(われら・作る・川)に由来したものであると考えられている[11]。
構造
もともと島式ホームを備えた1面2線に、側線1本を備えた交換可能な構造となっており[15]、旅客扱い終了後にホームが撤去されている。
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構内(2009年7月)
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信号所を通過する特急オホーツク5号
利用状況
旅客営業当時の乗車人員の推移は以下のとおり。年間の値のみ判明している年については、当該年度の日数で除した値を括弧書きで1日平均欄に示す。乗降人員のみが判明している場合は、1/2した値を括弧書きで記した。
年度
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乗車人員
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出典
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備考
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年間
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1日平均
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1965年(昭和40年)
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(32,033.0)
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(87.8)
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[16]
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年間乗降客数:64,066
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1966年(昭和41年)
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(27,902.0)
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(76.4)
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年間乗降客数:55,804
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1967年(昭和42年)
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(17,182.0)
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(46.9)
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年間乗降客数:34,364
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1968年(昭和43年)
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(11,493.0)
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(31.5)
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年間乗降客数:22,986
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1969年(昭和44年)
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(8,923.0)
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(24.4)
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年間乗降客数:17,846
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1970年(昭和45年)
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(7,584.0)
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(20.8)
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年間乗降客数:15,168
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1971年(昭和46年)
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(4,883.0)
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(13.3)
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年間乗降客数:9,766
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1972年(昭和47年)
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(2,701.0)
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(7.4)
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年間乗降客数:5,402
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1973年(昭和48年)
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(2,405.0)
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(6.6)
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年間乗降客数:4,810
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1974年(昭和49年)
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(2,212.0)
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(6.1)
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年間乗降客数:4,424
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1975年(昭和50年)
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(833.0)
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(2.3)
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年間乗降客数:1,666
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1976年(昭和51年)
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(833.5)
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(2.3)
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年間乗降客数:1,667
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1977年(昭和52年)
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(505.0)
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(1.4)
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年間乗降客数:1,010
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1978年(昭和53年)
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(888.5)
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(2.4)
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年間乗降客数:1,777
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1979年(昭和54年)
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(126.0)
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(0.3)
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年間乗降客数:252
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1980年(昭和55年)
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(88.0)
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(0.2)
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年間乗降客数:176
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1992年(平成04年)
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(0)
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[17]
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一日平均乗降客数:0
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周辺
正面に「第二次中越官設駅逓所跡」の碑が建つ。営業末期の1993年(平成5年)発行の書籍『北海道630駅』で「付近に人家もなく国道が並走しているだけ[17]」と記されるなど、現在では人の居住は見られない。
隣の施設
- 北海道旅客鉄道(JR北海道)
- ■石北本線
- 上川駅 (A43) - *
天幕駅 - (中越信号場) - (上越信号場) - (奥白滝信号場) - *上白滝駅 (A44) - 白滝駅 (A45)
- *
打消線は廃駅
脚注
参考文献
- 伊藤丈志「2020冬 魅惑の石北本線・釧網本線をたどる」『鉄道ジャーナル』第54巻第4号(通巻642号)、成美堂出版、2020年4月1日、14-21頁。
関連項目
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