古代ペルシャ文字 (こだいペルシャもじ、英語 : Old Persian )は、Unicode のブロック の一つ。
解説
紀元前6世紀から紀元前4世紀ごろに現在のイラン 、イラク 、シリア 、トルコ 、エジプト の一部、バルカン半島 の一部などを支配していたアケメネス朝ペルシア で話されていた古代ペルシア語 (インド・ヨーロッパ語族 インド・イラン語派 イラン語群 ) を表記するための古代ペルシア楔形文字 を収録している。
古代ペルシャ文字は音素文字 のうち子音と母音とに独立した文字が割り当てられているアルファベット に分類される。ラテン文字 などと同様に左から右への横書き(左横書き )である。単語毎に分かち書き されるが、スペース ではなく専用の記号U+103D0 𐏐 OLD PERSIAN WORD DIVIDER
が用いられる。
字形は他のメソポタミア 諸言語で用いられた楔形文字 (シュメール語 、アッカド語 など)やウガリト文字(ウガリット語 、フルリ語 )などと同じような形状をしているが、音素との対応がこれらの文字体系とは大きく異なるためUnicodeにおいては符号位置を分けられている。
符号位置の順序はおおむね伝統的な古代ペルシャ文字の順序に従っている。
Unicodeのバージョン4.1において初めて追加された。
収録文字
コード
文字
文字名(英語)
用例・説明
ラテン文字転写
独立母音字
U+103A0
𐎠
OLD PERSIAN SIGN A
音素[a ]を表す。
a
U+103A1
𐎡
OLD PERSIAN SIGN I
音素[i ]を表す。
i
U+103A2
𐎢
OLD PERSIAN SIGN U
音素[u ]を表す。
u
子音字
U+103A3
𐎣
OLD PERSIAN SIGN KA
音素[k ]を表す。
k
U+103A4
𐎤
OLD PERSIAN SIGN KU
kᵘ
U+103A5
𐎥
OLD PERSIAN SIGN GA
音素[ɡ ]を表す。
g
U+103A6
𐎦
OLD PERSIAN SIGN GU
gᵘ
U+103A7
𐎧
OLD PERSIAN SIGN XA
音素[x ]を表す。
x
U+103A8
𐎨
OLD PERSIAN SIGN CA
音素[t͡ʃ ]を表す。
č
U+103A9
𐎩
OLD PERSIAN SIGN JA
音素[d͡ʒ ]を表す。
j
U+103AA
𐎪
OLD PERSIAN SIGN JI
jⁱ
U+103AB
𐎫
OLD PERSIAN SIGN TA
音素[t ]を表す。
t
U+103AC
𐎬
OLD PERSIAN SIGN TU
tᵘ
U+103AD
𐎭
OLD PERSIAN SIGN DA
音素[d ]を表す。
d
U+103AE
𐎮
OLD PERSIAN SIGN DI
dⁱ
U+103AF
𐎯
OLD PERSIAN SIGN DU
dᵘ
U+103B0
𐎰
OLD PERSIAN SIGN THA
音素[θ ]を表す。
θ
U+103B1
𐎱
OLD PERSIAN SIGN PA
音素[p ]を表す。
p
U+103B2
𐎲
OLD PERSIAN SIGN BA
音素[b ]を表す。
b
U+103B3
𐎳
OLD PERSIAN SIGN FA
音素[f ]を表す。
f
U+103B4
𐎴
OLD PERSIAN SIGN NA
音素[n ]を表す。
n
U+103B5
𐎵
OLD PERSIAN SIGN NU
nᵘ
U+103B6
𐎶
OLD PERSIAN SIGN MA
音素[m ]を表す。
m
U+103B7
𐎷
OLD PERSIAN SIGN MI
mⁱ
U+103B8
𐎸
OLD PERSIAN SIGN MU
mᵘ
U+103B9
𐎹
OLD PERSIAN SIGN YA
音素[j ]を表す。
y
U+103BA
𐎺
OLD PERSIAN SIGN VA
音素[w ]を表す。
v
U+103BB
𐎻
OLD PERSIAN SIGN VI
vⁱ
U+103BC
𐎼
OLD PERSIAN SIGN RA
音素[r ]を表す。
r
U+103BD
𐎽
OLD PERSIAN SIGN RU
rᵘ
U+103BE
𐎾
OLD PERSIAN SIGN LA
音素[l ]を表す。
l
U+103BF
𐎿
OLD PERSIAN SIGN SA
音素[s ]を表す。
s
U+103C0
𐏀
OLD PERSIAN SIGN ZA
音素[z ]を表す。
z
U+103C1
𐏁
