オダッシュ山から望む市街地(2013年6月)
新得町(しんとくちょう)は、北海道上川郡にある町。
町名の由来
町名は、アイヌ語で「シットク・ナイ」が訛ったものであり、山の肩、または端という意味がある[1]。また、アイヌの人たちが酒を造るための漆器(行器)「シントコ」を作るための土地であったとも言われている[1]。
地理
十勝の表玄関として、東に鹿追町、上士幌町、南に清水町、西に上富良野町、南富良野町、北に美瑛町、上川町に接している。北海道の断面一次におけるモーメントの重心に位置している(東経142度49分40・北緯43度28分02)[3]。総面積の約9割が森林であり、北部一帯の約7割が大雪山国立公園の国有林となっているほか、南部は十勝川の流域(屈足地域)、佐幌川の流域(新得地域)、その中間台地(上佐幌地域)に分かれている。十勝川の源流部が「十勝川源流部原生自然環境保全地域」として環境省から「原生自然環境保全地域」に指定されている[4]。
- 山:新得山(455 m)、オダッシュ山(1,097 m)、パンケ山(479 m)、佐幌岳(1,060 m)、ペンケ山(794 m)、稚空知山(943 m)、チカベツ山(1,020 m)、下ホロカメットク山(1,668 m)、境山(1,837 m)、上ホロカメットク山 (1,920 m)、十勝岳(2,077 m)、ベベツ岳(1,868 m)、オプタテシケ山(2,012 m)、コスマヌプリ(1,626 m)、ツリガネ山(1,708 m)、トムラウシ山(2,141 m)、化雲岳(1,955 m)、五色岳(1,868 m)、沼ノ原山(1,493 m)、ニペソツ山(2,013 m)、丸山(1,692 m)、然別山(1,235 m)、ピシカチナイ山 (1,308 m)
- 河川:十勝川、佐幌川、パンケ新得川、トムラウシ川
- ダム・湖沼:サホロ湖(佐幌ダム)、屈足湖(屈足ダム)、岩松湖(岩松ダム)、東大雪湖(十勝ダム)、上岩松ダム、富村ダム、ヒサゴ沼
人口
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新得町と全国の年齢別人口分布(2005年)
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新得町の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 新得町 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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新得町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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11,089人
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1975年(昭和50年)
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11,537人
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1980年(昭和55年)
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9,502人
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1985年(昭和60年)
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9,008人
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1990年(平成2年)
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8,412人
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1995年(平成7年)
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7,822人
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2000年(平成12年)
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7,657人
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2005年(平成17年)
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7,243人
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2010年(平成22年)
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6,642人
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2015年(平成27年)
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6,288人
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2020年(令和2年)
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5,817人
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総務省統計局 国勢調査より
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気候
