町田くんの世界
『町田くんの世界』(まちだくんのせかい)は、安藤ゆきによる日本の漫画作品。『別冊マーガレット』(集英社)2015年4月号から[1]2018年5月号まで連載された[2]。 安藤にとって初のオリジナル連載作品[3]。勉強も運動も苦手で、機械に弱く、かつ不器用だが、周りの人間から愛される男子高校生の日常を描き[4]、従来の少女漫画とは異なる主人公像を示したことで高い評価を得た。第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の新人賞に選出されており[5]、第20回手塚治虫文化賞では本作における表現を評価されて作者が新生賞を受賞している[6]。 2018年5月25日に発売された単行本最終7巻の帯で映画化が発表され[7]、2019年6月7日に公開された。 あらすじ本作の主人公・町田一は、勉強も運動も苦手だが、人間が好きで、また周りの人間からも愛されている高校生である。 ある日、一は授業中に怪我をして、手当てを受けるために保健室に向かう。そこで、授業をサボっていたクラスメイト・猪原奈々と出会う。不在の先生に代わって奈々が一を手当てするが、手当てが終わった後、奈々は「人が嫌い」と言い放ってその場を去ってしまう。その様子に引っ掛かりを覚えた一は、以降奈々のことを気にかけるようになる。奈々の方も、自分のことを気にかける一に次第に好意を寄せるようになる。 その後、一は幼少の頃に好きだった幼稚園時代の先生・英子と再会する(8話)。その日、先生は結婚写真の撮影の予約を入れていたが、婚活は上手くいかず、一緒に写真を撮影する相手がいない状況だった。それを知った一は、先生を気遣って新郎役に名乗り出て、先生と一緒に写真を撮影する。 クリスマスが近づいたある日、奈々はクリスマス・イヴにイルミネーションを見ようと一を誘い、一もそれに応じる。さらに登下校も一緒にするようになるが、一は奈々にかつて自分が幼稚園時代の先生と一緒に撮った結婚写真を見せ、その写真にショックを受けた奈々は高校を休んでしまう。一はそのことを父親に相談し、父親から、奈々が自分に恋心を抱いていることを指摘される。クリスマス・イヴ当日、奈々と再会した一は、写真を見せられたときの心境を奈々から伝えられ、それに理解を示す。そして約束通り彼女とイルミネーションを見る。一連の出来事の後、一は恋愛について思考を巡らせるようになる。 登場人物
作風本作の主人公・一は、「人たらしな人」を描きたいという想いから生まれた[10]。一については、従来の少女漫画のヒーロー像と比較して「あまりにも地味」という評もあるが[11]、作者によると、「行動や気持ちだけで人の心を動かすようなキャラクター」にするため、イケメンであったり、運動が得意であったりといった要素は敢えて盛り込まなかったという[10]。 本作は、一を主人公に据えつつ、一の周りの人間にスポットを当てるという形で描かれている[12]。作者によると、一の「人たらし」な部分を読者にも楽しんでもらうために、このような形式となったという[12]。ただし、当初は回ごとに主人公を変更し、その主人公たちに一を関わらせるという形式が考えられており、最終的には担当編集者の意見を踏まえて現在の形に落ち着いた[13]。 評価第19回文化庁メディア芸術祭でマンガ部門の審査委員を務めた門倉紫麻は、本作について、「勉強も運動も苦手、けれど人が好き、という新たなヒーロー」を登場させた点が審査委員の注目を集めたと述べている[3]。第20回手塚治虫文化賞でも、本作の主人公・一のキャラクター造形が評価されており、型破りなキャラクターが多い少女漫画の男性たちの中でも「全く逆の意味で型破り」と評されている[14]。 『このマンガがすごい!2016』に掲載されたレビューでは、一と他キャラクターとの交流を丁寧に描くことで「読みすすめるごとに優しい世界が立ちあがってくる」と評されている[15]。 漫画家の鳩胸つるんは、『別冊マーガレット』作品の中で本作が「ダントツで好き」で「ずっと続いてほしかった」と語っている[16]。 賞歴・ノミネート歴
書誌情報全て集英社から刊行されている。 単行本
単行本未収録作品
小説
映画
2019年6月7日公開。監督は石井裕也[24]、主演は約1000人によるオーディションで選ばれた当時無名の細田佳央太と関水渚[25]。 キャスト
スタッフ
ミュージカル2024年3月29日から4月21日に、シアタークリエと梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演[27]。主演は、川﨑皇輝(少年忍者)[27]。 キャスト(ミュージカル)
スタッフ(ミュージカル)脚注注釈
出典
以下の出典は『集英社の本』(集英社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。
外部リンク
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