赤いオーケストラ赤いオーケストラ(あかいオーケストラ、ドイツ語: Die Rote Kapelle)は、ナチス・ドイツ占領下のヨーロッパに存在した、ソビエト連邦に情報を流していた共産主義者のスパイ網に対してゲシュタポが名付けた名称。 概要対スパイ部署では、スパイの無線交信を音楽演奏になぞらえ、楽団、ミュージックボックス、スパイをミュージシャンという隠語を用いた。 赤いオーケストラゲーリングの航空省に設けられていたゲーリング調査局という、曖昧な名称に偽装された盗聴機関に巣くっていたハロ・シュルツェ=ボイゼングループと占領下フランスで活動していたレオポルド・トレッペルグループが該当する。このグループには国防軍最高司令部で最年少だったホルスト・ハイルマンやドイツ経済省上級参事官のアルヴィト・ハルナックなどがいた。研究書のいくつかではドイツ語の Kapelle が英語で chapel と band の二つの意味があることから「赤い礼拝堂」と誤訳されている場合がある。 黒いオーケストラゲシュタポは陸軍内部の反ヒトラー組織を黒いオーケストラと呼んだ。この組織は、暗号名ルーシーことルドルフ・レスラー(Rudolf Rößler)が率いていたスイスに本拠を置く反独組織ルーシー・スパイ網(Lucy spy ring)を介してGRUのサンドロ・ラド(en)に繋がっていた。特に独ソ戦緒戦のバルバロッサ作戦での貢献で知られているが、諜報活動で得た情報は活用されず、結果的にはソ連が戦略的に大敗した。 文献赤いオーケストラ
(邦訳, ジル・ペロオ『赤いオーケストラ』鈴木豊(訳)、潮出版社、1974年)
(邦訳, レオポルド・トレッペル『ヒトラーが恐れた男』堀内一郎(訳)、三笠書房、1978年)
黒いオーケストラ
(邦訳, ピエール・アコス/ピエール・クェト『史上最大のスパイ事件』榊原晃三(訳)、三崎書房、1970年、原著フランス語からの翻訳であるが、ドイツ事情に不明な翻訳者か誤訳が数多く見られる。同書のドイツ語訳が上記の書である。)
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