ケッペンの気候区分によると、新得町は湿潤大陸性気候に属する。寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候である。降雪量が多く、十勝総合振興局管内では唯一、特別豪雪地帯に指定されている[5]。
冬季は-20℃前後の気温が観測されることが珍しくなく、寒さが厳しい。1月の平均最低気温は-11.1度と、隣接する鹿追町と同じように十勝の中では冷え込みが弱い。
新得(1991年 - 2020年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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8.7 (47.7)
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15.9 (60.6)
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16.6 (61.9)
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28.3 (82.9)
|
35.4 (95.7)
|
35.9 (96.6)
|
37.3 (99.1)
|
36.2 (97.2)
|
32.7 (90.9)
|
27.9 (82.2)
|
20.9 (69.6)
|
15.1 (59.2)
|
37.3 (99.1)
|
平均最高気温 °C (°F)
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−2.2 (28)
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−1.4 (29.5)
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3.2 (37.8)
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10.6 (51.1)
|
17.2 (63)
|
20.7 (69.3)
|
23.7 (74.7)
|
24.7 (76.5)
|
21.0 (69.8)
|
14.7 (58.5)
|
7.2 (45)
|
0.2 (32.4)
|
11.6 (52.9)
|
日平均気温 °C (°F)
|
−6.2 (20.8)
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−5.6 (21.9)
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−1.1 (30)
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5.3 (41.5)
|
11.3 (52.3)
|
15.2 (59.4)
|
18.8 (65.8)
|
19.8 (67.6)
|
16.0 (60.8)
|
9.5 (49.1)
|
3.0 (37.4)
|
−3.3 (26.1)
|
6.9 (44.4)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−11.1 (12)
|
−10.7 (12.7)
|
−5.7 (21.7)
|
0.0 (32)
|
5.5 (41.9)
|
10.3 (50.5)
|
14.7 (58.5)
|
15.7 (60.3)
|
11.4 (52.5)
|
4.5 (40.1)
|
−1.1 (30)
|
−7.3 (18.9)
|
2.2 (36)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−25.7 (−14.3)
|
−28.3 (−18.9)
|
−22.6 (−8.7)
|
−11.6 (11.1)
|
−4.5 (23.9)
|
0.3 (32.5)
|
4.9 (40.8)
|
6.7 (44.1)
|
−0.2 (31.6)
|
−5.2 (22.6)
|
−12.4 (9.7)
|
−20.7 (−5.3)
|
−28.3 (−18.9)
|
降水量 mm (inch)
|
46.4 (1.827)
|
40.1 (1.579)
|
54.1 (2.13)
|
67.3 (2.65)
|
92.5 (3.642)
|
93.0 (3.661)
|
149.6 (5.89)
|
206.1 (8.114)
|
168.1 (6.618)
|
109.3 (4.303)
|
76.9 (3.028)
|
58.9 (2.319)
|
1,162.2 (45.756)
|
降雪量 cm (inch)
|
121 (47.6)
|
112 (44.1)
|
123 (48.4)
|
26 (10.2)
|
3 (1.2)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
1 (0.4)
|
26 (10.2)
|
107 (42.1)
|
517 (203.5)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
8.7
|
8.3
|
10.5
|
11.2
|
11.7
|
11.0
|
13.9
|
13.8
|
13.2
|
11.8
|
11.6
|
9.5
|
135.3
|
平均月間日照時間
|
133.8
|
127.5
|
171.8
|
178.1
|
184.8
|
141.4
|
119.4
|
129.7
|
142.1
|
152.1
|
118.2
|
112.8
|
1,711.6
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出典:気象庁
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歴史
