官民研究開発投資拡大プログラム官民研究開発投資拡大プログラム(かんみんけんきゅうかいはつとうしかくだいプログラム、Public/Private R&D Investment Strategic Expansion Program、略称:PRISM)[1]は、日本の内閣府が2018年度に創設した研究開発支援制度である。官民の研究開発投資を拡大し、科学技術イノベーションを通じて経済成長を促進することを目指す。2023年度からは後継プログラム「BRIDGE」(研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム[2])に移行した。 目的![]() PRISMは、2016年(平成28年)に策定された「科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブ[3]」に基づき、民間企業の研究開発投資を誘発する効果の高い領域(ターゲット領域)を設定し、政府予算を戦略的に配分することで、イノベーション創出を加速することを目的とした[4][5][6]。600兆円経済の実現を視野に入れ、AI、量子技術、バイオ技術などの分野で成果を追求した。 仕組み総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)[7]が政策の司令塔として機能し、各府省の施策をターゲット領域に誘導。必要に応じて追加予算を配分し、領域全体での研究開発を推進した。公募制と異なり、運営委員会や審査会での決定プロセスが中心となり、予算配分の透明性に関する議論も存在した。実施期間は2018年度から2022年度までで、後継のBRIDGE[2]では「SIP」(戦略的イノベーション創造プログラム[8])との連携強化が図られている。 主な取り組みと成果PRISMでは、建設分野での生産性向上技術や新薬創出を加速するAI開発など、多様なプロジェクトが支援された。例えば、国土交通省は革新的技術の現場導入を試行し、労働生産性の向上に寄与。一方で、予算配分の不透明さや成果の社会実装への遅れが指摘されることもあった。2022年8月の報告書(「今後のPRISMのあり方検討会」の設置について[9][10])では、PRISMの運用において課題が指摘されている。特に研究開発型の施策では、「官民の研究開発投資の拡大」や「財政支出の効率化」という目的に対し効果が限定的であり、資金を有効に使い切れていない状況が報告された。また、各省庁からの提案の数や質が低下していることが考えられ、制度の目的と実態の間にギャップが広がっていると評価されている。領域ごとの成果は内閣府公式ページ[1]で公開されているが、運営委員会やガバニングボードの詳細な審議内容の多くが非公開であり、外部から具体的なプロセスを把握することは困難である。後継のBRIDGE[2]では、官民のギャップ解消や資金活用の課題を踏まえた改善が期待されている[11]。 プログラム内容官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)は、2018年度の開始以降、「ガバニングボード[12]」において毎年度見直しと再編が行われた。特にターゲット領域は何度か変更している。詳細は次節で述べる。 ターゲット領域の変遷当初3つであったターゲット領域は見直しにより3度修正され、プログラム終了時点で4つとなった[13]。
プログラム一覧ここでは、プログラム終了年度である2022年度の取り組みを領域ごとに掲載する。
他のプロジェクトへの参加研究者これまでに実施された類似研究プロジェクトへの研究者としての参加4名とその研究。 沿革官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の歴史的経緯を以下に示す。
研究推進法人脚注
参考文献関連項目
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia