走ることについて語るときに僕の語ること
『走ることについて語るときに僕の語ること』(はしることについてかたるときにぼくのかたること)は、村上春樹のエッセイ集(村上は「メモワール」(回顧録)と呼んでいる)。 概要2007年10月15日、文藝春秋より刊行された[1]。「走ること」と自身の小説執筆の相関性を語るエッセイ。一部を除き、書き下ろしの作品である[2]。写真は小平尚典、景山正夫、松村映三。装丁は渡辺和雄。本文デザインは野中深雪。2010年6月10日、文春文庫として文庫化された[3]。 2015年8月28日、電子書籍版が文藝春秋より配信開始される。国内における村上の初めての電子書籍は同年7月24日配信開始の『村上さんのところ コンプリート版』(新潮社)であるが、既刊の著作物としては初の電子書籍化となる[4]。 タイトルはレイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』に由来する。なお本書は1998年頃から出版が予定されていて、その当時村上が考えていたタイトルは『走れ、歩くな』だった[5]。 翻訳
内容1983年のアテネ-マラトン間での初マラソンの回想、2005年度ニューヨークシティマラソンの準備期間などの想いをつづる。そして自身の小説家としてのキャリアが、いかに「走ること」と連関していたかを述べる。 小説を書くきっかけとなった神宮球場でのデーゲーム、群像新人賞受賞、ジャズ喫茶の経営と小説の執筆を振り返りつつ、小説家の資質に必要なのはまず才能としながらも、集中力を持続させるための体力が不可欠だと考える。そのために、自身の孤独を好む性格にフィットし、特に場所を選ばない長距離走を選んだ。そして村上は「走ること」にさまざまな思いを抱えながらも、それを四半世紀ほど一貫して続けてきた。 作家=ランナー[要曖昧さ回避]としての村上春樹の側面が垣間見られる作品である。 脚注
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