「新得の歴史」参照。
佐幌高台の東側斜面と十勝川沿いには、縄文時代の遺跡が残っている。ピタラウシ川と佐幌川が合流する付近にある「新内チャシ」は、アイヌ文化期のものである。十勝地方の内陸部にある新得は、近世までの様子は知られていない。江戸時代は松前藩の領地であったが、藩の直接統治は及んでいなかった。
姉妹都市
姉妹都市
姉妹町盟約
行政
役場
歴代首長
「町勢要覧(資料編)」参照
歴代 |
氏名 |
就任年月
|
村長
|
初代 |
土門玄吾 |
1915年(大正4年)4月
|
2代 |
佐藤伊久馬 |
1916年(大正5年)8月
|
3代 |
高山広司 |
1920年(大正9年)2月
|
4代 |
林理一郎 |
1921年(大正10年)5月
|
5代 |
妹尾良貫 |
1923年(大正12年)6月
|
6代 |
柏量策 |
1927年(昭和2年)7月
|
村長・町長
|
7代 |
佐藤伊久馬 |
1928年(昭和3年)7月
|
町長
|
8代 |
小崎栄吉 |
1936年(昭和11年)9月
|
9代 |
植村包栄 |
1947年(昭和22年)4月
|
10代 |
杉本義行 |
1949年(昭和24年)4月
|
11代 |
山根常太郎 |
1953年(昭和28年)8月
|
12代 |
平野栄次 |
1957年(昭和32年)8月
|
13代 |
佐々木忠利 |
1973年(昭和48年)8月
|
14代 |
斉藤敏雄 |
1993年(平成5年)8月
|
15代 |
浜田正利 |
2005年(平成17年)8月
|
16代 |
湯浅真希 |
2025年(令和7年)8月
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議会
- 議員定数:12名
- 議会
- 委員会
- 総務厚生常任委員会
- 産業文教常任委員会
- 広報広聴常任委員会
- 議会運営委員会
官公署
- 国の機関
- 道の機関
- 地方独立行政法人
公共施設
- 町営浴場(トムラウシ温泉の温泉湯をタンクローリーで運んで使用)[19]
- 新得町公民館
- 新得町図書館
- 新得町保健福祉センター「なごみ」
- 新得町子どもセンター「なかよし」
- 新内ホール
- 佐幌農業会館
- 屈足総合会館
- 屈足農村環境改善センター
スポーツ施設
- 新得運動公園
- 野球場
- テニスコート
- 多目的運動広場
- 新得町民体育館
- パークゴルフコース
- 新得町武道館
- 新得町営温水プール「ビーバー」
- 屈足公園
- 新得山スキー場
- 新得町総合体育館(サホロアリーナ)
- サホロテニスパーク
- 屈足レイクサイドパークゴルフ場
- サホロリバーサイド運動広場
公的機関
- 警察
- 消防
- 電力
- 北海道電力新得営業所・新得水力センター
- 富村発電所
- 然別第二発電所
- 上岩松発電所
- 十勝発電所
- 新岩松発電所
- 電源開発くったり発電所
- 新聞社
教育機関
義務教育学校
中学校
小学校
特別支援学校
幼稚園・保育園
経済・産業
農業は畑作・畜産・酪農の大規模農業を展開している。また、林業も盛んであり、製材の出荷量は十勝管内で有数の規模を誇っている。観光では「日本百名山」の1つであるトムラウシ山や麓のトムラウシ温泉、佐幌岳のスキー場を核としたサホロリゾートやクラブメッド北海道サホロなどがあり、資源を生かした観光を展開している。
- 組合
- 新得町農業協同組合(JA新得町)[23]
- 北海道農業共済組合(NOSAI北海道)十勝西部支所新得分室[24]
- 西十勝森林組合
- 十勝・新得フレッシュ地鶏事業協同組合
- 新得町しいたけ生産組合
- サホロ畜産事業協同組合
- スーパーマーケット
- ホームセンター
- 金融機関
- 郵便局
新得郵便局
- 新得郵便局(集配局)
- 屈足郵便局(集配局)
- 富村牛簡易郵便局
- 宅配便
交通
新得駅(2013年8月)
鉄道
- 北海道旅客鉄道(JR北海道)
2024年3月31日までは富良野方面からも根室本線が伸びていた。同線は1966年(昭和41年)まで現在と異なる経路を通っており、町内には新内駅が設置されていた。
バス
タクシー
道路
町の西部を道東自動車道(北海道横断自動車道)が通っている。国土交通省から新得SICの事業許可がNEXCO東日本に出ており、PAとともに整備され、近隣には道の駅が併設される予定となっている[28]。町内を通る幹線道路は、シーニックバイウェイの「十勝平野・山麓ルート」[29]、大雪—富良野—十勝を結ぶ「北海道ガーデン街道」になっている[30]。
農道離着陸場
文化財
観光・レジャー
- 狩勝峠展望台
- 狩勝高原園地
- 狩勝高原エコトロッコ鉄道
- 狩勝高原キャンプ場
- サホロリゾート
- サホロ湖キャンプ場
- 新得そばの館
- 新得山スキー場
- 湯宿くったり温泉レイクイン
- オソウシ温泉「鹿乃湯荘」
- 十勝ダムキャンプ場
- トムラウシ自然体験交流施設「山の交流館とむら」
- トムラウシ温泉 国民宿舎「東大雪荘」
- トムラウシ自然休養林野営場
- ヌプントムラウシ温泉
祭事・催事
- 新得神社山桜まつり(5月上旬)
- 狩勝トレイルランニング(5月下旬)
- GANKE FES(7月上旬)[32]
- 新得そばの里まつり(7月下旬)
- くったりふるさと祭り(8月中旬)
- Shintoku空想の森映画祭(9月中旬)
- しんとく新そば祭り(9月下旬)
- 全国フロアカーリング交流大会(9月下旬)
- うまいっしょ「しんとく」大雪まつり(10月上旬)
- いらっしゃいしんとくイルミネーション(12月上旬から2月下旬)
競技
名産・特産
新得町はソバの産地であり、「新得そば」が有名となっている。国道38号沿いは通称「そばロード」と呼ばれ、両側にそば畑を見ることができる[33]。
新得町が舞台(ロケ地)となった作品
- 映画
- ドラマ
人物
脚注
参考文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
新得町に関連するカテゴリがあります。
外部リンク