在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(ざいがいこうかんのめいしょうおよびいちならびにざいがいこうかんにきんむするがいむこうむいんのきゅうよにかんするほうりつ、昭和27年4月21日法律第93号)は、在外公館の日本語の名称および位置について定め、加えて、そこに勤務する外務公務員の俸給および在勤手当に関する日本の法律で、特別職の職員の給与に関する法律および一般職の職員の給与に関する法律に対する特例法である。略称は在外公館名称位置給与法、名称位置法[1]など。 1952年(昭和27年)4月21日に公布された。所管は外務省大臣官房在外公館課および領事局政策課である。 構成
経緯1952年(昭和27年)に、サンフランシスコ平和条約の発効に先駆けて在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律という題名で制定された。この法律に記載されている21大使館、18公使館、11総領事館および6領事館が、戦後初となる日本の在外公館である[2]。 1971年(昭和46年)に、これまで在外公館の名称と位置を定めていた外務省設置法の別表を盛り込んだため、現在の題名に改められた。
別表第一(国名)本法の別表第一(以下「別表1」)「在外公館の名称及び位置」は日本語による各国の名称(外名)について網羅的に明示しており、事実上この別表1が日本国政府による国名の日本語標準表記の根拠とされている[4]。 外務省の実務において国名の基準とされているのは、大臣官房総務課が内規として定める『国名表』であるが[5]、この『国名表』は一般公開されておらず、市販の文献では2007年(平成19年)まで外務省監修協力(1967年 - 1998年度版は編集)で発行されていた、財団法人世界の動き社『世界の国一覧表』に掲載された国名が原則として『国名表』によるものとされていた。 ただし『国名表』では別表1で用いる「法文上の表記」以外に「選択表記」と言う形で公文書に別名を使用することを認めているため『世界の国一覧表』では「法文上の表記」が一般に余り使用されていないような場合は、この「選択表記」の方が採用される場合もあった。 『世界の国一覧表』廃刊後は外務省のウェブサイトに掲載された国名が前述の『国名表』に基づくものとみなされているが、サイトの表記と別表1の記述は『世界の国一覧表』と同様に必ずしも一致していない(「選択表記」の方が使用されている)場合もある。 なお、1989年(平成元年)に「ビルマ」が「ミャンマー」に改称した事例や1997年(平成9年)に「西サモア」が「サモア独立国」に改称した事例など、国連に対して政体の変革等の理由で国名の変更が届け出られた場合に関しては別表1の改正がその都度ごとに行われている。 日本語国名表記の変更例2003年(平成15年)の別表1改正では1991年(平成3年)の内閣告示『外来語の表記』を反映させると共に、改正時点では余り使用されなくなっていた「法文上の表記」をそれまでは「選択表記」として認めていた一般的な表記に近付ける形で抜本的な改正が行われた(国名に含まれる「王国」「共和国」などの政体に関する部分は、同名の国との識別等の事情がある場合を除き省略)[6]。 この際に行われた見直しの大部分は"Ti"をそれまでの「ティ」から慣用として確立されている「チ」に変更する、"V+子音"を「ヴァ〜ヴォ」から「バ〜ボ」に変更する、過剰な中点や長音の除去、促音の整理など表記ゆれの範疇に収まるものだが、中には"Cyprus"を英語読みした「サイプラス」からギリシャ語に基づく「キプロス」に変更したり、フランス語の"Côte d'Ivoire"を意訳した「象牙海岸」を音韻転写の「コートジボワール」に変更するなどの特殊な事例も見られる。 2015年(平成27年)には、それまでロシア語由来(異説あり)の外名で「グルジア」と呼ばれていたジョージア政府からこの外名の使用取りやめを要請されたことを受け、別表1の改正が行われた[4]。 2019年(平成31年)の改正により、名称変更の宣言を受けてスワジランドから「エスワティニ」へ変更。また、セントクリストファー・ネーヴィスとカーボヴェルデをそれぞれ「セントクリストファー・ネイビス」と「カーボベルデ」に変更し、「ヴ」は使用されないこととなった[7][8]。
脚注
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