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特別職の職員の給与に関する法律(とくべつしょくのしょくいんのきゅうよにかんするほうりつ、昭和24年12月12日法律第252号)は、特別職の国家公務員の受ける給与および公務または通勤による災害補償に関する法律である。
主務官庁
概要
特別職国家公務員の給与等を定める法律だが、特別職国家公務員の全てがこの法律の対象というわけではない。国家公務員法第2条3項における特別職のうち、この法律の対象となっていない職および当該職の給与等に関する根拠法は以下のとおりである。
特別職給与法の対象者は第1条に列挙されているが[2]、このうち、国会職員の給与等は国会職員法および同法に基づく「国会職員の給与等に関する規程」に、国会議員の公設秘書の給与等は国会議員の秘書の給与等に関する法律および同法に基づく「国会議員の秘書の給与の支給等に関する規程」に定めることとされている。また、特別職に属する宮内庁職員(長官・侍従長・上皇侍従長・東宮大夫・式部官長を除く)、非常勤の職員(非常勤の総理補佐官や各組織の非常勤の委員など)は一般職の例によるとされている。そのため、実際に特別職給与法に給与等が定められている者はさらに限られることとなる。
また、実際に特別職給与法に給与が定められている者も、給与のうち地域手当、通勤手当、期末手当(ボーナス)、広域異動手当、住居手当、単身赴任手当、勤勉手当、寒冷地手当などの各種手当、支給期日および災害補償については、一般職国家公務員の例によるとされており、特別職給与法に定められているのは俸給月額のみである。
特別職給与法において直接定められている俸給月額は同法の「別表第一」「別表第二」「別表第三」の3つに分かれ、別表第一の対象者は首相、政務三役(大臣・副大臣・大臣政務官)、内閣官房の幹部、各府省庁の外局・審議会等・「特別の機関」の常勤の委員のうち国会同意人事に該当する職などの一握りの要職、別表第二の対象者は特命全権大使・特命全権公使、別表第三の対象者は一部の秘書官である。
特別職給与法は例年、一般職国家公務員の給与改定に準じ、内閣が改正案を提出する。
この法律の対象となる職員
他の法令によって特別職給与法の例によるとされている職
一部の国家公務員およびみなし公務員の中には、特別職給与法の対象ではないが、他の法令によりその給与の一部について「特別職給与法の例による」等と規定されているものがある。
特別職国家公務員のうち特別職給与法の対象ではないが他の法令により給与等の一部が特別職給与法の例による(または準じる)とされているもの
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機関 |
対象者 |
定数 |
特別職給与法の例による(あるいは準じる)もの |
根拠法
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外務省 |
2025年大阪・関西万博政府代表[注釈 59] |
1人 |
俸給月額以外の給与(各種手当等)・災害補償 |
二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法
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最高裁判所 |
最高裁長官 |
1人 |
報酬以外の給与(各種手当等) |
裁判官の報酬等に関する法律
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最高裁裁判官 |
14人
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下級裁判所 |
高等裁判所 |
高等裁判所長官 |
各高裁にそれぞれ1人(計8人)[注釈 60]
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国会 |
国会議員 |
713人(衆議院議員465人・参議院議員248人) |
期末手当(ボーナス)の額の算定基準[注釈 61] |
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律
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一般職国家公務員であるが他の法令により給与等の一部が特別職給与法の例によるとされているもの
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機関 |
対象者 |
定数 |
特別職給与法の例によるもの |
根拠法
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法務省の「特別の機関」 |
最高検察庁 |
検事総長 |
1人 |
俸給月額以外の給与(各種手当) |
検察官の俸給等に関する法律
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検事次長 |
1人
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高等検察庁 |
検事長 |
各高等検察庁にそれぞれ1人(計8人)[注釈 62]
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みなし公務員であるが他の法令により特別職給与法対象者の給与等を勘案して給与等の支給の基準を定めるとされているもの
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機関 |
対象者 |
定数 |
特別職給与法対象者の給与等を勘案するとされているもの |
根拠法
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認可法人 |
日本銀行 |
総裁 |
1人 |
給与・退職手当・その他の事情 |
日本銀行法
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副総裁 |
2人
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監事 |
