小須田部長
小須田部長(こすだぶちょう)は、FNS系列局で放送されていた番組『笑う犬の生活』・『笑う犬の冒険』で放送されたコント、およびその主人公である架空の人物。内村光良が演じた。 概要内村光良演じる「小須田部長」が、転勤の為に様々な場所へ引っ越すために準備する様子を面白おかしく描いたストーリー仕立てのコント。 引っ越し準備の際、小須田部長は赴任先を一向に知らされないまま、用意した「いるもの」「いらないもの」と書かれた箱に私物の一部や思い出の品などを分類していくが、大半が元部下の原田によって「いらないもの」に分類される[注 1]。常識的に考えてこれは必要だろうというものまで「いらないもの」に分類されるが、思わぬものが「いるもの」に分類され、次第に小須田部長が次の(非常識で過酷な)赴任先と業務内容を察していく様子が笑いどころである[注 2]。最後は赴任先を知った小須田が「がんばれ〜負けんな〜力の限り生きてやれ〜」と泣きながら歌い[注 3]、原田が転勤の原因を明かすのがお決まりとなっている[注 4]。 とんでもない場所へ引っ越しさせられる小須田は、毎回その場所に驚異的なまでに順応するのだが、必ず1つ余計な事をしてしまって社長の怒りを買い、更にとんでもない場所へと転勤させられてしまう。なお、これについて本人は「良かれと思ってやったのに…」と発言するなど、自らの行動がいわゆる「地雷を踏む」ことになったという自覚がないようで、結果として自らの失敗が何であるかを学習しないまま同じ失敗を繰り返している。 第1章第1話で北海道へ転勤する前に女子社員から送られ、原田が「冬をおナメにならない方が…」と言いながら装着させた黄色の耳当てがトレードマークであり、最後まで装着し続けた[注 5]。また、どんな過酷で危険な場所に行っても「名刺[注 6]」「スーツ[注 7]」「携帯電話」の3点だけは所持し続けている。日本に一時帰国した際には、番組の催し物として名刺交換イベントなるものも行われた。 当初は「小須田」という名前が付いておらず、コントのタイトルも『引っ越し』であった。第1章第3話から題名に「小須田部長」の名前が入る。なお、役職が「部長」であったのはほんのわずかで、実際には「支社長」「艦長」「男爵」など様々な役職についている。他にも、キラウエア火山の観測所への赴任に際して博士号を取得していないのに「博士」になったり[注 8]、ニューヨークでは現地のサポートスタッフである黒人ギャング2人の「ブラザー[注 9]」になったり[注 10]、ナイアガラの滝で落下する際は「チャレンジャー」になったりと、純粋に役職や肩書と言うにはやや無理のあるものになったこともある。この他、砂漠の紛争地帯へ「親善大使」として赴任する際は「新しい名刺には本名ではなくコードネームを入れてください」と言われたり、ニューヨークの自由の女神に口紅を塗るのに際しては原田から「あなたはこれから、メイクアップアーチストのギイチ・コッスンになられるんですから」と言われるなど、本名と異なる名義を名乗ることもあった。 演じる内村は、基本的に小須田の設定通り50代の中高年男性の様な声色や口調で演じているが、稀に素の口調で素の声を発することがある。また、原田との会話は対等な口調であるが、驚きのあまり丁寧語を発することもある。 第1章から第3章に加えて番外編の2作品があり、内村と原田コンビによる、番組の黄金期を支えた名コントの一つとして今でも語り継がれている[要出典]。 プロフィール本名は小須田 義一(こすだ ぎいち)。 1945年8月16日(太平洋戦争終戦の翌日)、内村と同じ熊本県人吉市生まれ。一浪を経て北九州大学(現実の北九州市立大学の旧校名とは異なる架空の大学)へ進学。卒業後は上京して「吉田宗之介商店」(現在の「ヨシダ・エンタープライズ」)に入社し、総務部部長[注 11]の地位まで登りつめる。 特技は日本の歴代首相のモノマネ。赴任先を問わず現地の人間と短期間で親しくなり、その環境に順応しきってしまうなど多才かつ優秀な人物で、無茶な任務をしっかりとこなしていくが、ある理由によって「ヨシダ・エンタープライズ」の社員たちの中で社長から最も嫌われている「嫌われ社員」であるため、任務の成功が良い意味で反映されることは少ない。 あまりにもショックを受けた時に「あーっ!」と濁声で叫ぶ癖や、真剣な話をする時に眼鏡を外す癖がある。 家族・恋人物語が始まる前は妻の益江と娘のえみりの3人家族で、両者とも小須田を見限って別居していたが、後に原田の「その方が小須田さんのためになる」という独断によって、原田が小須田に代わって離婚届に判を押すという形で協議離婚が成立していたことが発覚する[1][注 12]。原田曰く「もう泣いてくれる親族はいない」[1]。
その他の人間関係
転勤遍歴
