異世界語入門 〜転生したけど日本語が通じなかった〜
『異世界語入門 〜転生したけど日本語が通じなかった〜』(いせかいごにゅうもん てんせいしたけどにほんごがつうじなかった、リパライン語: Lipalain iurlesti ~p'es waxundeen dusnijrakrantien'i, niss niv lus pustiej.~[2])は、Fafs F. Sashimiによる日本のライトノベル。略称は『いせにほ』。 2017年8月よりカクヨムおよび小説家になろうにて『異世界転生したけど日本語が通じなかった』(いせかいてんせいしたけどにほんごがつうじなかった、リパライン語: P'es waxundeen dusnijrakrantien'i, niss niv lus pustiej.[2])という題名でWeb版の連載が開始され、2018年7月にL-エンタメ小説(KADOKAWA)より本題名で書籍版が刊行された。イラストは藤ちょこが担当。 作品テーマ作者のFafsが中学生の頃から作っている人工言語・架空言語の「リパライン語」が異世界で話されているという設定で、その言語を主人公が学ぶことが物語の主軸となっている。 Web版ではリパライン語がラテン文字で表記されているのに対して、書籍版ではリパーシェという独自の文字で表記されており、本文はすべて横書きになっている。 リパライン語の他にもアイル語、タカン語、ヴェフィス語、ユーゴック語など、複数の架空言語が登場する。主人公の思考シーンにはラテン語やタミル語などの実在の自然言語も登場する。 あらすじ異世界に転生した八ヶ崎翠(やつがざきせん)の目の前には銀髪の少女シャリヤがいた。彼女と意思疎通を図ろうとした翠は日本語が通じないことに気づく。戦時中の異世界でチートを使いハーレムを形成することを目指す翠は現地の言語であるリパライン語を少しずつ学んでいく。 第1部シャリヤとなんとか最初のコミュニケーションを成功させた翠はエレーナやレシェールにも出会う。当初いた場所で紛争が勃発したため、翠とシャリヤたちはレトラの町に移動する。シャリヤと相部屋になった翠は文字を教えてもらうなどしながらリパライン語を引き続き学ぶ。リパライン語ではない異世界語を話すフェリーサや図書館の司書のヒンヴァリーと出会った後、翠は政府のスパイでフェンテショレー(反革命主義者)であるとの疑いで捕まり、裁判に出ることとなる。ヒンヴァリーの介入で捕らわれずに済むも、町の住人からの疑いは晴れず、シャリヤからも見捨てられてしまう。次の日に起きると再び紛争が起こっており、翠は倒れていた兵士から武器を拝借して外に出る。シャリヤを発見するもバリケードが破壊され、敵に見つかってしまい、翠がシャリヤを庇おうとしたところでレシェールらに助けられる。フィアンシャ(リパラオネ教の礼拝堂)のシャーツニアーであるフィシャが実はフェンテショレーであることが発覚し、翠とヒンヴァリーがフィシャを追う。追った先の地下道で翠がフィシャを殺さずに拘束するも、翠らが地下道を出た後に地下道が爆発する。 登場人物特記しない限り、名前は姓・名または姓・分家名・名の順。
用語・世界観![]() 地域言語
宗教娯楽監修・協力巻末の監修及びスペシャルサンクスより。
評価ねとらぼでは、「ネット上では、架空の言語に関する設定の緻密さや、言語学者のように言葉の意味を解き明かしていく過程のおもしろさから注目が集まっている」として本作のWeb版が取り上げられた[6]。 批評家・編集者の村上裕一は本作のWeb版に関して、頻度解析から初めて相手の言語分析を始めるという内容に関して「驚きといえば驚きの、そして必然的といえば必然的な営み」と述べ、固有名詞のみならず文法構造まで考えるということに関しては「狂気の沙汰」と評した。同様に作中に独自の言語が登場する作品として『星界の紋章』(アーヴ語が登場)を挙げつつ、同作品に比べ本作品は言語学的分析を主題とした面が強いという点に触れた。最後には「だんだんと記号に過ぎない文章が理解されていくのが私たち読者にも経験されるにおいては、たいへん稀有な読書体験である」とまとめた[7]。 作家の円城塔は、作中の言語が作者の自作言語であることに触れた上で「異世界の言葉について考えたことのある人や、架空言語好きには楽しい一冊」と評価した[8]。 このライトノベルがすごい! 2019では単行本・ノベルズ部門で25位にランクインした。同誌にてライターの柿崎慧は、「翠が様々な手法で単語や文法の法則性を見つけ出し少しずつ言葉を習得していく過程が実に新鮮で、本作ならではの知的興奮を味わえる」と評価した。 既刊一覧
脚注注釈
出典
外部リンク
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