3人以内
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理事 |
6人以内
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参与 |
若干名
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日本銀行政策委員会審議委員 |
6人
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注釈
- ^ 特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理、特派大使・政府代表又は全権委員の顧問及び随員
- ^ 防衛人事審議会の委員、自衛隊員倫理審査会の委員、防衛調達審議会の委員、防衛施設中央審議会の委員、防衛施設地方審議会の委員、捕虜資格認定等審査会の委員、地方協力局労務管理課の職員
- ^ 内閣法においては国務大臣の定数は原則として14人以内、特別に必要がある場合においては17人以内とされているが、特例法において復興大臣および国際博覧会担当大臣が増設されており、それらの大臣が置かれている間は、19人以内が上限となる。
- ^ 会長の定数は1人だが、原則として常勤であり、非常勤とすることができるため、常勤の会長は0~1人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は4人だが、原則として常勤であり、非常勤とすることができるため、常勤の委員は0~4人のいずれかとなる。
- ^ 総理補佐官の定数は5人以内であるが、原則として常勤であり、非常勤とすることができるため、常勤の総理補佐官は0~5人のいずれかとなる。
- ^ 内閣府副大臣3人、デジタル副大臣1人、復興副大臣2人、総務副大臣2人、法務副大臣1人、外務副大臣2人、財務副大臣2人、文部科学副大臣2人、厚生労働副大臣2人、農林水産副大臣2人、経済産業副大臣2人、国土交通副大臣2人、環境副大臣2人、防衛副大臣1人
- ^ 内閣府大臣政務官3人、デジタル大臣政務官1人、総務大臣政務官3人、法務大臣政務官1人、外務大臣政務官3人、財務大臣政務官2人、文部科学大臣政務官2人、厚生労働大臣政務官2人、農林水産大臣政務官2人、経済産業大臣政務官2人、国土交通大臣政務官3人、環境大臣政務官2人、防衛大臣政務官2人。なお、復興大臣政務官は他府省の大臣政務官が兼職することとされている。
- ^ 大臣補佐官は必ず置かれるものではないが、置かれる場合は、内閣府が6人以内、復興庁・総務省・法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省がそれぞれ1人が定数である。また、大臣補佐官を置く場合も、大臣補佐官は原則として常勤であり、非常勤とすることができる。なお、デジタル庁には大臣補佐官は置かれない。
- ^ 国家公安委員会は大臣委員会であるため、その委員長は国務大臣である。したがって、委員長は国務大臣の1人として特別職給与法の対象に該当する。
- ^ 委員の定数は8人だが、そのうち4人は非常勤である。
- ^ 委員の定数は4人だが、原則として常勤であり、そのうち2人は非常勤とすることができるため、常勤の委員は2~4人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は7人だが、そのうち3人は非常勤である。
- ^ 委員の定数は2人だが、原則として常勤であり、そのうち1人は非常勤とすることができるため、常勤の委員は1~2人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は7人だが、原則として非常勤であり、そのうち4人以内を常勤とすることができるため、常勤の委員は0~4人のいずれかとなる。
- ^ 議員の定数は閣僚たる議員を含め14人以内だが、閣僚たる議員以外の議員は原則として非常勤であり、閣僚たる議員以外の議員のうち4人以内を常勤とすることができるため、閣僚たる議員以外の議員のうち常勤の者は0~4人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は9人以内だが、原則として非常勤であり、そのうち1人は常勤とすることができるため、常勤の委員は0~1人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は6人だが、そのうち3人は非常勤である。
- ^ 委員の定数は9人だが、原則として非常勤であり、そのうち3人以内は常勤とすることができるため、常勤の委員は0~3人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は15人だが、原則として非常勤であり、そのうち5人以内は常勤とすることができるため、常勤の委員は0~5人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は5人だが、原則として非常勤であり、そのうち2人以内は常勤とすることができるため、常勤の委員は0~2人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は5人だが、原則として非常勤であり、そのうち2人以内は常勤とすることができるため、常勤の委員は0~2人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は4人だが、そのうち2人は非常勤である。
- ^ 公益委員の定数は15人だが、原則として非常勤であり、そのうち2人以内は常勤とすることができるため、常勤の公益委員は0~2人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は9人だが、原則として常勤であり、そのうち3人は非常勤とすることができるため、常勤の委員は6~9人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は12人だが、そのうち5人は非常勤である。
- ^ 委員の定数は6人だが、そのうち4人は非常勤である。
- ^ 委員の定数は7人だが、そのうち6人は非常勤である。
- ^ 委員の定数は6人だが、原則として常勤であり、そのうち3人は非常勤とすることができるため、常勤の委員は3~6人のいずれかとなる。
- ^ 2023年現在、大使館が154、政府代表部が10ある(他の大使館が兼轄しているものを除く)。特命全権大使は原則として大使館もしくは政府代表部の長であるが、国際連合日本政府代表部などには長以外にも大使が置かれている。
- ^ アメリカ合衆国、中国、ロシア、イギリスの各大使館に長としての特命全権大使とは別に、特命全権公使がそれぞれ置かれる。なお、公使館はすべて大使館に昇格しており、現存していない。
- ^ 各省大臣の秘書官はそれぞれ各省に所属。無任所大臣の秘書官は内閣官房に所属。
- ^ 東京高裁、大阪高裁、名古屋高裁、広島高裁、福岡高裁、仙台高裁、札幌高裁、高松高裁の8つ。
- ^ 会長の定数は1人だが、原則として常勤であり、非常勤とすることができるため、非常勤の会長は0~1人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は4人であるが、原則として常勤であり、非常勤とすることができるため、非常勤の委員は0~4人のいずれかとなる。
- ^ 総理補佐官の定数は5人以内であり、原則として常勤であるが、非常勤とすることができるため、非常勤の総理補佐官は0~5人のいずれかとなる。
- ^ 大臣補佐官は必ず置かれるものではないが、置かれる場合は、内閣府が6人以内、復興庁・総務省・法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省がそれぞれ1人が定数である。また、大臣補佐官を置く場合も、大臣補佐官は原則として常勤であり、非常勤とすることができるため、非常勤の大臣補佐官は0~18人のいずれかとなる。なお、デジタル庁には大臣補佐官は置かれない。
- ^ 委員の定数は8人だが、そのうち4人は常勤である。
- ^ 委員の定数は4人だが、原則として常勤であり、そのうち2人は非常勤とすることができるため、非常勤の委員は0~2人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は7人だが、そのうち4人は常勤である。
- ^ 委員の定数は2人であるが、原則として常勤であり、そのうち1人は非常勤とすることができるため、非常勤の委員は0~1人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は7人であるが、原則として非常勤であり、そのうち4人以内は常勤とすることができるため、非常勤の委員は3~7人のいずれかとなる。
- ^ 議員(閣僚たる議員を含む)の定数は14人以内だが、閣僚たる議員以外の議員は原則として非常勤であり、そのうち4人以内は常勤とすることができるため、非常勤の議員(閣僚たる議員を除く)は数人程度となる。
- ^ 委員の定数は9人以内だが、原則として非常勤であり、そのうち1人は常勤とすることができるため、非常勤の委員は8~9人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は6人だが、そのうち3人は常勤である。
- ^ 委員の定数は9人だが、原則として非常勤であり、そのうち3人以内は常勤とすることができるため、非常勤の委員は6~9人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は15人だが、原則として非常勤であり、そのうち5人以内は常勤とすることができるため、非常勤の委員は10~15人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は5人だが、原則として非常勤であり、そのうち2人以内は常勤とすることができるため、非常勤の委員は3~5人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は5人だが、原則として非常勤であり、そのうち2人以内は常勤とすることができるため、非常勤の委員は3~5人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は4人だが、そのうち2人は常勤である。
- ^ 公益委員の定数は15人だが、原則として非常勤であり、そのうち2人以内は常勤とすることができるため、非常勤の公益委員は13~15人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は9人だが、原則として常勤であり、そのうち3人は非常勤とすることができるため、非常勤の委員は0~3人のいずれかとなる。
- ^ 委員の定数は12人だが、そのうち7人は常勤である。
- ^ 委員の定数は6人だが、そのうち2人は常勤である。
- ^ 委員の定数は7人だが、そのうち1人は常勤である。
- ^ 委員の定数は6人だが、原則として常勤であり、そのうち3人は非常勤とすることができるため、非常勤の委員は0~3人のいずれかとなる。
- ^ 衆参両院の議院事務局の事務総長、参事、常任委員会専門員、常任委員会調査員、その他の職員。衆議院議院事務局調査局の調査局長、調査員。衆参両院の議院法制局の法制局長、参事、その他の職員。国立国会図書館の館長、副館長、司書、専門調査員、調査員、参事、その他の職員。裁判官弾劾裁判所事務局の参事、その他の職員。裁判官訴追委員会事務局の参事、その他の職員。
- ^ 公設第一秘書、公設第二秘書、政策担当秘書の3人
- ^ 万博政府代表は国家公務員法第2条3項には列挙されていないが、「二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法」第2条2項により特別職国家公務員とされている。
- ^ 東京高裁、大阪高裁、名古屋高裁、広島高裁、福岡高裁、仙台高裁、札幌高裁、高松高裁の8つ。
- ^ 国会議員の期末手当の額は、歳費月額及びその歳費月額に45%を超えない範囲内で両議院の議長が協議して定める割合を乗じて得た額の合計額に、特別職給与法の別表第一の対象者の例により一定の割合を乗じて得た額とされている。
- ^ 東京高検、大阪高検、名古屋高検、広島高検、福岡高検、仙台高検、札幌高検、高松高検の8つ。
脚注