元々は総合商社「ヨシダ・エンタープライズ」に勤めるごく普通のサラリーマン部長で、社長のお気に入りの社員の中の1人でもあったのだが、同様の社員ばかりを集めた宴会で披露した社長のモノマネに本人が激怒し[注 22]、程なくして北海道開発事業部土壌調査課利尻支部へ支社長として左遷される。 3ヶ月後、決算表の隅に社長の似顔絵を書いたことでベネズエラへ飛ばされた後、社長の誕生日プレゼントに年の数だけ松明を送ってしまったために潜水艦でタイタニック号を大西洋で捜索する任務に向かわされる。タイタニック号の発見に成功しこれから引き上げというタイミングを迎えると、たまたま潜水艦が浮上した時に見た綺麗な星空で来年の社長の運勢を星占いしたことが原因でハワイのキラウエア火山の観測所勤務となり[注 23]、ちょっとした茶目っ気で社長宛のファックスに「マグマ大使より」と書いたことで親善大使として砂漠の紛争地帯へ飛ばされてしまった。さらに、CNNの取材の時に「社長見てますか」とVサインしたことが原因で、会社の女子社員達が会社の新しいマスコットに希望したピンクのペンギンを発見するために南極へ向かう。 南極では最初の偉業(?)とも言えるピンクのペンギン[注 24]の発見に成功するも、会社の女子社員達には不評だったため原田が提案したパンダが新しいマスコットに選ばれるという結果に終わり、さらに基地で生まれた子犬に社長の名前をつけたことが原因でニューヨークのスラム街(近況報告ではサウス・ブロンクス)にテーマパークを建設するための地上げへ。しかし、国連本部の日の丸の旗の横に会社の旗を上げてしまった事[注 25]が原因で、「出版した百科事典の印刷ミスを誤魔化すためにエベレストの頂上を1m高くする」という任務が下され、エベレスト登頂に向かう。 エベレストでは3往復して土嚢を積む[注 26]が、報告書の最後に「雪男でも探しましょうか?」と書いたことが原因で転勤が決まる。原田との会話でアメリカの最初にナの付くところへ行くと知った小須田は宇宙行きを確信するものの、実際に行くのはナイアガラで、その目的は「樽に乗って滝から落ちる」というものだった[注 27]。 ナイアガラでは滝の上流1km地点で準備をしていたが、誤って黄色の耳当てを川に落とし、それを拾おうとして自身も川に落下、生身の状態で滝へ流されてしまう。しかし、着用していたヘルメットを失って眼鏡が損傷しながらも、奇跡的な生還を果たす。「次は何処行って、何をするんだ!」と叫ぶ小須田だが、実は「滝に落ちた小須田が生きていたら日本へ帰す」と社長が約束していたことが明らかになり、ようやく日本へ一時帰国し、静岡支店の支店長となった。 その後、「ヨシダ・エンタープライズ」がチャン名倉(演:名倉潤)率いる香港の企業「アンヌグループ」に買収されてしまう。チャン名倉によって小須田と原田の2人に命令が下され、「アンヌミラーズ」のウェイトレス、アンヌタイガースのプロ野球選手、宝塚のアンドレ役を経て、横綱に昇進することになる。 「アンヌグループ」の撤退後、小須田は一時期は秘書室長となるが、またしても単身で様々な所へ赴任することになる。しかしその目的は会長に就任したえみりや、社長と再婚した益江のわがままを叶えさせるためのものに変化していき、白鯨の発見、CIA潜入、アトランティス大陸上陸、ドラキュラ伯爵との対面、少林寺を小林寺に改名、自由の女神に口紅を塗るなどの任務をこなした。ただし、この間に副社長に昇進している。 ICBMミサイル受け止めの任務を機に、ついに会社に反旗を翻すことを考えるが、時を同じくして地球に巨大隕石が接近。ついさっきまで反旗を翻そうとしていたのをすっかり忘れ、ホワイトハウス時代のコネを使ってNASAに「自分は日本のサラリーマンである」と理由を告げ、地球を救うため単身で宇宙へ引っ越す。そして、隕石衝突から地球を救う準備を全て終わらせるが、原田たちが地球を危機から救うことに集中するあまり、ついうっかり地球への帰還手段を用意し忘れていたことが原因で隕石から地球へ戻れなくなり、そこで益江とえみりの幻影を見つつ、命と引き換えに地球を救った。 死亡から4年後、墓を移動させようとする原田の前に現れ、最後の引っ越しを行う。なお、墓跡には社長になった原田の家が建っているようである。 『笑う犬2008』にて、中学生時代の小須田が描かれた。両親に身売りされソ連のカムチャッカへの移住が決まり、カムチャッカ2中に転校することを教師の原田から告げられる。 コントのサブタイトル第1章第1話と第2話は『引っ越し』というタイトル。第3話で『小須田部長の引っ越し』というタイトルになるがサブタイトルは変わらず、第4話からサブタイトルが変わるようになる。
第2章第2章は全て「Show must go on!」で固定。以下は便宜上の物。
第3章最終話を除いて「Show must go on!」で固定されているが、ドラキュラ編以降は日本語の「○○編」というサブタイトルが追加。最終話のみ「LOVE IS ENERGY」[注 29]というサブタイトルで、映画『アルマゲドン』の壮大かつ感動的ですらあるパロディで締めくくられた。 ※括弧内は便宜上の物。
番外編2つ存在する。
脚注注釈
出典関連項目 |
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