犬吠埼灯台
犬吠埼灯台(いぬぼうさきとうだい)は、千葉県銚子市の犬吠埼に立つ第1等灯台。水郷筑波国定公園内に位置する。世界灯台100選、日本の灯台50選に選定され、Aランク保存灯台。2010年に国の登録有形文化財に登録を経て、2020年に国の重要文化財に指定された[1][2][3]。 概要![]() ![]() 日本を代表する灯台の一つで、歴史的文化財的価値が高く、国の重要文化財に指定され、海上保安庁により「Aランク保存灯台」ともなっており、世界灯台100選、日本の灯台50選にも選ばれている。日本に5つしかない最大の第1等レンズ(1等4面フレネル式閃光レンズ[4])を使用した第1等灯台である[5]。電球は400ワットのメタルハライド電球を使用し、110万カンデラの光を放つ。灯塔高 (地上から塔頂までの高さ)31.3メートルで、煉瓦製の建造物としては尻屋埼灯台に次ぐ、日本第2位の高さである。 設計、施工監督者はイギリスから招いた灯台技師、リチャード・ヘンリー・ブラントンである。建設当初より白色塔形(円形)の煉瓦造灯台であるが、この煉瓦は内務省の土木技師中沢孝政によって生産が試みられた初の日本製(新治県香取郡高岡村、現在の千葉県成田市高岡)であり、およそ19万3000枚が灯台本体のほか、付属施設にも使用されている。ブラントンは当初、日本製煉瓦の使用に反対したといわれ、その強度に不安を感じたためかそれまでの灯台の構造とは違って二重構造になっているが、140年以上の風雪に破損されることも無く耐え今日に至っている。 灯台の竣工間近、巨大なレンズを見た地元漁師は驚き恐れて「灯台成リ、大洋灯ヲ点ジ海上ヲ照ラスニ至レバ、是ガタメ沿岸ノ魚族ノ棲息ヲ絶チ、漁民ハ特ニ大イナル悲運ニ遭遇スベシ(灯火が明る過ぎて魚が獲れなくなる)」と、灯台建設の即時中止の請願運動を展開した。ところが灯台初点灯の翌年は鰹が稀にみる豊漁となり、地元漁師の懸念は杞憂であったばかりか、豊漁は「灯台様のお陰」と喜ばれる結果となった。 周辺は水郷筑波国定公園に指定されており、太平洋を臨む景勝地として多くの観光客が訪れている。 歴史![]() 犬吠埼を仰ぐ銚子は、太平洋に突出する銚子半島と利根川河口による天然の良港として、古くから交通の要所、魚介類の水揚げ場(銚子漁港)、醤油の生産地として栄え、多くの船舶が入出港していた。 しかし、犬吠埼付近に岩礁、暗礁が多く、海流が複雑で、鳴門海峡、伊良湖岬沖と共に、海の三大難所として多くの人命が失われた場所でもあった。1868年10月6日(慶応4年8月21日)には、幕府の軍艦「美賀保丸」が暴風雨に遭い、黒生(くろはい)沖の岩礁に乗り上げて座礁沈没、乗組員13名が死亡するという事故も起きていた。このような状況の中、銚子漁港の改修と洋式灯台の設置が求められ、明治時代初期に江戸条約によって建設された8基、及び大坂条約によって建設された5基の洋式灯台に続く重要な灯台として建設が決まった。戦前を中心にたびたび皇室の訪問があった。 沿革
文化財重要文化財
付属施設
白い丸型郵便ポスト![]() 2012年(平成24年)3月14日に灯台を管理する銚子海上保安部と銚子郵便局が協力し、茨城県神栖市内の集配センターで保管していた1960年製造の丸型ポストを白い犬吠埼灯台に因んで白く塗った白い郵便丸型ポストが設置されている[30]。 ホワイトデーに設置されたため「恋愛が成就するポスト」、「幸せを呼ぶポスト」、「願いが叶うポスト」とも称されている[31]。 旧犬吠埼霧信号所霧笛舎旧犬吠埼霧信号所霧笛舎は、1910年(明治43年)4月1日に竣工した霧信号所霧笛舎。1916年(大正5年)11月17日、皇太子時代の昭和天皇が敷地内に松を植樹した[12]。 2008年(平成20年)3月31日、犬吠埼霧信号所霧笛舎における霧笛吹鳴は廃止となり、最後の霧笛を鳴らす式典が挙行された[26]。 2012年(平成24年)12月19日に国の登録有形文化財に登録、2020年12月23日に灯台とともに国の重要文化財に指定されている。
一般公開本灯台は一般公開されている参観灯台で、展望台のほか、資料展示館がある。
展望台レンズ室横に設置されている展望台まで登ることができる。展望台へ続く螺旋階段の段数は、九十九里浜にちなんで99段となっている。 展望台からは太平洋や沖行く船を一望の下にできる。
犬吠埼灯台資料展示館犬吠埼灯台資料展示館は、犬吠埼灯台の歴史、機能・役割について展示されている資料館。2002年(平成14年)3月20日に開館。沖ノ島灯台で使われた国産第1号の1等レンズや、霧笛舎、犬吠埼灯台の初代レンズ(フレネル式第1等8面閃光レンズ)、尻屋崎灯台で使われた霧鐘など、貴重な資料が多数展示されている。
ギャラリー近景
遠景
アクセス公共交通機関自動車
脚注
参考文献
関連項目外部リンク |
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