OLD PERSIAN SIGN SHA
音素[ʃ ]を表す。
š
U+103C2
𐏂
OLD PERSIAN SIGN SSA
音素不明。
ç
U+103C3
𐏃
OLD PERSIAN SIGN HA
音素[h ]を表す。
h
各種記号
U+103C8
𐏈
OLD PERSIAN SIGN AURAMAZDAA
「アフラ・マズダー (A(h)uramazdā )」(ゾロアスター教 の最高神)を表す。
A(h)uramazdā
U+103C9
𐏉
OLD PERSIAN SIGN AURAMAZDAA-2
U+103CA
𐏊
OLD PERSIAN SIGN AURAMAZDAAHA
「アフラ・マズダーの(A(h)uramazdāha )」という形容詞を表す。
A(h)uramazdāha
U+103CB
𐏋
OLD PERSIAN SIGN XSHAAYATHIYA
「王(xšāyaθiya )」を表す。
xšāyaθiya
U+103CC
𐏌
OLD PERSIAN SIGN DAHYAAUSH
「国(dahyāuš )」を表す。
dahyāuš
U+103CD
𐏍
OLD PERSIAN SIGN DAHYAAUSH-2
U+103CE
𐏎
OLD PERSIAN SIGN BAGA
「神(baga )」を表す。
baga
U+103CF
𐏏
OLD PERSIAN SIGN BUUMISH
「地(būmiš )」を表す。
būmiš
約物
U+103D0
𐏐
OLD PERSIAN WORD DIVIDER
単語境界を表す。
数値
U+103D1
𐏑
OLD PERSIAN NUMBER ONE
数字の1
U+103D2
𐏒
OLD PERSIAN NUMBER TWO
数字の2
U+103D3
𐏓
OLD PERSIAN NUMBER TEN
数字の10
U+103D4
𐏔
OLD PERSIAN NUMBER TWENTY
数字の20
U+103D5
𐏕
OLD PERSIAN NUMBER HUNDRED
数字の100
小分類
このブロックの小分類は「独立母音字」(Independent vowels )、「子音字」(Consonants )、「各種記号」(Various signs )、「約物」(Punctuation )、「数値」(Numbers )の5つとなっている[ 1] 。
独立母音字(Independent vowels )
この小分類には古代ペルシャ文字のうち、基本的な母音字が収録されている。
子音字(Consonants )
この小分類には古代ペルシャ文字のうち、基本的な子音字が収録されている。
なお、一部の子音字は後続する母音によって異なる文字を用いる。
各種記号(Various signs )
この小分類には古代ペルシャ文字のうち、単語を表す表語文字 が収録されている。
約物(Punctuation )
この小分類には古代ペルシャ文字で用いられる句読点 などの約物 類が収録されている。
数値(Numbers )
この小分類には古代ペルシャ文字に固有の数字が収録されている。
これらの数字は位取り記数法 を用いず、単位数字を並べて数値を表し、異なる桁にはその桁のための専用の数字を用いているため、Unicode上では10進法 の位取り記数法を用いる"digit"とは区別されて"number"と呼ばれている。
文字コード
履歴
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
バージョン
コードポイント[ a]
文字数
L2 ID
ドキュメント
4.1
U+103A0..103C3,103C8..103D5
50
L2/03-097
Michael Everson (4 March 2003), Revised proposal to encode the Old Persian script (英語)
L2/03-149
Michael Everson (8 May 2003), Final proposal to encode the Old Persian script (英語)
^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。
出典
^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U103A0.pdf" (PDF) . The Unicode Standard (英語). 2025年3月31日閲覧 。
関連項目